ちょっと一息

「社会保険労務士」学習のコツ

今なら間に合う、合格するための短期学習法

[2013/01/30]


 社会的評価が高く、活躍の場が広い国家資格、社会保険労務士(社労士)。受験者申込者数も増加傾向にあり、2008年以降はコンスタントに6万人を超えています(2010年は7万人超)。
社労士1 ただ人気が高い分だけ難関です。出題範囲も非常に広く、学習期間は最低8カ月以上必要だと言われています。試験は例年8月下旬ですから、「今から学習を始めるのでは今年度の試験には間に合わない」ということになります。
 ところが! 今からでも合格を狙える短期学習法があるのです。「私もその方法で合格した」という教材開発担当者、小山明彦さんにその秘策をうかがいました。
 「これから勉強を開始して、今年の試験で合格したい」という方は、ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアクリエイト制作部 第1課
 小山 明彦 さん
 (社会保険労務士)


今年度合格に向けた短期集中学習法

 社労士の出題範囲は広く、試験では正確な知識が求められます。そのため、「学習期間は最低8カ月必要」だと言われます。日本マンパワーの初学者向け通信講座『社会保険労務士受験通信講座』でも、標準受講期間を8カ月としています。できれば、10カ月くらいかけてじっくりと学習するのが理想的です。
 でも、「まだ学習は始めていないけれど、今年度の試験に合格したい」「忙しいのでなるべく短期集中的に学習したい」という人もいるのではないでしょうか。そうした人に向けて、受かるための学習法をご紹介いたします。
 実は私もこの学習法で社労士に合格しました。ただ、これはあくまで“合格するための方法”であって、“知識に精通し深く理解するための方法”ではありません。そのレベルまで求めてしまうと到底時間が足りません。そのことだけはお断りさせていただきます。


限られた学習時間を効率よく活かす“7割学習”

 短期学習のポイントは大きく2つあります。ひとつは7割学習にこだわること。そしてもうひとつが問題集とテキストを並行学習することです。

 まず、7割学習についてご説明しましょう。
 社労士の試験には、5つの穴を選択肢から選んで埋める選択式試験(8問、各5点、40点満点)と、5つの選択肢から1つを選ぶ択一式試験(70問、各1点、70点満点)があります。
 このうち選択式試験は、文脈からある程度判断できる面がありますので、問題文の内容を覚えていれば問題は解けます。ですから、選択式対策独自の学習は、6月くらいからの準備で十分間に合います。しかし、択一式試験はそう簡単にいきません。5つの選択肢それぞれについて○か×かの社労士2判断ができないと、正答の確率が下がってしまうからです。
 そこで日本マンパワーが勧めているのが7割学習なのです。7割学習とは、70問の問題のうち、7割を確実に得点し、残り3割は捨ててしまうというものです。7割得点できれば択一式試験はほぼ間違いなく合格基準を上回ることができます。
 「7割よりも満点を狙った方が合格しやすいのでは?」と思われる方がいるかもしれませんが、短期学習で合格を目指すうえでは、非常に効率の悪い学習法です。なぜなら、満点を狙うためには、誰も解けないような難問や10年に一度も出題されないような問題も追うことになり、学習時間に無駄が多くなるからです。ただでさえ出題範囲が広い試験なのですから、短期学習で合格を目指すのであれば、出やすい問題を確実に解けるようになる学習が重要です。限られた学習時間を効率よく活かすこと、合格水準に到達できること——両方を満たすためには、7割学習しかないと思います。


問題集+テキスト並行学習の流れ

 それでは、具体的な学習法、問題集とテキストをどのように並行学習するかについてご説明します。
 まず、『社会保険労務士受験通信講座』の教材の中から択一式対策重要過去問題集を取り出し、問題を読みます。そして、自分の知識の範囲内で結構ですから、どれが正しいか見当をつけてみてください。たとえば健康保険法の高額療養費に関する問題で、別掲のAは正しいと思いますか? 間違っていると思いますか?
社労士・問題

 まだ何も学習していない状態ですから、わからないのが当たり前です。それでも構いません。すぐに、同じ問題集の解答・解説ページを読みましょう。そこには各選択肢の○×の別とその根拠が記載されています。もっとも、それを読んだところでおそらく何のことだかわからないと思います。
社労士・解答

