ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用vol.2

クライエント体験すれば気持ちと考えが整理される

[2013/06/26]


 就職や転職、仕事への適性、周囲からの評価、職場での人間関係など、仕事にかかわる悩みはいろいろあります。そして、仕事の悩みは、自分の価値観や人生観と深く結びついています。
 そうした人が自身の価値観・人生観を再発見し、自分に合った望ましい方向へ導く役割を担うのが、キャリアカウンセラー(CDA)です。キャリアカウンセラーはキャリアカウンセリングを通して、相談者(クライエント)が自ら気づき、自らモチベーションを高め、自ら行動するように支援します。

 普通のOLからキャリアカウンセラーに転身した佐々木由見子さん(先月の同コーナー参照)は、今、大学で学生の支援を行っています。厳しい就職戦線と言われる社会背景の中、佐々木さんはどのように学生を支援しているのでしょうか? また、キャリアカウンセリングをどのように考えCDA1ているのでしょうか? ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
キャリアカウンセラー
佐々木 由見子さん
事務職として3社の会社勤務を経た後、CDAを取得。ジョブカフェでの若年者就業支援や中高年層の再就職支援、職業訓練生の就業支援などの経験を持つ。現在は、大学での学生支援のほか、人材紹介会社で初回面談を行うなど、フリーランスのキャリアカウンセラーとして活躍中。


長所を自覚できない学生に「気づき」を

CDA2 私は現在、東京都内にある私立大学のキャリアセンターで、学生の就職支援を行っています。CDA資格認定試験を実施する日本キャリア開発協会(JCDA)の募集で、この仕事を見つけました。大学生の支援をしたいと思った理由は、「働くということがどういうことか、なるべく早い時期に知ってもらいたい。であれば、学生を支援するのがいいのでは」と考えたからです。
 仕事内容は、面談による個別カウンセリングです。キャリアセンターを訪れる、主に3・4年生を対象に、就職相談に応じたり、エントリーシートの書き方を支援したり、模擬面接などを行っています。
 支援をしていてよく思うのは、「自分の長所がわからない」という学生が多いことです。短所はたくさん自覚しているのに、長所を自覚できていません。長所と短所は表裏一体の関係であることも多いのに、短所ばかりを見てしまいがちです。ですから私は、本人が自分の長所に気づいて自信をもてるように、そして、就職へのモチベーションを高められるように心がけています。
 たとえば、「小さい頃は何が好きだった?」とか「学校以外ではどんなことしているの?」などの質問をきっかけに、対話をしたりします。そうすると、それまでおとなしかった学生でも、自分の好きなことは話すようになったり、気分が高まってきたりします。そんな時に、「今、とってもいい表情しているよ」「私からみると、すごCDA3くがんばっているように見えるけど」などと言葉をかけると、「えっ、そうですか?」と驚きます。輝いていることやがんばっていることは、自分では「当たり前」だと思って気づきにくいようです。そうした大学生が、キャリアカウンセリングを通して気づき、モチベーションを上げていく——その瞬間に立ち会えることができて、すごく幸せに思います。
 また、私は以前ダンスを教えていたこともあり、相談者の方のモチベーションを上げるのが自分の持ち味だと思っています。その持ち味を発揮できる仕事に就けたのは、CDAの資格取得のおかげです。

 仕事は、大学以外に大手人材紹介会社でも行っていて、インテークと呼ばれる、転職希望者の初回面談を担当しています。この業務では、カウンセリングスキルだけでなく「企業の採用担当者の視点」も求められますので、学生の就職支援とは大きく異なります。この違いが双方の仕事の参考になり、自分のスキルアップにつながっているように思います。


体験すれば、心は軽く、気持ち・考えが整理される

 さまざまな仕事を経験して今強く思うことは、「キャリアカウンセリングをもっと広げていきたい」ということです。美容院や整体に行くように、誰もが気軽にキャリアカウンセリングを受けられる社会になるといいと思っています。そういう社会になれば、多くの人が持っているであろう仕事の悩みや、もっとよりよく生きたいという願いを、自分らしく解決していくことにつながるように思います。
CDA4 キャリアカウンセラーはそのお手伝いをするのが役割です。解決策の答えを提示する存在ではなく、「気づき」「自己理解」「モチベーション」などをもたらしサポートをする存在です。別の表現では、きっかけを提供する存在だと言えるかもしれません。
 ですから、キャリアカウンセリングを知ってもらい、その良さを理解していただくために、ぜひみなさんにも一度、相談者(クライエント)の立場を体験されることをお勧めします。きっと、心が軽くなったり、気持ちや考えが整理されたりすることと思われます。私も今までに何度もクライエント体験していますが、そのたびに「人に相談するって、心が楽になるなあ」と感じます。とくにキャリアカウンセラーを目指そうとする方、あるいはすでにCDA資格を持っている方は、改めてぜひ体験してみてください。新しい発見があるのではないでしょうか。


仕事でもプライベートでも役に立つ資格

 10年前、私の職務経験は事務職だけでした。人事部門や教育研修部門に配属されていたわけでもありません。そんな私が、CDAの学習をきっかけに、今こうしていろいろな人を支援する立場になり、クライエントの「その人らしさ」に立ち会うこともできるやりがいのある仕事に就けています。仲間も増え、人間関係もスムーズになり、他人の多様な価値観を受け入れられるようになりました。
 CDAは、勉強して損をすることはありません。仕事やプライベートのあらゆるシーンで役に立つと思います。ぜひ一度、キャリアカウンセリングに触れてみてはいかがでしょうか?

 

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