ちょっと一息

賢い情報整理のポイント Vol.1

メモの紛失・見忘れで失敗しないために

[2009/01/28]

 「この間の会議で指示したはずだろう! なぜ、やってないんだ?」
 「す、すいません。忘れていました・・・」
 こんな光景、みなさんの職場で見かけませんか?
 私の隣に座っている若手社員も、よくこうして叱られています。会議の時は覚えていても、ほかの仕事に追われているとつい忘れてしまうんでしょうね。上司からは「仕事に対する姿勢の問題だ」なんて言われていますが、本人は「メモした紙を見忘れただけなのに」と悪びれていません。そう思っていること自体、問題だと思うのですが・・・。

 メモをめぐるトラブル、みなさんは身に覚えありませんか? 思い当たるフシがあれば、ぜひこの記事を読んでみてください。編集技術者としてあらゆる情報整理に携わっている水谷一生さんに、メモをめぐる失敗防止法についてアドバイスをもらっています。水谷さんによると、メモのとり方ひとつで、仕事ができる人かできない人かまで推測できるようですよ。

●アドバイスしてくださったのは・・・
 有限会社エディット
 代表取締役
 水谷 一生 さん

メモで失敗しがちなパターン

 メモで失敗するパターンは、おおよそ類型化できます。大きく分ければ、次の4つです。
 (1)メモをとらない
 (2)メモをなくす(あるいはメモした場所がわからない)
 (3)メモを見ない(あるいは見るのを忘れる)
 (4)メモの書き方が未熟

 そして、これらの失敗の原因はほとんど、「意識」かあるいは「テクニック」かのどちらかによります。
 「意識」が原因となる典型的なパターンは(1)です。社会人として会議時や打ち合わせ時にメモをとるのは必須事項であり、メモをとらないのは仕事を軽んじているとしか思えません。なぜなら、人はみな「忘れる動物」だからです。話を聞いた直後は覚えているかもしれませんが、時間が経てば確実に忘れていきます。つまり、メモをとらないという行為は、あなたが「忘れてもいい」と思っている意識を反映していることになるのです。

 また、たとえ誰かの発言が取るに足りない発言であっても、まったくメモをとらなければ相手に失礼です。 「あなたの発言はメモする価値がない」と宣言しているようなものです。
 こうしたことを念頭に置いて、会議や打ち合わせでは必ずメモをとるようにしましょう。

忘れることを前提とした工夫を

 (2)のメモをなくすという失敗と、(3)のメモを見ないという失敗は、同じような原因から生じます。最大のポイントとなるのは、メモをとる場所です。手帳なのか、ノートなのか、メモ用紙なのか、はたまた関連資料の余白なのか?
 先ほども言いましたように「人は忘れる動物」ですから、忘れるような場所にメモをとれば当然、高い確率で忘れてしまうでしょう。ですから、メモをなくしたり、メモを見ないという失敗をしないためには、忘れないような、目につきやすい場所に書くことが大切になるのです。

 その点で私が最もお勧めするのは、レジュメなど関連資料の表面にメモ書きする 方法です。なぜなら、資料とメモが切り離されない状態で保管するしかありませんので、「資料を見れば、必然的にメモも目に入ってしまう」からです。
 逆に、手帳やノートなど、関連資料と保管場所が別々になってしまう場所にメモ書きすると、なくしたり見なかったりという可能性が高まります。

 万一、資料に書き込むべきではないなどの理由で、どうしても手帳やノートなどにメモをとる場合は、メモの内容を複写して資料と一緒に保管しておくことをお勧めします。そうすれば、「どこにメモしたんだっけ?」と後で探すような手間と時間をかけずに済みます。
 その他、(2)と(3)のトラブルを回避するには、次のような方法が考えられます。

●メモの数を減らす

 メモをなくしがちな人は、さまざまな紙にメモを書き、その紙をさまざまな場所に置いたり貼ったりしているのではないでしょうか?
 そんなことをしたら、どんなに記憶力の優れた人でも忘れてしまいます。それを避けるためには、 メモ書きした紙の枚数を減らすことです。たとえば、小さな紙なら1件しかメモできなくても、大きな紙に書き写せば20件までメモできるかもしれません。そうすれば、メモの枚数は20分の1に減り、紛失する確率も20分の1に減ります。
 特に、スケジュールなどの重要事項に関しては、1カ所にまとめることが大事です。私の場合、白紙の月別カレンダーを用意して、仕事に関する予定はすべてそこに書き込んでいます。外出することが多い人は手帳でも構いませんが、1日に何度も確認することが大切です。

●目につきやすい定位置に貼る

 私の場合、先ほど述べた月別カレンダーをデスクの前に貼って、1日に何回も眺めます。もちろん、いつも同じ場所に貼ってあります。ですから、メモをなくすことはあり得ません。見忘れることもありません。
 誰からも見える場所に貼ってあるので、ほかの人に見られることもありますが、その方がむしろ、忘れてもほかの人が忠告してくれるので助かっています。

●同一案件のものは専用ノートに

 同じテーマや同じプロジェクトに関する会議や打ち合わせが何回も行われる場合は、専用ノートを用意するといいでしょう。過去に何を話したのか、きちんと把握することができるからです。ただしこの場合、関連資料と分離しての保管になりがちです。
 ですから、重要な資料はノートに添付したり、一緒にファイリングしたりして、保管場所を1カ所にまとめることをお勧めします。

●忘れないうちに済ませる

 簡単に用件を済ませられるようなメモであれば、内容を覚えているうちに必要な仕事を済ませてしまうことも重要です。たくさん仕事が溜まっていると、古い仕事から片付けようとして、新しい仕事はどうしても後回しになってしまいがちですが、「仕事ができる人は雑用が早い」とも言われます。
 数分で済む仕事であれば、新しい仕事であっても忘れないうちに済ませてしまった方が、ミスを未然に防ぐことができます。

※(4)の「メモの書き方が未熟」なケースの対策については、次回のキャリ達でご紹介いたします。

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