すき間時間と休日をフル活用して短期集中学習
[2019/07/03]
「キャリアコンサルタント試験って、どう勉強すればいいの?」
「論述試験は過去問の正答が公表されていないので不安」
「学科試験対策に手一杯で、面接試験の練習ができない」
キャリアコンサルタント試験を控えた受験生からよく聞かれる言葉です。みなさんの中にも、同じような思いを抱いている人がいらっしゃるのではないでしょうか。特に、働きながら試験に挑戦する方は、できれば効率的に学習したいですよね。
そこで、直近の第11回試験にストレート合格した川合里奈さんに、ご自身の受験勉強体験をインタビューしました。受験勉強のスタイルは人によってさまざまかと思いますが、きっと参考になるお話もあるはずです。受験生の方はもちろん、『キャリアコンサルタント養成講座』の受講を検討している方も、ぜひご参照ください。
※本記事は、日本キャリア開発協会の実技試験を想定した内容となっています。
●今回お話を聞いたのは・・・
日本マンパワー
CDA事務局・講座管理課
川合 里奈 さん
養成講座が終わってから試験対策を開始
私が日本マンパワー『キャリアコンサルタント養成講座』を受講したのは、第11回試験を目指す講座です。試験日は、学科試験・論述試験が2月24日、面接試験が3月10日(日本キャリア開発協会)です。それに対して、養成講座のスクーリングの最終日は12月5日。スクーリング最終日から学科・論述試験日まで3ヵ月もありませんでした。私の受講したクラスが、スクーリング日程の遅いクラスだったからです。
そんな私が「試験対策をしなければ」と意識したのは、スクーリング日程がすべて終わってからです。どのように勉強すればいいかわからないながらも、まずは試験実施機関のウェブサイトに掲載されている学科試験の過去問をダウンロードして、ざっと眺めました。ざっと眺めただけで、解いたわけではありません。どのような問題が出るのかを何となく知っておきたかったのです。
その上で、養成講座で使ったテキストを読み直しました。全ページを読むのは時間がかかりそうだったので、労務管理論や労働法規、統計資料など、私にとって不得意な分野だけを読みました。その際、章末に掲載されている「理解度チェック」の問題にも取り組みました。設問数はわずかですが、基礎的な知識を復習できたと思います。
しかし、受験勉強はすぐに途絶えました。仕事が忙しくなり、試験対策をする余裕がなくなってしまったからです。気がついたらクリスマス。年が暮れようとしていました。
本格的に受験勉強を始めたのは年末年始休暇からです。まずは、試験日の早い学科試験対策です。社内の受験経験者から「過去問を解いた方がいい」とアドバイスを受けていたので、とりあえず1回分を解いてみました。ほとんど解けませんでしたが、「こういう問われ方をするのか」ということはわかりました。また、テキストを軽く読んだ程度ではまったく歯が立たないことを思い知りました。
あと2ヵ月もないのに、やっとスタートラインに立っただけ。少し焦り始めました。でも、焦りつつも年始は旅行に・・。スクーリング最終日から1ヵ月が過ぎました。
間違える問題がなくなるまで「過去問」
試験対策の遅れに対してさすがに「まずい」と思い、1月第2週目からはエンジンをかけました。最初に取り組んだのは、日本マンパワー発行の『キャリアコンサルタント学科試験 速修ポイント&模擬問題集』です。本書はテーマごとに見開き構成となっていて、左ページに本試験の頻出ポイント、右ページに模擬問題が掲載されています。私はこれを、模擬問題→ポイントという順で読みました。出題パターンの感覚をつかんでからポイントを覚える方が、実践に役立つと考えたからです。
『速修ポイント&模擬問題集』を読んだのは、もっぱら通勤電車の中です。往復2時間近く電車に乗っていますので、10日間くらいでひと通り読み終えました。併行して、どのテーマに力を入れて勉強すればいいのかを知るため、クラスメイトなどと出題傾向の情報交換をしました。
ただ、この時点で学科試験まであと40日くらい。いてもたってもいられず、ホルダーの先輩3〜4人に「どのように勉強しましたか?」と質問しました。が、答えは意外にもバラバラ。「毎日1時間ずつ勉強した」という人もいれば、「休日にまとめて勉強した」という人もいます。唯一の共通点は、以前からアドバイスされていた「過去問を繰り返し解く」ということでした。
