ちょっと一息

私にとってのキャリアと学び vol.5

学びはスキルとして蓄積し、仕事に活かせるようになる

[2019/02/28]

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 地方自治体の男女共同参画センターで、女性を対象とするキャリアカウンセリング。2つの大学の就職担当部署で就職アドバイザー。女子大で学生生活全般にかかわる相談対応。職業訓練校で50歳代後半以上の方を対象としたセミナー講師。新卒学生を対象としたエントリーシートの添削講師。
 小学生のお子さんがいらっしゃるにもかかわらず、フリーランスとして多岐にわたって活躍されている田中美樹子さん。その人的支援のキャリアはさぞ長いのだろうと思われるかもしれませんが、実は今年で6年目だそうです。
 田中美樹子さんがなぜこのように活躍できるようになったのかは、本シリーズのバックナンバーをご参照ください。本記事は第3話、最終話となります。田中美樹子さんのキャリアと学びについてのお考えは、読者のみなさんにとって参考になるかと思います。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 国家資格2級キャリアコンサルティング技能士
 産業カウンセラー
 田中 美樹子 さん


人生が大きく変わった

 今、改めてキャリアカウンセリングと自分のかかわりを振り返ると、本当にCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)にチャレンジして良かったと思います。CDAを学んだことで、私の人生が大きく変わりました。
 CDAの資格を取ってからまだ数年しか経っていないのに、まさか自分がインタビューを受ける立場になるとは想像すらできませんでした。

 資格を取る前は、「65歳くらいまでに何かに活かせるだろう。それまでに元を取れればいい」と思っていた私が、取得後わずか数年でこれほど資格を活用できているのは、運が良かったのかもしれません。ただ、勉強会やボランティア活動に参加することで人的ネットワークを作ろうということには努力していました。そして、誰かからお誘いいただいた仕事は、とにかく引き受けて実績を作りました。そのおかげで、キャリア支援に関する実績がまったくなかったのに、今の仕事を任されるようになったのだと思います。


仕事に大きなやりがいを感じる

 キャリアカウンセラーになってからのお仕事には、いずれも大きなやりがいを感じます。
 まず、大学の就職アドバイザーの仕事で最もうれしいのは、学生一人ひとりの成長を間近に見られることです。学生との付き合いは、就職活動が始まってから内定が出るまで、ほんの数ヵ月間ではありますが、学生から社会人に近づいていく過程を見ると喜ばしい気持ちになります。学生の中には、「田中さんのおかげで内定が取れました」とか「田中さんと会った後で面接に行った会社は全部受かった」など、お礼を言ってくれる子もいます。そうした言葉は、自分が役に立っていることを実感できて、とてもうれしいです。学生たちはこれから職業観を深めていくことになりますが、その最初のステップにかかわれることも、何かの縁を感じる貴重な経験だと思います。
 一方、社会人の場合は、それぞれに異なる事情をお持ちです。そうした中でも、私がお話しすることによって、「希望の光が見えてきました」「考えが整理できました」などと言ってもらえたり、晴れ晴れとした表情で帰られるのを見たりすると、お役に立つことができて良かったと思います。

 家庭においても、私がCDAを目指したことは、結果的に良かったと思います。
 は最初からとても理解があり、私が『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)でスクーリングに通っている時は、子どもの世話をすべてしてくれました。当時は幼稚園児でしたから大変だったと思います。でも逆に、父と子の時間を作れました。父と子の絆が深まったのではないかと思います。


年を取ってからも使える資格

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 もしかすると、読者のみなさんの中には、「自分もすぐに資格を活かせるだろうか」と不安を抱いている人がいるかもしれません。
 でも、必ずしも「すぐに活かす」ことが正解であるとは限りません。資格を活かすタイミングは人によって異なると思うからです。
 仮に、もし今、キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーの資格を持っているのに「活かせていない」と感じる人がいるとします。その場合、おそらくその人には資格を活かせない何らかの要因があるのだと思います。その要因は人によって違います。たとえば、子育て介護など、家庭の事情で外に働きに出ることが難しい。あるいは、「今はそこまでのやる気が出ない」ということもあるかもしれません。でも、それでもいいのではないでしょうか。
 たとえば私の場合は、子どもが小さかった頃に勤務日数を抑えていました。母や夫に子どもの世話をお願いできる範囲内に、活動を抑えていたのです。それは、「活かせていない」のではなく、家庭を優先したのです。
 ですからみなさんも、けっして人と比較したり焦ったりする必要はないと思います。仕事として活かせていなくても、普段の生活で人とかかわる時にも活かせる資格ですから。また、キャリアの資格は、年を取ってからも使えることに強みがあります。「いずれ活かしたい」というくらいの気持ちでいてもいいのではないでしょうか。
 人によっては、資格を活かすまでに何らかの足踏みが生じるかもしれません。でも、そうした足踏みを経験することによって、同じように足踏みをしている人に共感することができ、支援する際に役立つかもしれません。


勉強すればするほど、知識不足が見つかる

 最後に学びの面で、私はCDAの資格を取ってから勉強するのがますます楽しくなりました。勉強すればするほど、自分に不足している知識が見つかっていくのです。
 たとえば女性の支援をしていると、家庭内暴力、いわゆるDVの話題になることがあります。そうすると、私がDVを理解していなければ、クライエントの方を理解することが難しくなります。そこで、たとえばDVに関する研修を受けます。
 あるいは、障がいのある人を支援する場合、どのように接してどのように留意すればいいのか。より適切な対応をするために新たな学びが求められます。そのために、たとえば障がい者支援に関する研修を受講したりします。
 このように、自分に不足している知識を身につけようとした結果、CDAとキャリアコンサルタントだけでなく、産業カウンセラー2級キャリアコンサルティング技能士にも挑戦し、すでに資格を保有しています。先日は心理相談員の研修も受講しました。

 そして、学びを続けていくことによって、今度はそれが自分のスキルとして蓄積し、仕事に活かすことができるようになっていきます。まだまだ足りない部分がたくさんありますので、これからも精進していくつもりです。

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