「OJTによる相互人材育成」の最新事情
[2009/04/27]
「来年度は予算を削減せざるを得ず、今までのように社員教育にお金をかけられる状態ではなくなりました」
リーマン・ショックが生じた昨年の秋以降、こうした言葉が企業の人事担当者から聞かれるようです。ただ一方では、「こんな時代だからこそ、きちんと若手社員を育てて戦力化したい」という企業も少なくないとか。そのような企業では、人材育成についてある共通のキーワードがあるようです。
こんな話をしてくれたのは、日本マンパワーで人材教育に関わる法人向け営業を担当している荻野琢哉さん。荻野さんによると、人材育成に力を入れている企業に共通する最近のキーワードは、「OJT」とのことです。OJT自体は以前から知られる手法ですが、どのように変わってきているのでしょうか? 最新のOJT事情についてうかがいました。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
人材開発営業本部 東京営業部
荻野 琢哉 さん
OJTが見直される背景
去年の秋以降、「OJTを強化したい」という人事担当者の声は、本当によく耳にするようになりました。私が担当しているお客様の多くからそのキーワードが聞かれます。
OJTが改めて注目されているのには、2つの背景があるように思います。
まずひとつが、新入社員の早期育成。採用募集人数を抑える傾向の強い現状において、社員一人ひとりの生産性を高めることは必須事項となっています。そのためには、新入社員にも早い時期から戦力として活躍してもらう必要がありますが、指導するマネジャーや中堅社員は実務に忙しく、じっくりと教える時間がとりにくい。そこで、入社2〜5年目の若手社員によるOJTに期待が寄せられているのです。
もうひとつの背景は、ちょうどOJTのトレーナーとなるべき立場にある、若手社員のスキルアップです。現に、将来のマネジャー候補養成の必要性を訴える人事担当者の方も増えています。その点、OJTトレーナーとして人に教えることは、自らの成長にもつながります。マネジメント能力を身につける第1ステップとして位置づけることもできるのです。
つまりOJTは、「企業全体の底上げを図る人材育成策」だと言えるのです。
OJTで陥りがちな問題
ただ、OJTには陥りがちな問題があります。それは、新入社員がトレーナーから仕事を学ぼうとしても、見ているだけではなかなか学べないことです。
最近の若い世代はマニュアル世代といわれています。昔の職人のように、「背中を見て覚えろ」「技は自ら盗め」というスタンスは通用しません。これでは、新入社員のモチベーションが下がってしまいますし、早期育成にもつながりません。このことは、私の担当しているお客様からもよく聞かれる言葉です。
ですから、新入社員に対するOJTでは、しっかりと手本を見せて丁寧に教え、まずは本人に最後までやらせることが大切です。時間がかかっても待ってあげる勇気も必要です。
しかし一方で、教えるべきトレーナー自身も教えなければならないことはわかっているが、実務に追われて時間的余裕がない。教え方もわからない。そんな悩みを抱えています。その悩みが解決できないことが、教える側のモチベーションを下げてしまう要因の一つにもなっています。
こうなってしまうと、本来の目的である新入社員とトレーナーの成長が実現できません。悪循環だと言えます。
通信講座によるフォローアップ
こうした悪循環を断ち切るために昨年の10月に新規開講した通信講座『OJTトレーナーコース』を活用いただいています。
この講座は、「OJTは難しくない」という考え方から始まり、OJTの意義やトレーニング方法、コーチングまで、段階を追って学習します。添削問題に新入社員の育成計画を立てる内容も盛り込まれていますから、トレーナーの考えを整理するためにも活用できます。
実際、ご採用いただいている人事担当者からは、『考え方ややり方が、具体的でイメージしやすい』、『心にしみる内容だ』との評価をいただいています。
たとえば、自分の入社当時を思い起こしてもらうと、「あの先輩の教え方はわかりやすかったな」とか「あの教え方は嫌だったな」など、具体的なシーンが思い浮かぶはずです。つまり、「自分が新人の頃にされて良かったことは真似をして、嫌だったことはやらないようにする」ということです。
OJTは難しいことではありません。自分が経験してきたことを、そのまま素直に伝えてあげて、自分らしい指導スタイルを創りだしてください。
2008年10月新規開講
人を育て自分も育つ!キャリアを見つめる!
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