そこで、試験実施機関のウェブサイトから3回分、クラスメイトが入手してくれた2回分、5回分の過去問を入手して解き、わからなかった問題について復習をしました。ただ、復習を深追いするほどの時間的猶予がなかったので、間違えた問題に印をつけておき、5回分を終えてから間違えた問題だけを再度解くようにしました。もちろん、また間違える問題も出てきます。それについてはもう1回・・。そのようにして、間違える問題がなくなるまで解きました。
2種類のまとめシートで直前対策の準備
そうこうしている間に、本試験が実施される2月に突入しました。ますます焦りを感じつつも、知識を整理してきちんと定着させることを目的に、オリジナルのまとめシート作りに取り掛かりました。まとめシートは2種類です。
ひとつは、法律や統計資料の分野で、過去問で間違えた問題やたまたま正答しただけの問題を、パソコンで入力して一覧化しました。いわば、自分の苦手問題を凝縮したまとめです。勉強を進めていく過程で随時追加していきました。
もうひとつは、理論やアセスメントの分野を整理して理解するために、重要ポイントを書き出しました。比較的得意分野でしたが、得意分野だからこそ「ほかをカバーするために落とせない」と思ったのです。全部で6枚だけでしたが、まとめている過程で関連する知識も得られたように思います。
この2種類のまとめシートは、後々とても役立ちました。試験直前になると、テキストや資料をひも解く時間が惜しくなりますが、まとめシートがあれば時短になるからです。また、「これを見れば頭の整理ができる」とお守りのような存在にもなりました。
こうした学習のほとんどは、仕事が休みの日に集中して取り組みました。1月中旬以降、休日は1日中勉強していました。食事と入浴以外の時間はほとんど勉強。これほど勉強したのは大学入試以来です。
平日に取り組んだのは、通勤途中とお昼休みのすき間時間だけです。通勤時には『速修ポイント&模擬問題集』やまとめシートを読んでいました。お昼休みには、日本マンパワーの『Web版キャリアコンサルタント学科試験答案練習コース』、通称『Web答練』を解いていました。『Web答練』は、本試験の出題を想定した四肢択一式の問題が450問。私が始めたのは試験の2週間前でしたから、全問を解くことは諦め、不得意な分野を中心に解きました。過去問に比べて難しい印象でしたが、知らなかった知識を補うことができ、確実に効果があったように思います。
本試験では80点台後半で合格することができました。
川合さん手書きのまとめシート
論述試験対策は資格ホルダーに添削を依頼
論述試験対策については、4〜5回分の過去問を解きました。ただ、論述試験については公式の正答が公表されていないので、先輩の資格ホルダーさんの協力を仰ぎました。私の回答を添削していただいたのです。
初めて過去問を解いたのは、本試験の2週間前。解いてみてわかったのは、私の回答が具体的でないということです。たとえば、「事例ⅠとⅡの違いを記述せよ」という問題に対して、「事例Ⅰでは全体的に傾聴や共感をしていない」「CCtが感じたことをCLと共有することで……」というように、抽象的な表現しかできませんでした。キャリアコンサルタントのどの発言にどのような特性が表れているのかを、説明できていなかったのです。そうした点を指摘され、具体的な発言を挙げながらわかりやすく伝えられるように心掛けました。当初はどのような回答が良くてどのような回答が悪いのか、まったくわかりませんでしたが、何回か添削をしてもらっているうちに、「ああ、そういう観点で採点されるのか」とわかるようになってきました。
また、時間配分にも気をつけました。考えすぎると時間が足りなくなってしまうので、過去問を解く際には必ず時間を計り、読む時間、考える時間、書く時間の理想的な配分の感覚を身に付けるようにしました。その意味では、速く書くことにも心掛けました。
ロールプレイングは回数を重ねるうちに
