OBが語る、登録養成課程のメリットとデメリット
[2013/11/28]
中小企業診断士になるためには、まず1次試験に合格する必要があります。近年の合格率は平均20%弱。5人に1人くらいしか合格できません。しかも、その後には2次試験が控えています。2次試験の合格率も平均20%前後。1次試験に合格した優秀な人の中でも、5人に1人しか診断士になれないのです。
しかし、2次試験については免除の道があります。「登録養成課程」と呼ばれる制度で、経済産業省の登録を受けた機関が実施するカリキュラムを修了することにより、2次試験と実務補習/診断実務従事が免除されます。
日本マンパワーも登録機関のひとつ。「働きながら1年間で修了可能」という点では唯一の機関と言えるでしょう。1年間のカリキュラムをやり遂げれば、ほぼ確実に診断士登録することができます。ただ一方で、時間的・肉体的にけっして楽ではありませんし、かなり高額な費用を要します。
あなたなら、2次試験受験か登録養成課程か、どちらの道を選択しますか?
その判断材料のひとつとして、登録養成課程のOBである坂見穣司さんに、メリットとデメリットをうかがいました。なかなか聞くことのできない貴重なお話ですので、ぜひご参考にしてください。
●今回お話を聞いたのは・・・
東京都内リース会社勤務
坂見 穣司 さん
中小企業診断士(2012年4月登録)
登録養成課程 第5期生
自分の価値を高めるために診断士になりたい
私が初めて中小企業診断士に興味を持ったのは、今から12年前。社会人3年目の秋頃でした。当時、中小〜上場の法人を対象とするリースの営業をしていましたが、将来の独立を視野に入れつつ、業務の幅を広げて自分の価値を高めたいと思ったからです。
早速、日本マンパワーの通学コースを受講しましたが、4カ月目くらいから通うことができなくなりました。仕事があまりにも忙しくなったからです。自宅学習に切り替える余裕もなく、受験すらできませんでした。
ただ、どうしても諦めきれず、数年後に再度のチャレンジを開始しました。通学コースに通いましたが、初回の試験は不合格。自宅学習中心に切り替えての2回目も不合格。今思えば、勉強の仕方が悪かったのでしょう。結局、1次試験に合格できたのは5回目でした。2010年のことです。
見えないゴールよりも、見えるゴールを目指したかった
ところが、2次試験対策に取り組んですぐ「これは無理だ」と直感しました。1次試験対策の学習内容とはまったく質が異なるからです。2〜3カ月程度の短期間でマスターできるわけはありませんでした。初めての2次試験は当然不合格。そして、日本マンパワーの登録養成課程に申し込みをしたのです。
2次試験受験の道を選ばず、登録養成課程の道を選んだ理由は、人生における時間の使い方を考えたからです。
「日本マンパワーの登録養成課程なら1年後にほぼ確実に診断士になれる。でも、受験の道を選んだら、何年かかるのかわからない。また1次試験対策からやり直しの可能性もある。そんなことをしていたら、自分はいつ診断士になれるのだろう?」
一方、登録養成課程に対する不安もありました。
まず、時間の拘束を受けることです。修了するには、カリキュラムの90%以上に出席することが絶対条件になります。日本マンパワーの場合、火曜日と木曜日の18時45分から21時45分、土曜日の10時から17時に授業がありますので、その時間帯を1年間確保する必要があります。「もし人事異動で転勤となり通学できなくなってしまったら」「もし体調を崩してしまったら」というリスクを考えました。
また、時間を確保するためには周囲の理解も必要です。授業のある日は残業ができませんし、実習時には有給休暇を取らなければいけないこともあるからです。
それでも私は、覚悟を決めて登録養成課程に申し込みました。見えないゴールを目指すよりも、見えるゴールを目指したかったからです。
「1年間何とかがんばれば、確実にゴールできる」
ハードスケジュールだからこそ取れるうちに取っておく
2011年3月下旬、初めての授業では、定員24人中で私が2番目に若い年次であることに驚きました。と同時に、さまざまな年齢、さまざまな業種、さまざまなビジネススキル、さまざまな人生経験を持つ人に出会えました。
もっとも、その後の1年間はハードスケジュールでした。毎週3日通うことは、想像以上にたいへんです。特に経営診断実習の期間は時間的・肉体的に厳しいものでした。登録養成課程では、1回につき3週間の実習を5回行います。その期間は自宅で調べ物をしたり、報告書をまとめたりする必要も生じます。なかには、朝4時まで報告書を作成し少し仮眠しただけで会社に向かいその夜も通学、という日もありました。会社の上司には、「夏休みは要りませんから有給休暇を取らせてください」ともお願いしました。
ただ、ハードスケジュールだからこそ時間の融通の利くうちに取っておくことが大切です。それは受験の道を選ぶ人も同じでしょう。厳しい日々は月日が経てばいい思い出になります。私の場合、登録養成課程で得たものがすごく大きかったので、なおさらそう思います。本当に実りの多い1年間でした。
人とのつながりがなければコンサルタントとしての成功は難しい
1年間で私が得たことはたくさんあります。
まず、診断士としての実践スキルを高められたことです。今では物事をロジカルに考える習慣がつきました。カリキュラムは講義と実習で構成されていて、講義で理論を学んだ後すぐに実践で活用できるように工夫されているからでしょう。この繰り返しによって、自然にスキルを高められたのかもしれません。
また、講義でのディスカッションやプレゼンテーションの演習などによって、人にわかりやすく説明するのが上手になりました。普段の職場ではそうした機会がほとんどありませんでしたので、非常に勉強になりました。また、ほかの仲間の言動を見聞きして参考にさせていただいたり、反面教師にさせていただいたり。それまでは勤務先という限られた狭い環境だけの常識・評価しか知らなかった自分が、多様な仲間のおかげで自分の視野が拡がり、能力の棚卸しをすることもできました。
実習ではさらに学ぶべきものがありました。毎回違うメンバー8人でチームを組み、作業分担しながら共同の報告書を作成して診断先経営者にプレゼンテーションするのですが、こうしたチーム作業は貴重な体験でした。診断業務の手法を身につけられたのはもちろん、チーム作業の進め方のコツもつかめたように思います。
そして何より、人とのつながりを形成できたことは、何にも代えがたい実りです。同期の仲間はもちろん、お世話になった診断士の先生方、日本マンパワーの登録養成課程の歴代OBの方々ともお付き合いさせていただくようになりました。
それは、単に友人・知人ができたという意味ではありません。経営コンサルタントという仕事は、人とのつながりがなければビジネスが成り立ちにくい傾向があります。逆に言えば、人とのつながりがあればビジネスが成り立ちやすいとも言えます。私は経営コンサルタントとして独立しているわけではありませんが、人とのつながりはビジネスにもつながります。診断士には人とのつながりがとても重要であることがはっきりとわかりました。
●このお話の続きは次回の記事でご紹介します。
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日本マンパワー登録養成講座の申込受付は
2014年2月14日締切です。
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