ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.43

「自分の持ち味」を会社から評価されるために

[2012/03/29]


 「自分の興味ある分野だと思って入社したけれど、本当に自分がこの分野に向いているのか、よくわからなくなってきた」
 「新人の頃は必死に仕事を覚えようとして充実感があったけれど、仕事に慣れてきたら、何だかやる気がなくなってきた」キャリア1

 こうした悩み・不安はよく聞かれます。日本マンパワーが約500人のビジネスパーソンを対象とした「仕事に関するアンケート」でも、20代で「自分の適性がわからない」、30代で「自分自身のやる気・モチベーションが維持できない」という回答は多く見られました。
 仕事上の悩み・不安は必ずしも本人だけに原因があるのではなく、周囲の環境にも原因があると思われます。ただ、環境を愚痴ってみたり、不平不満を言ったりしても、なかなか状況は改善しないのが現実です。
 そこで、キャリア開発支援に詳しい日本マンパワーの和泉浩宣さんから聞いた「ちょっといい話」をご紹介いたします。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアドック部 CDA企画課
 プロデューサー
 和泉 浩宣 さん


適性を勘違いしているかもしれない

 「自分の適性がわからない」「自分自身のやる気・モチベーションが維持できない」などの悩み・不安を抱いてしまう原因には、ほとんどのケースで周囲の環境が影響していると思われます。
 たとえば、上司から「君、この仕事に向いているね」「才能あるね」などとほめられたら、「自分はこの仕事に向いているんだ」と感じるのではないでしょうか。やる気も出るでしょう。逆に、どれだけ頑張ってもほめられない、成果も見えにくいという状況であれば、「この仕事に向いていないかも」と感じてしまうのは仕方ありません。モチベーションも下がってしまうでしょう。

 でも、少し視点を変えて考えてみます。“仕事”“適性”“自分の興味・関心・価値観”の3要素には、どのような関係があるのでしょうか?
 こんな事例があります。ある人が、自動車販売会社の営業で非常に優秀な成果を出しています。ただ、本人は人とのコミュニケーションが苦手だと自覚しています。実際に、明るく流暢に会話を投げかけるタイプの人ではないようです。それでも彼から自動車を買うお客様が多いのです。
キャリア2 それはなぜか? 彼はモノやデータに関心が強く、自動車の専門知識に非常に詳しいのです。関連する緻密なデータも持っています。その持ち味がお客様の評判を呼び、次々に他の人を紹介される状況を作り出したとのことです。つまり、「営業職の適性として必要とされるのはコミュニケーション力である」というイメージを、モノやデータへの関心が覆したと言えます。
 この事例で大切なポイントは、「仕事と自分の興味・関心・価値観とをどう意味づけるか、その意味づけによって適性の捉え方が大きく変わる」ということです。


最初から諦めていないか

 そもそも採用や配属にあたって、個人の興味・関心・価値観を組織が意識し始めたのは、近年になってからです。年配の方々の中には、「仕事は仕事。自分が何をしたいかは関係なく、やるのが当たり前」と考えている方が多いのではないでしょうか。
 もっとも、ある学習会で知り合った年配の方に、それとは別の視点の考えを聞いたことがあります。話は次のような内容でした。

「私たちが若い頃は、大手企業も成長途上でした。だから、『こんな会社にしたい』『こんな働き方にしたい』とみんなで話し合って、会社を作り上げてきました。社員がそんな認識を抱くことができました。でも、今の若い人たちは、成熟し安定した仕組みの中に入ってきています。そのため、仕事や環境を『会社から強制されている』『おしきせられている』ものとしか思えないのでしょう」

 もしかすると、その思いが「良い方向に変わるとは思えない」「考えても仕方がない」という諦めにつながり、モチベーションを下げるようなケースもあるかもしれません。


実は会社から期待されている

キャリア3 しかし、実は今、現場の個人に期待している企業が増えつつあります。それは、従前のようなピラミッド構造による上意下達ではなく、新しい発想や創意工夫を現場から提案してほしがっているのです。なぜなら、変化の著しい現在において、新商品や新サービスを生み出しやすいのは、現場にいる個人だからです。
 もちろん企業から求められるのは、「個人がやりたいこと」ではありません。あくまでも「組織に貢献すること」です。ただ、こうした期待は、自分の持ち味を生かすチャンスだと考えることもできます。自分の興味・関心・価値観をうまく活かせれば、もしかすると新しいモチベーションが生まれ、組織からの評価も高まるかもしれません。

 先にご紹介した年配の方は、次のような話もしていました。
 「今の若い人たちも『こんな会社にしたい』『こんな働き方をしたい』と、自分の意見を発信しなきゃだめだよ」

 考え方を少し変えて実行してみると、何かが好転するかもしれません。

 

  • 講座コンシェルジュ

    おすすめの講座・資格をご紹介

  • 講座を選ぶ

    キャリア形成にお役立てください

  • キャリアを考える

    キャリアビジョンを創る