面接試験のロールプレイングに関しては、初めて練習をしたのがスクーリング最終日から約2ヵ月後、本試験の1ヵ月ほど前です。もっと前からクラスメイトとの練習会が実施されていたのですが、都合がつかなかったからです。そのため、ロープレの感覚をすっかり忘れていて、キャリアコンサルタント役の15分間がとても長く感じました。もう少し早い時期から練習すべきだったと反省しています。
それでもホルダーさんにご協力いただき、試験日までに5日、1日につき2回ずつ練習することができました。練習の仕方はみなさんと同じだと思います。キャリアコンサルタント役、クライエント役、オブザーバー役に分かれて試験と同様にロープレを行い、ホルダーさんからフィードバックしてもらうという方法です。
私は練習を始めた頃、「次は何を質問すればいいだろう?」「この後はどうつなげていこうか?」など、自分の発言ばかりに気が向いていて、クライエントのことをないがしろにしていました。そのためフィードバックでは、「クライエントと同じ映像を見るように心掛けよう」「経験の再現を意識しよう」「クライエントが自分のことを考えられるように、もう少し間を空けよう」「表情でもクライエントに伝わるようにしよう」などと指摘されました。指摘されたことはメモに残し、次回に向けて改善できるように努めました。
そうして何回か練習を重ねるうちに、「求められているのはこういうことなのかな」と何となくわかり始めたような気がします。次の質問を考えなくても、自然に聴きたいことが頭に浮かぶようにもなりました。
なぜロープレの力がついていったのか、自分ではよくわかりませんが、ロープレ時の録音を後で聞き直したことも成長につながったのかもしれません。ロープレ中は必死ですから自己分析にまで至りませんが、後で冷静になって聞くとフィードバックされたことがよく理解できるのです。自分でも「こう問いかければ良かった」と反省できるようになりました。また、「今のは良かったよ」と褒められたロープレについては、お昼休みなどの空いた時間に何度も聴きました。自分のいいイメージを覚えておくためです。
さらに、養成講座の受講生はスクーリングの授業で見た経験代謝解説映像の西田さんのケースをウェブサイトで視聴することができますので、それを見てお手本にもしました。特に、姿勢や表情など身体的なかかわり方が非常に参考になりました。
こうして実技試験もストレートで合格することができました。
みなさんの最終ゴールを目指して
学習の仕方は人によって異なりますので、必ずしも私の学習法がみなさんに合うとは限りません。それを踏まえた上で、あえてみなさんにアドバイスできるとすれば、次のようになります。
学科試験については、勉強に時間をかければかけるほど点数につながると思います。机に座っている時間だけでなく、ちょっとしたすき間の時間を有効に活用されるといいのではないでしょうか。また、多くの方が口を揃えるように、過去問は特に重要です。間違える問題がなくなるくらいまで、何度も繰り返し解くことをお勧めいたします。私は受けませんでしたが、『キャリアコンサルタント学科試験対策模擬試験』も効果的かもしれません。
論述試験と面接試験については、自分ひとりでは対策できません。ホルダーさんに協力していただくことが不可欠だと思います。ホルダーさんは試験で何が問われるかを知った上で、受験生の特性に合わせてアドバイスしてくださるからです。
「ホルダーの知り合いが誰もいない」という方がいらっしゃるかもしれませんが、クラスメイトの中にホルダーさんと知り合いの人がいるのではないでしょうか。さまざまなルートをたどっていけば、きっとホルダーさんにつながると思います。もし「ホルダーさんとつながれない」「クラスメイトとの勉強会に参加できない」という場合は、日本マンパワーの実技試験対策のオプション講座を利用するのも一つの方法かと思います。必要に応じてご利用ください。いずれにせよ、自分の感覚がつかめるまで、ぜひ練習の回数を重ねてください。ロープレの練習は論述試験対策にもつながります。
もっとも、このように試験対策のお話をすると、試験に合格することだけがゴールのように感じることと思います。でも、みなさんの最終ゴールは試験合格ではないはずです。「資格を取ったらこうしたい」「こうなりたい」ということを忘れず、試験に臨んでいただければと思います。
(注釈)
※本記事は、日本キャリア開発協会の実技試験を想定した内容となっています。