中小企業庁では、中小企業支援法に基づき、地域中小企業支援センター、都道府県等中小企業支援センター、中小企業ベンチャー総合支援センターの3つの窓口を設け、中小企業への診断助言事業、相談事業、研修事業など各種支援事業を行なっています。
中小企業診断士は、これらの支援事業に、経営コンサルタントとして参画し、中小企業に対し診断・助言します。
企業から直接依頼を受けて行なうコンサルティングであり、いわば経営コンサルタントの本業です。
コンサルティングの内容は、ケースバイケースで多岐にわたり、自分が持つ能力をフルに発揮してクライアントの要望に応えることができれば、顧問契約などにもつながっていきます。また、必要に応じ、他の専門家(たとえば、弁護士、税理士など)もコンサルティングに入りますが、彼らをつなぐコーディネーター役も中小企業診断士の役割のひとつです。
民間企業と1~2年という中長期の契約を結び、経営上の課題について幅広く指導していくのが経営顧問です。
中小企業側では経営課題について効果的かつタイムリーな助言が得られるというメリットがあります。また、経営コンサルタント側では、顧問契約が得られれば収入も安定するため、多くの中小企業診断士は顧問先の開拓を行っています。
中小企業診断士の中には企業向けの研修・講演を中心に活動している方も多くいます。
企業が行なう各種研修・教育訓練の社外講師として講義や講演を行なうことが主な仕事内容となります。企業が中小企業診断士などの経営コンサルタントに研修や講演の依頼をする場合、専門分野を確立していることと、出版書籍の執筆等による知名度があることが条件となることが多いようです。
それぞれの企業でより専門的な実務家に対して講義を行なうのですから、資格取得後も専門性をより高める研鑽が重要です。
また受験指導機関において講師を務めるケースもあります。
経営コンサルタントの活動のひとつに、新聞や雑誌への原稿執筆や著書を出版するなどの執筆活動があります。
企業が中小企業診断士などの経営コンサルタントに仕事を依頼する際の判断基準のひとつとして優れた著書があるかどうかを見ることが多いようです。
経営コンサルタントにとって論文や著書は自己PRをする絶好の手段であり、もちろん、貴重な収入源ともなります。
各種の戦略立案、低成長時代に有効な組織デザイン、実力・能力重視の人事評価システムの構築、社員のモチベーション管理など、現代の管理者に与えられた課題には多種多様なものがあります。
限られた経営資源を最大限に活用して、これらの課題を達成するために必要な専門知識やスキル、視点や考え方をすべて学べる。それが中小企業診断士学習の特徴です。
中小企業診断士資格の取得を奨励する企業が多いのは、このような理由によるものです。
「お願い営業」から「提案型営業」へ。
この課題に大きく貢献するのが中小企業診断士の能力です。
中小企業診断士であれば、今まで経験したことのない問題に直面した顧客に対して、何が一番問題なのか、その原因はどこにあるのか、どのような解決策を講じていけばよいのかについて有効なアドバイスができるはずです。結果として業績の向上にもつながることでしょう。
中小企業診断士の学習過程においては、実務に通じる専門知識のほか、現在の職種を越えた経営に関する幅広い知識と思考法を修得します。
各部門を担っていく人材として期待される以外にも、部門横断的プロジェクトや新規事業の責任者など、在籍企業のキーパーソンとして幅広い活躍が期待されます。
また、社内講師として階層別教育や職能別教育を行なっている例や、教育制度の見直し、改善を手がけている方も見受けられます。