基礎理論からIT時代の最新戦略まで
[2007/12/21]
ルームエアコン「うるるとさらら」のかわいいキャラクター、“ぴちょんくん”はご存知ですよね。音楽CDが10万枚以上売り上げるなど、大ヒットのキャラクターとなりました。今や、“おユぴちょんくん”や“ロボぴちょんくん”というお友だち(?)も誕生しています。
この“ぴちょんくん”大ヒットの秘密は、単なるキャラクターデザインだけではありません。業務用エアコンのトップシェア企業であるダイキン工業株式会社が、「家庭用エアコンでも負けるわけにはいかない」と、事業戦略を立てた結果です。発売に至るまでには、商品企画、開発、モニター調査、営業、広報など、さまざまな部署がプロジェクトに加わりました。こうした同社の戦略策定や事業活動は、マーケティングを社内で有機的に連携された好事例だと言えます。
・・・と、日本マンパワーの通信講座『時代を読みこなせ!創造型マーケティング入門』のテキストに書いてありました。以下に、本講座のエッセンスをご紹介いたします。働くみなさんに参考となる情報だと思います。
◆マーケティングの定義◆
日本マーケティング協会によると、マーケティングは次のように定義されています。
「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」(1990年)
ほかにも機関や人によってさまざまな定義がなされていますが、要するに「ターゲットとしたお客様に、継続的に買っていただくための仕組みづくりと実践」だと言えます。またこれは、営利企業だけでなく、非営利組織(病院や学校など)にも当てはまります。ですから、「マーケティングとは就労するすべての人に関係するプロセス」だと言えます。
◆eコマース市場におけるアマゾンの戦略◆
マーケティングに関する理論は数多く、実践手法も多種多様にわたっています。なぜなら、「経営全体を考えて、誰に、何を、どのように提供し、お客様満足を実現するか」という幅広い命題に対し、細分化された理論や手法が確立されているからです。
たとえば、インターネット普及によって急成長してきたeコマース。日本のeコマース市場は、平成13年でBtoBが34兆円、BtoCが1.5兆円であったのが、平成18年にはBtoB148兆円、BtoCが4.4兆円と、前者が4倍以上、後者が約3倍になりました。
なかでも、インターネット書店のさきがけとなったアマゾンは、「顧客が『1対1』で応対されているような」手法を確立しました。顧客が同社のサイトを開くと、過去の購買履歴などに基づいてオススメ商品へと誘導されるのです。
これは、ワントゥワン・マーケティングと呼ばれ、「消費者の価値観、ニーズ、嗜好は1人ひとり異なる」という視点から、個人ベースで対応するマーケティング戦略です。またアマゾンでは、1−Click方式による注文の簡素化や、アフィリエイト・プログラムによる成果報酬型広告配信手法も発案・普及させました。
◆ロングテール戦略を実店舗で行うジュンク堂◆
では、eコマースによるワントゥワン・マーケティングの戦略が書籍販売の最良戦略かと言うと、そうとは言い切れません。店舗販売を行っているジュンク堂では、毎年、対前年比で売上をアップさせています。
ジュンク堂のマーケティング戦略の軸は、「幅広く充実した品揃え」です。多くの場合、大型書店の戦略は「売れ筋商品を平積みで数多く並べ、ベストセラーを多く売る」ことですが、ジュンク堂の場合は、愚直なまでに本の品揃えにこだわっているのです。数年に1冊程度しか売れない専門書なども置くことで、「あまり売れない商品でも合計すると無視できない収益源になる」というオンラインショップにおけるロングテール戦略を、実店舗で成功させています。
さらに、売り場担当者に陳列や棚割を任せていることで、従業員のモチベーションも高めています。
◆大切なのは全体像を踏まえた理解◆
ご紹介したアマゾンやジュンク堂の戦略は、マーケティング戦略のほんの一例でしかありません。また、マーケティングを学習するためには、個別の技法や最新の技術を知るだけでは不十分です。マーケティングの体系・全体像をつかみ、その重要性と自らに関わる問題であることを認識した上で、理論に裏付けられた行動や考え方を理解することが大切になります。
通信講座『時代を読みこなせ!創造型マーケティング入門』では、それらを図・チャートを交えてわかりやすく解説しています。経営理念からマーケティング目的、リサーチ、標的市場設定、消費者購買行動、ブランド戦略、価格戦略、チャネル戦略、プロモーション戦略、製品開発、営業戦略、販促活動に至るまで、俯瞰的な視点で基本を学べるのでオススメです。ぜひご活用ください。