養成課程レポート

1年間の流れ

開講の様子

< 開講の様子 >

選抜試験(筆記・面接)を経て、いよいよ開講。これから1年間、演習・実習をともにする仲間たちと出会い、養成課程がスタートしました。

最初の演習はコンサルタントの思考法。自己紹介を交えながら、和やかな雰囲気のなか演習を行いました。

4月は、経営戦略、財務会計(アカウンティング、ファイナンス)の演習に進みました。ケースを使いながら理論を学び、実務に落とし込む演習が続きます。例えば、診断士としてある企業の社長から中期経営計画の策定を依頼されました。環境分析を行い、策定ステップを経営者に説明することを想定し、そこで留意すべきことは何かを各グループで発表します。

白熱する議論

< 白熱する議論 >

5月は、人材マネジメント、マーケティング戦略の演習に進みます。開講して2ヵ月が経ちますと生活リズムにも慣れてくるようです。時間を作っては本を読み、予習復習するなど、ご自身の得意分野・不得意分野を整理して、知識やノウハウを修得しようと皆さん頑張っています。

6月は、情報化戦略(製造業)、生産マネジメントの演習に進み、より実務的な演習となります。生産マネジメントの演習では、VTRを見てストップウォッチで計測したり、工程分析、レイアウトの改善等を行います。1次試験学習の分析手法を実際に使うことで、「なるほど!」と気付きを得ることが多いようです。第1回製造業診断実習(工場診断)では、生産マネジメントの演習で修得したことを、早速、実践していただきます。

実習風景

< 実習風景 >

7月は、いよいよ第1回経営診断実習(製造業)が始まります。実習は、1グループ8名の3グループで構成され、それぞれ異なる実習先企業へ訪問します。診断実習の流れは、事前準備→トップインタビュー→現場調査→報告書作成→最終プレゼンテーションで進行します。約3~4週間で行います。もちろん、この期間中は他にもコンサルティングワークというグループメンバーが集まるワークがあります。8名がディスカッションを行い、ヒアリング項目や調査事項を決めたり、問題点・課題点の抽出、診断の方向性、改善案を考えたりなど様々です。

第1回製造業診断実習では、IE(Industrial Engineering)を中心に取得したデータを根拠に診断を行います。そのため、実際の現場調査では、ストップウォッチやスケールを片手に生産マネジメントの演習で行った分析手法を活用していただきます。テキストにある用語や分析手法を実践で修得することが本課程の狙いです。

手探り状態から始まった診断実習がようやく終わりました。勝手がわからず、実習報告書作成の際は徹夜だったという声がちらほら。情報収集も多くのデータを取得したため、本当に必要な情報と余計な情報が入り混じり、集計する際に多大な労力を費やすことになります。「ある程度、仮説を立てて、本当に必要なデータに絞って今後の実習に取り組みたい」と反省する方もいらっしゃいました。実習終了後は、第2回診断実習に向けて、流通業のマーケティングの演習に進みます。

養成課程が開講して6ヶ月が経ちました。9月は、コンサルティングプロセス、流通業の情報化戦略、店舗施設マネジメントの演習へと進みます。コンサルティングプロセスでは、ある洋品店の診断シミュレーションを行い、さらにプレゼンテーション技法に関する演習を行います。ここでは、プレゼンテーションの様子をビデオカメラで、撮影し、客観的にご自身のプレゼンテーションを振り返る時間を設けました。「今まで自分では気づかなかった仕草や癖があることに気づいた」「○○さんの伝え方がとても参考になった」「中小企業の社長に対して、難しい用語、カタカナを使うのは好まれず、分かり易く伝えることが大事だと感じた」など、多くの気付きを得たようです。

顧客アンケートをとる様子

< 顧客アンケートをとる様子 >

10月は、第2回経営診断実習(流通業)が始まります。この実習は主として、個店の診断です。現場調査はほかにも、顧客アンケート調査、店舗内動線調査、販売促進、店舗レイアウト調査、在庫管理、5S、など様々です。このように、現場でしか得られない生データを収集し、分析します。収集データに基づき、課題点や改善案の考え、最終的に報告書にまとめ、プレゼンテーションします。

演習でのグループワーク

< 演習でのグループワーク >

第2回診断実習を終えると、経営診断Ⅱのフェーズに進みます。ディスカッションを主体とする演習は、白熱した議論が毎回繰り広げられます。11月は、11月下旬から始まります経営戦略・計画策定実習(製造業)に向けたカリキュラムとなり、受講生も「よし、やるぞ!」という意気込みと、これから実習が始まるという緊張感が教室内に漂っています。

今回の診断実習は、経営戦略や事業の方向性を示す診断です。これまでとは違い、クライアントへのヒアリングと現場(工場内・事務所内)での調査はどこに焦点を当てるか、そして持ち帰ったデータから何を読み取るかがポイントとなります。そのため、グループによってはディスカッションが夜遅くまで行われることもあります。最終プレゼンテーションでは、過去2回の実習の経験から要点を絞ってとくに伝えたいことを強調し、報告書のまとめ方も分かりやすくなっており、今までの演習や実習の成果が出ていました。

年を越し、本課程も残すところあと3ヶ月となりました。年明けは実習が2回あり、1月は、第4回診断実習(流通業)です。実習で経営者とお会いしますと、将来への思い、また従業員への思い等の経営者ならではの熱意の大きさや悩みの深さを、改めて感じます。2月下旬はいよいよ最後の実習です。診断士の卵とは言えども、自分自身の満足で提案するのではなく、相手先企業の満足の為に提案する姿勢で最後の実習に臨んで欲しいと思います。

第1回診断実習から半年が経過し、いよいよ実習最後の集大成です。経営者の視点(立場に立った)で診断する、経営者の思いを実現させる、もしくは思い込みを是正することが診断士の役割だと思います。受講生の皆様が実習に臨む際、既にこのことが染み込んでいる様子でした。積み上げてきた知識、理論、ノウハウを全5回の実習の場で活用し、実際に肌で感じ、その感覚を養うことは多くの気付きを得るとともに、大きな自信に繋がると思います。

修了式(1)

1年間のカリキュラムを終え、写真は修了式の様子です。本課程修了後4月より、中小企業診断士として登録されます。自身を含めた24名の仲間と、ネットワークは修了後も大きな財産となることは間違いありません。今後は、新しい活動フィールドを求めて転職する方、企業内診断士、独立する方など様々です。

修了式(2)

なかには、グループになってLLPを立ち上げるなど、精力的に活動しているOB・OGの方がいます。働きながら診断士になることは、大変なことですが、皆様の表情を見ますと達成感で溢れていました。