求職者にも企業にも理想的なマッチングとは
[2014/07/30]
人材紹介会社を利用して転職した人が、大企業の役員になる。
ありそうでなさそうな話ですよね。でも、実際にこうした事例があるのです。業界で最も歴史のある日本マンパワーの人材紹介を利用して、30歳代の時に転職した人が、今、大企業の役員として活躍しています。
人材紹介会社は、求職者にも企業にもマッチした紹介をすることで、正社員として長く活躍してもらうことを目指します。もちろん、人材紹介会社によって特性は異なりますが、基本的には「ベストマッチング」がキーワードとなります。
それでは、ベストマッチングとはどのようなものでしょうか? また、ベストマッチングを実現するためにはどうすればいいのでしょうか?
日本マンパワーの人材紹介グループの課長でありキャリアカウンセラーでもある布浦伸彦さんにお話をうかがいました。ぜひご参照ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
キャリアコンサルティング部
企画・業務管理課 兼 人材紹介グループ
課長
布浦 伸彦 さん
(CDA:キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
人材紹介サービスの仕組み
ご存知の方も多いと思いますが、人材紹介サービスの仕組みを簡単にご説明いたします。人材紹介とは、転職を希望する求職者と、正社員として中途採用を行いたい求人企業をマッチングさせるサービスです。
ですから、私たち人材紹介会社は、双方にアプローチをします。求職者に対しては、登録を募り、データベースに職務経歴や希望条件などの登録情報をストックします。また、求人企業に対しては、中途採用人材の求められるスキルや人間性をうかがいます。そして、たとえば「この職種で人材が必要だからいい人を紹介してほしい」と依頼を受けると、求人企業がどのような人材を求めているか、また、なぜそうした人材を必要とするかの背景、入社後の仕事内容、待遇条件、社風、企業文化などについて詳しくヒアリングします。
次に、登録者に求人情報を知らせて志望者を募り、志望者と個別に面談をします。そして、双方に望ましいマッチングとなるような候補者を求人企業に紹介し、求人企業の選考に入る、という流れです。
理想的なマッチングとは何か
こうした人材紹介サービスにおいて、最も大切な観点は「理想的なマッチングを目指す」ことです。この考え方は人材紹介会社によって多少異なるかもしれませんが、少なくとも私たちはそう考えています。
では、理想的なマッチングとは何でしょうか?
それは、紹介した求職者が求人企業に入社した後、その会社に定着し、イキイキと活躍することです。そうして初めて、求職者にとっても求人企業にとっても「紹介してもらって良かった」と思える結果をもたらします。
実際、30歳代前半の時に日本マンパワーの紹介で大企業に転職した人が、今やその会社の役員として活躍しているという例もあります。こうした後日談を聞くと、私たち人材紹介会社も「紹介して良かった」と心からうれしく思います。
人選の初期段階からミスマッチを防ぐ
もっとも、理想的なマッチングを実現するためには、いくつか重要なポイントがあります。
そのひとつは、人材紹介会社が双方のニーズをしっかりと把握し、人選の初期段階からミスマッチを防ぐ手立てをしておくことです。そのためにはまず、求人企業がどのような会社であり、どのような人材を求め、どのような環境でどのような仕事をするかなどを知ることから始まります。先ほどもお話しましたが、「なぜその人材が必要なのか」の背景を知ることも大切です。たとえ同じ職種であっても、必要性の背景によって求められるスキルや人間性が異なるからです。
また、求職者のことも詳しく知る必要があります。その人が「なぜ転職しようとしているのか」「これまでどのような仕事をしてきたのか」「職務経験にどのような特徴があるのか」「どのような仕事をしたいのか」「将来どのような人生を送りたいのか」などです。
自己分析しておかないとミスマッチになりやすい
一方、求職者自身も自分のことをよく理解しておきましょう。過去の自分を棚卸し、周囲の環境を把握し、今後のキャリアプランを描くことが非常に大切です。なぜなら、そうした自己分析をしておかないと、自分を見失い、結果的にミスマッチとなりやすいからです。
簡単な例をご説明すると、たとえばある人が「自分はもっとやりがいのある仕事をしたい」と思って転職を決意したとします。ところが、同じ職種で多数の企業が求人を出していて、複数の企業へ応募・面接に行くなかで迷いが生じ、つい待遇条件を優先し、転職先を決めてしまうことがあります。転職活動の途中で、当初の転職動機を見失うのです。その結果、入社後に満足感を得られず、すぐに退職してしまう——という例もあります。
こうした事例はけっして特殊なケースではなく、ありがちなケースなのです。
双方が「いい転職だった」と感じられるように
そのため私たち日本マンパワーでは、キャリアカウンセラー(CDA)が求職者とじっくりと時間をかけて面談するようにしています。CDAはキャリア支援の専門家ですから、その人の自問自答を促しながら、自分自身についてしっかりと整理してもらっています。
また、理想的なマッチングを目指していますので、求人企業に営業するスタッフと、求職者と面談するスタッフは同一人物としています。つまり、求人案件ごとに最初から最後まで1人で担当しているのです。人材紹介会社によっては担当を分けているケースもあるようですが、私たちは、効率が悪くなろうとも同一人物が担当する方が望ましいと考えています。
ですから場合によっては、「この会社の仕事は、あなたの思い描くキャリアを叶えられないかもしれませんよ」とお話しすることもあります。ミスマッチを未然に防ぐためです。誤解を恐れず究極の理想を言えば、「求人数1人に対して、最適の求職者1人を紹介する」くらいの気持ちでマッチングしようと考えています。
転職を考えている人、中途採用のニーズがある企業、その双方が何十年後かに喜ばれるサービスを提供できればと思います。