ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方 Vol.2

己の立てるところを深く掘れ。そこには必ず・・・

[2008/06/26]

 「この仕事、本当に自分に合ってるのかなあ?」
 そう思った経験はありませんか? 働いた経験のある人なら、誰しも一度くらいは脳裏をよぎったことがあるのではないでしょうか。
 実際、近年は若い人の早期離職が増えています。その原因も、「この仕事は自分に合っていない」と考える人が多くなっているからのようです。
 でも、自分に合っているかどうかなんて、2〜3年でわかるものなのでしょうか?
 日本マンパワーのハッピー・コーディネーター、大原良夫さんに尋ねたら、次のような言葉を教えてくれました。

  己の立てるところを深く掘れ。そこには必ず泉あらん。

 明治時代の文学者、高山樗牛(たかやま・ちょぎゅう)の言葉です。なんとなく深みのある言葉ですね。その言わんとする内容を詳しく聞きましたので、ご紹介いたします。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリア形成事業推進本部 キャリアドック部
 部長(CDA)
 大原 良夫 さん


−自分の仕事を徹底的に知ろう−
 キャリアカウンセラーや企業の人事ご担当者に伺うと、確かに、「この仕事は自分に合わない」と判断する若い人は増えていて、それが早期離職の増加につながっているようです。
 しかし一方で、そうした若い人たちは、仕事のことをよく知っていない段階で「合わない」と判断してしまっているケースが多いように思います。なぜなら、「自分に合うか合わないか」を判断するためには、仕事のことを徹底的に知る必要があるからです。たった2〜3年間ルーティンワークをこなした程度では、“徹底的に知る”状態まではなかなか至りません。
 そうした人には、次の言葉を贈りたいと思います。

  己の立てるところを深く掘れ。そこには必ず泉あらん。

 明治時代の文芸評論家であり思想家でもある高山樗牛の言葉で、私の好きな言葉です。元々は、『あれこれ思いをめぐらすよりも、自分のできることを一生懸命にやれば、いい成果が得られる』という意味のようですが、キャリアに当てはめると、次のようなことが言えるのではないでしょうか。

 まずは、自分の仕事を徹底的に知りましょう(深く掘りましょう)。そうすれば、自分に合った方法が見い出せるかもしれません。きっと、それまで気づかなかった面白みややりがいも見えてくるでしょう(泉あらん)。


−“泉”を掘り当てるために欠かせない2点−
 「自分に合わない」と感じる人の多くは、おそらく少ししか掘っていないのではないでしょうか。それなのに、「合っていない」「面白くない」「やりがいがない」と思って、離職してしまうのでしょう。しかし、“泉”を掘り当てるためには、掘り続けることが大切です。ちょっと掘っただけで次の場所へ行ってしまったら、おそらく次の場所でも“泉”を掘り当てるのは難しいかと思います。
 また、“泉”を掘り当てるためには、もうひとつ大切なことがあります。それは、日々の経験を振り返ることです。なぜなら、仕事のことを徹底的に知るためには、「この仕事にはどのような意味があるのか?」という分析が必要となるからです。けっして、知識として知るだけでは、“徹底的に知った”とは言えません。
 さらに言えば、「今日、この仕事で自分は何を得たか?」など、自分の成長と併せて1日を振り返り、考えれば、その後のキャリアに大きなプラスとなるはずです。


−すばらしい経験は向こうからやって来ない−
 こうした“深く掘る”作業は、就職を控えている人にとっても非常に有効です。
 たとえばみなさんは、これまでの経験の中で、何を学んでましたか?
 大学の就職セミナーなどで同様の質問を学生に問いかけると、多くの学生が「特にありません」と答えます。その理由を聞くと、「ほとんど遊んでばかりでしたから」とか「アルバイトに行っていましたから」などです。でも、遊びやアルバイトの経験からも、学び、得るものはたくさんあります。彼らが勘違いしているのは、「すばらしい経験に出合わないと、たいしたことは得られない」と思い込んでいることです。
 本来、経験とは、出合うものでも探すものでもありません。自分で作り出していくものです。もちろん、自分が学び取るものも同様です。何かを得るためには、経験から学ぼうとすることが欠かせません。そのためにはやはり、日々の振り返りが大切なのです。

 みなさんもぜひ、1日を振り返り、自分の立っているところを深く掘ってみてはいかがでしょうか? きっと、泉を掘り当てられるはずです。

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