ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.19

迷ったときは「心のコンパス」を覗いてみよう

[2009/12/24]

ハッピーキャリア たとえば今日、上司からあなたに昇進の話が打診されたとします。そうしたら、すぐにOKの返事をすることができますか?
 昇進は一般的に成功と見なされるものですが、なかには「どうも腑に落ちない」「なんとなく違和感がある」「自分が取り繕っている感じがする」など、素直にOKと返事できない人もいるのではないでしょうか?
 その原因はもしかすると、「私らしくないのでは?」という“勘”が働いているからかもしれません。
 昇進に限らず、何かの岐路に立った時、私たちの頭の中には迷いが生じます。知らず知らずのうちに社会通念や常識、慣習などにとらわれ、「自分らしくない方向」を選んでしまうこともあるでしょう。
 ただ、勘の働かせ方に慣れている人は、「自分らしい方向」を選ぶのに長けています。日本マンパワーでキャリアカウンセリング講座の講師指導やプログラム開発を担当する水野みちさんは、こうした方向性を示す勘のようなものを“心のコンパス”と呼んでいます。
 “心のコンパス”の向きを知る練習法や、そのメカニズムについておうかがいしました。

●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアドック部
 CDA、産業カウンセラー、J-APT MBTI認定ユーザー
 水野 みち さん

コンパスの向きを知る練習法

 誰にも、「なんとなく惹かれること」があると思います。逆に、「なんとなく違和感があること」もあるでしょう。このように、はっきりと自覚できてはいないものの、ボンヤリと方向性を示す心の動きを、私は“心のコンパス”と呼んでいます。
 一般のコンパスが地球の磁気に反応して方位を指し示すのに対し、“心のコンパス”は、自分の興味や価値観、過去の経験などに反応して「自分らしさ」の方向を示します。自分らしく生きるための重要なヒントになりますので、“心のコンパス”がどちらを向いているか、意識してみてはいかがでしょうか。ハッピーキャリア2

 “心のコンパス”の向きを知る練習法として、たとえば次のような方法が挙げられます。これは、「どのような仕事に就けばいいのか、自分でもわからない」という求職者に対して、キャリアカウンセラーがよく行う支援方法のひとつです。

 1)求人情報誌を見て、「自分が応募する・しないにかかわらず」あるいは「自分ができる・できないにかかわらず」、求職者本人が「いいな」と惹かれた会社すべてにマーカーで印をつけてもらう。
 2)マーカーで印をつけた会社の求人情報を切り抜く。
 3)切り抜いた求人情報を一覧できるように並べ、「自分が惹かれやすい傾向」を求職者本人に探ってもらう。

 3)の「自分が惹かれやすい傾向」こそ、“心のコンパス”が向いている方向だと言えます。もちろんそれは、人によって異なります。会社の知名度に惹かれやすい人もいますし、求人情報のキャッチフレーズに惹かれやすい人、掲載されている写真のイメージに惹かれやすい人もいます。
 “心のコンパス”の向きがすぐにわからない場合は、惹かれた要因を会社ごとに書き出してみましょう。そうすれば、いくつか共通するキーワードが見つかるでしょうから、それを“心のコンパス”の向きだと判断することができます。

「自分らしく生きる」ために

 もちろん、現実的には“心のコンパス”の向きだけで職業選択をすべきでないと思います。将来展望や現実的計算、職業分析も合わせて考えることが大切です。求人情報を切り抜く方法は、あくまで“心のコンパス”の向きを知る練習としてください。慣れてくると、「自分らしさ」を見つけやすくなるはずです。
 資格選びや通信講座選びでも活用できると思います。

ハッピーキャリア3 もっとも、場合によっては“心のコンパス”が見つけられないことがあるかもしれません。たとえば、興味、価値観、過去の経験が足りない場合です。“心のコンパス”はそれらに反応しますが、興味や価値観、過去の経験の引力が弱ければ、どこを指すこともできません。
 そうした場合は、思い切って行動してみることも効果的です。行動したことは、自分の経験として蓄積できます。そして、それが楽しかったか、ワクワクしたか、しっくりこなかったか、つまらなかったか、などを考えてみてください。そうすれば興味や価値観の明確化にもつながり、“心のコンパス”の向きに影響を与える引力が強くなります。同時に、「自分らしさ」のヒントとして活用しやすくなるでしょう。
 たとえそれが嫌なことだったとしても、「自分らしく生きる」ための糧となるのではないでしょうか。

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