将来は世の中に役立つ温かい場を提供できる人でありたい
[2019/09/30]
IT企業で働く桧垣京子さんは、自らのキャリアを振り返って「転機の連続ですよ〜」と笑います。
確かに転機の連続のようです。入社直後に開発業務から営業に配置転換、出産、休職、復職直後に経営管理へ異動、グループ会社への出向、本社スタッフ部門への異動・・等々。でも、そうした転機が訪れるたび、桧垣さんは自分に向き合い、成長を求めて学び、新しいやりがいを感じられるようになっていきます。
その過程における学びのひとつが、日本マンパワー『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)の受講です。当初の受講動機は「若手営業担当者とメンターとのより良いマッチング」と「現場の声を傾聴すること」でした。ただ、学びによる産物はそれ以上だったようです。
本記事は、桧垣さんの転機ストーリー最終話。さらなる新しい転機と学びの姿勢が結びつきながら・・ぜひご一読ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
IT企業勤務
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
准PRプランナー
桧垣 京子 さん
人生全体で活かせた学び
私が『キャリアカウンセラー養成講座』の受講を申し込んだのは2013年の春、営業人材の育成を担う本社スタッフ部門で働いていた時です。CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)を取得して、仕事に活かそうと考えていました。
ところが、まもなくして営業現場のスタッフに異動することになりました。少し急な話だったので驚くとともに、「せっかく養成講座に申し込んだのに、異動後も活かせるのだろうか?」と心配になりました。
でも、実際に養成講座のスクーリングで学んでみると、業務という狭い範囲ではなく、人生全体という広い範囲で活かせることがわかりました。
具体的には、まず、自分のことを俯瞰的に見ることができるようになりました。また、自分が人の話を聴けていないことに気づくことができました。それまで「聴けている」と思っていたのに、学びを深めていくにつれて聴けていない自分が明らかになっていくのです。この2つを得られたことは、自分自身を見つめるという点で非常に貴重な機会となりました。
CDAで「ホームを得られた」
スクーリングのクラスメイトとの出会いも、その後の財産になりました。クラスはまるで、自分にとっての安全地帯、キャリアや悩みについて相談できる安心・安全な場。いわば「ホームを得られた」という感覚でした。
そんな場を会社の外に得られたのは、非常に幸せです。しかも、クラスメイトはさまざまな異業種から集まり、それぞれの考えや立場のもとに活躍されています。多くの人が「人の役に立ちたい」「人に寄り添いたい」と考え、生活に困っている人の就労支援をしている人もいれば、学生支援をしている人もいました。もちろん、企業の第一線で活躍している人もいます。そんなクラスメイトの生き様を知ることができ、すごく刺激になりました。「私も世の中の役に立つことをしたい」という志の芽が生まれたように思います。
こうした出会いはクラスメイトだけに限りません。CDAの仲間は友が友を呼び、さまざまな共通点による集まりの輪ができるからです。たとえば私は、「女性のキャリアを考える場」など、楽しみながらキャリアについてもお話できる場を得られています。
そう考えると、私は働いていく上でのベースになるものをもらったような気がします。CDAに出会えなければ、もしかすると今まで働き続けられていなかったかもしれません。
CDAで学んだからこその発想
現在は、広報の仕事をしています。担当業務は幅広く、社外向けのPRから、社内のコミュニケーション施策までさまざまです。これまで、ブランディングやニュースリリース、社内報などにも携わってきました。これらの仕事一つひとつにも、CDAで学んだことを効果的に活かせているように思います。
たとえば、会社のビジョンを社員個人の自分事として捉える取り組み。私たちの会社では、グループ全体に共通するビジョンを掲げていますが、必ずしも、グループ内の全社員が一緒に考えたビジョンではありません。考えようによっては、誰かに押しつけられたビジョンと捉えることもできるでしょう。またおそらく、個々の社員が日々の業務を行うにあたって、ビジョンを意識する機会は少ないだろうと思います。また、ビジョンの実践のあり方は、各組織、社員一人ひとりによって異なるはずです。
そう考えて、ビジョンと日々の業務を結びつけ、私たちが提供できる価値、今後めざす取り組み姿勢について考える場を企画しました。実施にあたっては、それぞれの組織で推進役を担ってくれる人をエバンジェリストとして、自主的にワークをしてもらう仕組みにしています。各組織での取り組みは社内報でも紹介することで、参加していない人も気づきを得ることができるようにしています。
こうした発想はCDAで学んだからこそ出てきたように思います。
勉強だけは欠かさないように努力
だからと言って、現状に満足しているわけではありません。組織としては、今まで以上に若手を育てていく必要があります。また私個人としても、広報の勉強が足りないと自覚しています。「会社の肩書きがなくなったら、自分には何ができるのだろう?」「果たして自分は何を目指しているのだろう?」という想いもあります。
そうした課題意識や想いは今に始まったことではなく、常に頭のどこかに置いています。ですから、勉強だけは欠かさないように努力しているつもりです。経営管理の仕事をしている時にファイナンシャル・プランニング技能士を取得したのも同じ理由からですし、広報に異動してからは准PRプランナーも取得しました。現在も、引き続きPRプランナーを目指して勉強中です。
また、資格ではありませんが、日本マンパワーの『組織開発ファシリテーター養成講座』も受講し、数ヵ月にわたって学びました。この講座は、人と人との関係やプロセスにアプローチすることで、組織の変革や活性化をもたらすことを学びます。その根底には、「制度で人は変わらない、人は人で変わる」という考えがあります。
『組織開発ファシリテーター養成講座』を受講した理由は、広報担当としてグループ会社内のコミュニケーション施策をよりよいものに変えていきたいと考えたからです。また、キャリアカウンセリングを行うとしても個人が所属する組織を理解したうえで取り組めるようになりたいという思いがありました。個人と組織の関係性、あるいは組織開発の理論や手法が学べたことは、とても有意義でした。受講してみて、一番大事なのは、理論でもツールでもなく、「自分自身のあり方」がどうなのか、向き合えるかということでした。自分自身が謙虚にそのあり方を自覚したうえで、対話を重ね、組織ごとのあり方を考える場を設けることが自分の役割だと思えました。
参加者同士からの気づき、ネットワークができたことも大きいです。いろいろな業種、さまざまな立場の参加者同士の関係構築の過程が組織開発そのもの。意図をもった話し合いを重ねる中で一体感ができました。この繋がりもまた宝物です。私が悩んでいた施策についても仲間から実践的なアドバイスをもらえたり、それぞれの会社での取り組みを実践されている様子に刺激を受けたり、自分も頑張らねばと励まされます。個人に焦点を当てるCDAと非常に親和性が高い講座だと思います。
祖母が子どもたちを支えていたように
このように、私のキャリアは転機と学びの連続です。そのおかげで多くのことを学ぶことができるとともに、学びの延長線上に、自分が温かい気持ちでいられる「ホーム」と感じる場がいくつもできました。それぞれに活躍している仲間たちから、今も多くの刺激をいただいています。
なかでもCDAで学んだことによって、ライフラインチャート(※)が沈んだ時でも前向きに捉えることができるようになりました。今後も引き続き会社に貢献できるよう精一杯努めるとともに、将来は何らかの形で世の中の役に立つ温かい場を提供できる人でありたいと思います。たとえば祖母が寺子屋のような学習塾で子どもたちを支えていたように、私も自分が学んだことを誰かに還元できればと思います。
(注釈)
※縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のこと。
桧垣京子さんのライフラインチャート