ちょっと一息

自律型次世代リーダー育成シリーズ

成果につなげる「ビジネス交渉術」とは

[2011/10/26]


交渉術1 みなさんは交渉が得意でしょうか?
 一般的に、日本人は交渉に対する苦手意識が強いと言われます。その理由はおそらく、「言葉巧みに丸め込むほどの自信がない」とか、「相手を打ち負かすことに気が引けてしまう」などではないでしょうか。
 でも、「交渉が苦手」だと思っている人は、交渉というものを勘違いしているケースが多いようです。みなさんは「交渉」にどのようなイメージを抱いていますか?
 実は交渉とは、けっして勝ち負けを争うものではありません。相手とWin−Winの関係を作るための行為で、問題解決のひとつでもあります。ですから、駆け引きではなくコミュニケーションなのです。
 日本マンパワーの新講座『成果につなげる ビジネス交渉術コース』では、こうした交渉術の基本からすぐに役立つテクニックまで、わかりやすく解説しています。その具体的なエッセンスについて、講座担当の小出真由美さんにご紹介いただきました。多くのビジネスパーソンに役立つ内容だと思いますので、ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアクリエイト部 第2課
 小出 真由美 さん


苦手意識を生む勘違い

 交渉とは勝ち負けの結果を決めることではない。
 自分と相手とが「Win−Winの関係」になることを目的とする。
 そのためにどのような解決策があるかを見い出すことが大切。

 『成果につなげる ビジネス交渉術コース』のテキストは、このような捉え方をベースにしています。日本のビジネスパーソンには、「交渉が苦手」だと感じている人が多いと思いますが、このような捉え方をすれば、苦手意識がなくなるかもしれません。
 実際、本テキストを教材として弊社営業担当者で勉強会を開いたら、予想以上の好評を得られました。営業を専門業務としている人でも、「交渉は勝ち負け」だと勘違いしている人が多く、「非常に役に立った」と喜ばれました。また、テキストの後半に盛り込まれている具体的テクニックのおかげで「お客様とスムーズに交渉が進んだ」という即時効果の報告も見られました。
 そんな新講座の内容について、エッセンスを少し紹介させていただきます。


交渉成功の「4つのポイント」

交渉術2 ビジネス交渉を成功させるポイントはいくつかありますが、大きく4つ挙げられます。それは、
  (1)相手の立場を理解する
  (2)相手の感情を客観的に読み取る
  (3)そもそもの目的を共有する
  (4)BATNAを用意しておく
ということです。順に説明しますと、
 「(1)相手の立場を理解する」というのは、「相手も自分も、会社から求められる役割を演じている」ということを意識することが大切だという意味です。そう意識できれば、たとえ相手の言い方にカチンときても、相手の立場を尊重できるようになり、冷静に対処することができます。自分が感情的になってしまうと交渉は失敗しがちですので、十分に気をつけたいところです。
 その上で、身体の動きなどから「(2)相手の感情を客観的に読み取る」ことができれば、どのようなアプローチをすればよいかの判断がより的確になります。
 また、「(3)そもそもの目的を共有する」ことも大切です。相手の言いなりになって自分だけが損をしてしまってはいけませんが、相手を一方的に打ち負かしてしまうと、その後の取引が続かない可能性もあります。たとえ利害が対立しているように見えても、「AかBかどちらかが勝つ」という答えではなく、AもBも満足できる別の答えがあるかもしれません。ですから、「そもそも両者の目的はなんだろうか」を考え、共有して、ゼロベースで問題解決策を見い出していくことが大切です。
 「(4)BATNAを用意しておく」のBATNAとは「バタナ」と読み、Best Alternative To a Negotiated Agreementの略です。交渉が決裂した際の対処策として最も良い案のことを意味します。たとえば、「定価5万円の商品がC社に売れなくても、D社に3万円で売ることができる」などという最悪のシナリオを描いておくということです。そうすれば、ずるずると値引きさせられて「C社に2万円で売ってしまった」などの事態を防ぐことができます。このBATNAは非常に重要で、こうした基準があると毅然とした態度で交渉に臨めます。心理的に追い込まれることもなくなるでしょう。


すぐ使える交渉テクニック

 テキストでは、こうしたポイントについて事例を挙げながらわかりやすく解説した上で、読んですぐ使える交渉テクニックをいくつも掲載しています。
 たとえば次のようなケースで、みなさんはどのように交渉を進めますか?

【事例】
 あなたは出張のため、地方のホテルを1泊、インターネットで予約しました。訪問先であるクライアントの隣に立地する便利なホテルで、値段も手頃です。しかし、ホテルに到着すると、フロントから「こちらのミスで予約されていませんでした。あいにく当ホテルは満室でして・・」と言われました。あなたが怒ると、ホテルのスタッフは「3つ先の駅のホテルの予約が取れましたので、そちらでお泊りいただけませんか」と頼んできました。しかしそのホテルは料金が高い上、クライアントから遠くなります。

 さて、どのように交渉するのが最善なのでしょうか? それは、あなたが自ら譲歩案を提示することです。たとえば次のように交渉することができます。

【参考例】
交渉術3 では、仕方がないので、3つ先の駅のホテルに泊まります。ただ、私がこのホテルを選んだのは
・明日訪問する予定のクライアントの隣であること
・料金の価格が手頃だったこと
にあります。でも、3つ先の駅のホテルに泊まるとなると、今からの移動と、明日の朝に使える時間が大幅に変わります。その点を御社に負担していただきたいのです。
 明日の朝の移動時間は大目にみるとします。しかし、今日これから移動するための費用の負担と、宿泊料金の差額の費用を負担していただきたいのです。

 自ら譲歩案を出すことは、相手からのとんでもない提案を未然に防ぐことができます。つまり、自分の利益を相手任せにしないということです。
 『成果につなげる ビジネス交渉術コース』では、ほかにも具体的なテクニックを学ぶことが可能です。交渉術は、取引先とのビジネスだけでなく、社内でもプライベートでも活用できますので、非常に有用な講座だと思います。

 

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