皆さんは、性格テストや心理テスト、好きですか? テストの内容にもよりますが、結構楽しいですよね。あれって、なぜ楽しいのでしょう?
もしかすると、自分でも気づいていない「見知らぬ自分」を、発見したいからなのかもしれません。まだ出会っていない「見知らぬ自分」、心のどこかに潜んでいそうじゃありませんか?
自分にマッチした職業選びやキャリアアップにおいて、この「見知らぬ自分」を知ることは非常に大切になります。「ジョハリの窓」(後述)というコミュニケーション・モデルで言えば、“ブラインドの領域”と“アンノウン(未知)の領域”の部分です。
本記事では、そうした「見知らぬ自分」の発見について、テスト結果を活用した方法をご紹介いたします。解説してくださるのは、日本マンパワーで各種テスト・検査ツールを開発している鈴木喜信さんです。自分らしく楽しんで仕事をするためにも、ぜひご参照ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
キャリアドック部 人材評価課 課長
鈴木 喜信 さん
「ジョハリの窓」からわかること 「ジョハリの窓」とは、自己理解とコミュニケーションとの関係を説明する図のことです。自分について知っているかどうかを、「自分から」見る場合と「他者から」見る場合を考えると、図のように4つの領域に分かれます。
人間は誰しも、自分自身のことをすべて知っているわけではありません。ですから、
みなさんが今、認識している「自分とはこういう人間」というイメージも、自分の一部でしかないのです。 しかし、自分に合った適職探しやキャリアアップをするためには、自分をよく知ることが大切です。なぜなら、自分のことを知らなければ、自分に合うかどうか判断できないからです。
特に、自分の興味や価値観を知ることは非常に重要です。興味のない仕事や価値観に合わない仕事をするよりも、興味があって価値観に合った仕事をする方がハッピーですから。
そして、自分をよく知るためのひとつの方法が、性格検査や適職検査などの客観的なテストなのです。
適職診断テストで「自分を知る」きっかけに 日本マンパワーでは、適職探しをサポートするテストとして、「適職診断テスト CPS−J」を提供しています。これは、キャリア理論で著名な職業心理学者ホランドの職業選択理論をベースにしたテストで、興味検査と能力自己評価検査でパーソナリティー・タイプを診断した上で、自分に合った職業の方向性を示すものです。ほかの会社でも、性格検査、適職検査、職業適性検査などの名称で、パーソナリティー・タイプや適職を診断するテストがあります。
こうしたテストを受けることは、自分を知るために効果的です。自分を知ることができればより深く考えられますし、考えることによって「本当にやりたいこと」「やいたい仕事」が見えてくるでしょう。いわゆる自己分析のためのツールとして、非常に役立ちます。
ただ、どのようなテストであっても、注意すべき点がいくつかあります。そのうち、最も大切なのは
「検査結果を信用しすぎないこと」です。なかには、検査結果を100%信じて、自分の人生の方向性までも決めてしまう人がいますが、結果を鵜呑みにしてはいけません。なぜなら、
100%「当たる」検査はありません。「ジョハリの窓」でもわかるように、あなたのすべてを知ることができるテストは存在しないのです。 人と「対話」をすることで腑に落ちる 検査を自分の将来のために有効活用するためには、結果をフォローアップすることが重要です。
たとえば、友人と結果を見せ合ってシェアし、「対話」をするのも効果的です。「自分と友人のどこが違うのか、なぜ違うのか」「結果についてどう思うか、なぜそう思うか」などを話し合ってみるといいでしょう。
友人との違いを通して、自分のことをより深く知ることができるはずです。「腑に落ちる」という感覚になるまで「対話」し、考えることが理想的です。
誰かと話すことができなければ、自分なりに検査結果を解釈してみましょう。
なぜこのような結果になったのか? 検査結果のようなことが過去の経験にあったのか? この結果は自分にどのような意味を持つのか? そうしたことを考えた上で、自分の強みと弱みなどを整理してみてください。
検査結果は、こうしたフォローアップを通してはじめて有用なものになります。
できれば、キャリアカウンセラーなど第三者の人と話すことをお勧めします。キャリアカウンセラーは職業選択やキャリア形成の専門家ですから、みなさんの自己理解を的確にサポートしてくれるはずです。
「ジョハリの窓」のうち
“ブラインドの領域”は、他者に教えてもらうことで狭くすることができます。“プライベートの領域”は、他者に話すことで狭くすることできます。そしてその結果、“アンノウン(未知)の領域”が狭くなり、“パブリックの領域”が広くなるのです。 本当の自分に合った仕事や生き方を見つけるため、一度じっくりと、自分について知る機会をつくってみてはいかがでしょうか。