財務・会計を知って「できる人材」になる!
[2008/04/28]
みなさんは会社の決算書が読めますか? 私は、幾度となく上司から説明を受けたのですが、いまだに理解できていません。何種類かある利益の区別がつきませんし、仕入と原価と棚卸の関係も非常にあやふやで・・・。
でも、最近独立したデザイナーが言っていました。「会社に勤めていた時はデザインさえしていればよかったけれど、独立すると財務・会計の知識が必要なので大変! 今、必死で勉強してるよ」って。
マネジャーや独立開業を志向する人にとって、財務・会計の知識はなくてはならない知識だそうです。また、マネジャーでなくても、たとえば営業担当者の場合、財務・会計がわかるかどうかで「伸びる営業担当か、伸びない営業担当か」の差がつくこともあるようです。
そこで今回は、財務・会計知識の必要性と活かし方について、企業のマネジメント研修などを担当している大恵英樹さんにお話をおうかがいしました。それを聞いて、「私もせめてP/Lくらいわからなきゃ一人前になれないんだなぁ」と痛感させられました。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
人材開発営業本部
東京営業第1部 第1課
大恵 英樹 さん
−将来、マネジャーとして活躍したいなら−
「どのような業種・職種の仕事であっても、お金が動けば必ず財務・会計に関係します。そして、仕事でも人材でも組織でも、望ましいマネジメントをするためには必ず財務・会計の知識が求められます。
たとえば、マネジャー向け研修に際して、あるお客様から次のように言われたことがあります。
『ウチのマネジャー陣の中には、予算立案できない人間がいる。前年度比と経験則でしか予算を考えられないので、根拠を聞いても答えられない。だから、財務・会計や計数管理についての研修を厚くしてほしい』
経営者層に近づけば近づくほど、財務・会計の深い知識が必要とされます。ずっとプレイヤーとして現場で働く人には不要かもしれませんが、将来、マネジャーとして活躍したい人は、若いうちから準備をしておくことをお勧めします」
−営業パーソンに必要とされる3つの理由−
「もっとも、現場のプレイヤーであっても、財務・会計の知識を得ることは、自分にとって大きな武器となるのは間違いありません。たとえば営業パーソンの場合、次の3点において有利になります。
(1)収益構造がわかると売上向上につながる
財務・会計の知識を得られれば、収益管理ができるようになります。たとえば、原価計算がわかるようになれば、最適な販売量、最適な価格、売価の最低ラインなどを把握できます。そうすれば、売上を上げるための工夫の幅も広がることにつながります。
(2)自分のキャリアアップに活かせる
一般的に、社内で新しい役割を得るためには、その前に自己の能力レベルを高めることが望まれます。逆に言えば、自己能力を高めることが、新しい役割獲得の条件だと言えます。その“能力”のひとつが、財務・会計知識なのです。特に部下を持つような職位を得るためには、プレイヤーとしての能力だけで役割を全うするのは難しくなります。自分の将来のため、財務・会計を学んで損はありません。
(3)コンサルティング営業が可能になる
BtoBの営業の場合、お客様は自社の収益を上げることを目的に商品・サービスを購入します。ですから、売る側の営業パーソンにとっては、お客様の問題・課題を分析し、お客様の収益を上げるような提案をすれば、自身の売上向上につながります。逆に、財務・会計の知識が乏しいと、お客様が納得してくれるような提案は難しくなります。
たとえば、『このサービスを利用すると、きっと得をしますよ』と漠然とした説明と、『このサービスを利用すれば、月間のコストを○円削減でき、○円に相当する付加価値も得られますので、月に○円の収益改善となります』と数字で示す説明とを比べれば、後者の方が説得力があるのは明らかです」
−問題解決・状況判断・戦略策定等のための必須ツール−
「数字に苦手意識を持っている人は財務・会計と聞くだけで敬遠したくなるかもしれませんが、最初は基礎知識だけで十分だと思います。損益計算書(P/L)の仕組みをおおよそ知っているだけでも非常に役立つはずです。
財務のプロを目指す人でない限り、財務・会計の知識はあくまでマネジメント・ツールです。では、何に役立つツールかと言えば、問題解決、意志決定、状況判断、戦略策定、変革対応などです。戦略を立てるには予算立案が欠かせませんし、問題が生じたり環境が変われば収益構造の見直しも必要でしょう。仕事・人・組織を動かすために、ベースとなるツールなのです。
みなさんも、自分の新しい武器として新しい知識を吸収してはいかがでしょうか?」
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