ちょっと一息

キャリアの探し方・作り方 vol.6

“楽しく充実した自分”になる方法

[2007/04/25]

 「本領発揮」という言葉がありますが、仕事でそれを実感できるケースは少ないかもしれません。なぜなら、現実の仕事にはさまざまな障壁や既成の枠があるからです。そもそも、今の仕事が“自分の本領”に合っているかどうかですら、怪しいものですよね。
 次のように感じている人もたくさんいるのではないでしょうか。

 「もっと個性に合った仕事ができる環境を整えてほしい」
 「希望の部署に配属してくれたら、実力を発揮できるのに・・・」
 「仕事が自分にあまり合っていないので、面白さを感じられない」


 本領を発揮できるかどうかはともかく、少なくとも“やりがい”を感じて楽しく充実した仕事ライフを送りたいですよね。でも・・・なかなかうまくいかないのが現実です。

 ところが! 
自分にピッタリの“やりがい”や“楽しさ”を発見し、それを職場で生かす方法があるようなんです!
 適職診断ではありません。一人でもカンタンにできる方法。その秘訣は、「ひと」「もの」「データ」「アイデア」という4つで構成される志向性を把握した上で、ある固定観念を消し去ることらしいのですが・・・。
 詳しくは、日本マンパワー キャリア形成事業推進本部の長 隆一さんに説明していただきます。


−ワーク・タスク・ディメンション−
 「やりがいを感じて楽しく仕事をするためには、自分の職業志向性を知っておくことが大切です。職業志向性とは、『自分の職業興味がどの方向に向いているか』の指標です。
 職業志向性の指標はいくつかありますが、代表的なものに、
ホランドタイプという6つの興味領域を分類したものがあります。またさらに、6つのタイプを「データ」と「アイデア」、「ヒト」と「モノ」という2本の軸によって4つに分割したものを、『ワーク・タスク・ディメンション』と呼びます(図参照)。
 職業志向性を知る一番簡単な方法は、『データ』か『アイデア』かという縦軸、『ひと』か『もの』かという横軸を描き、この2軸によって分けられた4つのスペースのうち、自分の志向性がどこに位置するかを見い出すやり方です」




−成功体験を振り返る−
 「でも実際には、『自分の志向性がどこにあてはまるか』を見い出すのは至難の業です。むしろ、考えてもわからないのが普通です。
 本格的に職業志向性を見い出すためには専門的なツールを使って分析しますが、ひとつカンタンな方法をお教えしましょう。

 まず、自分のこれまでの人生を振り返って、『成功した体験』や『充実していた体験』を思い出してください。できれば3つ、紙に書き出します。

 そして、書き出した体験のそれぞれについて、『データとアイデアのどちらを多く活用したのか』(データを収集して活用したのか、アイデアを活かしたのか)、『ひとともののどちらの志向が強かったのか』(人との係わりを重視したのか、物やシステムの機能や構造に対する知見を活かしたのか)を考えてみましょう。たとえば、思いついたアイデアを周囲の人々を巻き込むことで成功したのであれば、『アイデア』と『ひと』の志向性を活かしたと考えます。また、物やその機能に関するデータを収集したことが成功要因であれば、『データ』と『もの』に対する志向性を活かしたと考えます。

 残り2つの体験についても同じ作業を行い、共通する志向性を見つけてください。その共通した志向性は、あなたの成功や、充実感、満足感を得るためのキーワードになるかもしれません」


−さらに重要な職業分析−
 「それでは次に、みなさんの職業(職種)についても分析してみましょう。実はこの作業は、志向性の分析と同じかもしくはそれ以上に、非常に大切なカギを握ります。
 営業、経理など、自分が就いている職業にどのような志向性が必要かを考えて、『ワーク・タスク・ディメンション』に当てはめてみてください。
 もしかすると、『データにもアイデアにも当てはまる』『ひとにもものにも当てはまる』などと悩んでしまうかもしれませんね。そうした場合は、『主なイメージ』を優先して、直感でどちらかを選びます。
 結論が出たら、自分の志向性と同じかどうか比べてみましょう。志向性が合っていない人も多いのではないでしょうか。
 このズレの意識こそが、“やりがい”や“楽しさ”を妨害する原因となるのです」


−“楽しく充実した自分”になるには−
 「しかし、ズレがあるからと言って、転職を考えるのは早計です。なぜなら、一般的な職業イメージも、そのイメージに対応した最適だと思われる志向性も、あくまでイメージであり、本当にその職業に最適な志向性であるとは限らないからです。日本では一般的に『ひと』、『アイデア』志向がイメージされる販売業においても、販売している商品および競合商品に対する深い知識(『もの』、『データ』志向)を活用して、トップセールスを勝ち取った例も多く見られます。

 ワーク・タスク・ディメンションが作られた欧米では、営業・販売・企画・市場調査・人事などは『データ』と『ひと』、経理・キーパンチャー・料理人・運転手などは『データ』と『もの』、エンジニア・生産管理・レントゲン技師・心理学者などは『アイデア』と『もの』、カウンセラー・著述家・弁護士・イラストレーターなどは『アイデア』と『ひと』に対する志向性が適しているといわれます。
 ただ、これらはあくまで一般論でしかありません。実際、たとえば経理の仕事であっても、みなさんが現在イメージしている仕事のやり方だけではなく、『アイデア』や『ひと』に対する志向性を活かすやり方もあるはずです。また、志向性をスキル(能力)と言い換えれば、どのような仕事においても、自分の発揮したいスキルをうまく使って成果につなげる方法があるということです。

 つまり、今みなさんが抱いている職業イメージは、『先入観』であることが多いのです。

 ですから
今一度、『職業』や『職種』に対するイメージを消し去ることをお勧めします。その固定観念の除去が、仕事の『やり方』を変える決め手となります
 試しに、みなさんが担当している仕事について、自分の志向性に合ったスキルを意識的に活用してみましょう。自分の志向性に合ったプロセスでできないか、工夫してみるのです。そうすれば、“楽しく充実した自分”になるきっかけを得られるかと思います」
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