 そこで、各選択肢に該当する部分のテキストを開き、しっかりと理解できるまで読んで覚えるのです。解答・解説ページには「テキストのどこに関連記述があるか」が示されていますので、該当箇所はすぐに探せるはずです。
 たとえば先ほどのAという選択肢については、テキスト6P140と書かれています。テキストでその該当箇所(別掲の最下部)を見ると、「6.組合管掌健康保険から協会管掌健康の被保険者に変わる等、管掌する保険者が変わった場合には、支給回数は通算されない」と解説されています。しかし、問題の選択肢Aには「年金事務所が変更された場合には〜〜通算されない」と記載されていました。つまり、テキストの記載内容と異なるため、Aは×ということになります。
社労士・テキスト

 このようにして、解いた問題すべての選択肢について解答・解説を読み、○×の根拠が腑に落ちるまで、テキストに書かれている内容で覚えてしまうという学習を行うのです。5月末までに択一式対策重要過去問題集2冊すべてを終えるのが目標です。10日で1科目(約25問)のペースで取り組めば、目標通り終えられます。


並行学習のメリットと留意点

 こうした問題集・テキスト並行学習のメリットはいくつかあります。
 第1に、テキストを読んでから問題集に取り組む方法よりも、ひと通りの学習を短期間で終えられること。
 第2に、7割学習に合致すること。択一式対策重要過去問題集は、過去問の中で重要な問題だけを厳選しており、これに取り組むことがそのまま7割学習となるのです。
 また第3には、出題者が問題を作成するパターンをつかめることです。もっと具体的に言えば、選択肢のどの部分に間違った記述を盛り込むか」というパターンが見えてくるということです。このパターンをつかむことによって、学習がさらに効率的になるとともに、試験での実践力を養うことができます。

社労士3 ただ、並行学習で気をつけていただきたい点があります。それは、テキストを読む際には強弱をつけて読むということです。テキストに記載されていることすべてを同じ力の入れ具合で理解しようとするのではなく、重要ポイントは必ず理解して確実に覚える」「重要でない部分は無理に理解しようとせず、テキストの文章を丸暗記する」ことが大切です。
 「重要ポイント」とは、ページの左側に「過出 平成○年」などと記載されているところとその解説に関連する内容です。「重要でない部分」とは<参考>欄です。試験にあまり出ないので、読み飛ばしても構いません。


6月から本試験までの学習法

 こうして問題集・テキスト並行学習を5月末までに終えたら、6月以降は次のような学習法に切り替えましょう。

<6月頭〜> 
社労士4●「択一式対策重要過去問題集」をもう一度解く
2回目なので、今度はきちんと問題を解いてください。そして、あてずっぽうでしか答えられなかったら、再度テキストで学習し直してください。また、「理解はしていたのだけれど忘れていた」という場合は、テキストを読み返す必要はありませんが、問題集でしっかりと覚え直してください。
●「選択式対策パワーアップ問題集」を解く
うろ覚えの部分については、テキストの該当箇所を暗記しましょう。

<7月中旬〜>
●「法改正情報」を読む
社労士試験では、法改正された内容がよく出題されます。ただし、これまで説明した学習方法だと、この部分の学習が不十分になってしまうので、きちんと学習しましょう。
●「直前模擬試験」を2回解く
時間を計って、本試験のつもりで解いてください。法改正部分からも出題しています。間違ったところやうろ覚えのところは復習しましょう。
●重要ポイントを中心に総復習をする

 これが、私の考える短期学習でも合格を狙える最善の方法です。ただ、もっと以前から勉強している人もいるのですから、1日3時間は学習時間を割くことを覚悟しておくべきでしょう。
 また、いくら短期とは言っても、2月中に学習を始めるのがリミットです。日本マンパワーの場合、講座へのお申し込みから教材がお手元に届くまで最長1週間かかることがありますので、この記事を読んでいる今が最後のチャンスだと言えるかもしれません。今年度合格を狙う方は、すぐにもお申し込みください。

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