ネクストキャリアをやりがいある日々にするために
[2016/04/26]
雇用延長制度が定着しつつある中、実際にみなさんの周囲ではどのような変化が起きているでしょうか? みなさんの中には、ご自身が定年を控えていたり、すでに退職していたりする人もいらっしゃることでしょう。巷では、「いずれは70歳までの雇用延長になるのでは?」という声も聞かれます。
実は、日本マンパワーの社内にも、50歳を過ぎてから転職してきた社員が何名か存在します。その一人が高木俊郎さんです。高木さんは、50歳代後半に前職を離れてネクストキャリアの道を選んだ経験を活かし、現在は、ネクストキャリアを希望する人の求職活動を支援しています。
高木さんがどのような考えでキャリアを変えたか? また、どのような求職支援をしているのか? ミドル・シニア層には特に参考になるお話です。ぜひご参考にしてください。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
キャリアコンサルティング部
市場開発グループ 兼 人材紹介・派遣グループ
担当部長
高木 俊郎 さん
キャリアカウンセラー(CDA)
何か次のキャリアを歩むなら
私は、新卒で入社してから33年半もの間、ある総合商社に勤めていました。
そのうち、21年半の期間は、鉄鋼製品の貿易と国内販売を担当していました。いわゆる営業畑の人間です。
ただ、退職する9年前に非営業部門に異動になりました。内部監査などを経て、最後の7年は人事部門に所属し、50歳以上の社員を対象とする再雇用運用やキャリアデザイン研修などを担当しました。また、個人からの申し出に基づく転職相談に乗ったりもしていました。
ただ、その会社は大手企業でしたので、多くの社員は「自分が特に何もしなくても、定年退職時期が近づいてくれば、会社が関係会社や取引先への出向・転籍を世話してくれるだろう」と考えていた風潮があったように思います。確かにそうして出向・転籍する人もいましたが、けっして全員に当てはまるわけではありませんでしたし、たとえ出向・転籍できたとしても本人にとって幸せな結果をもたらすとは言い切れませんでした。
ですから私は、シニア向けキャリアデザイン研修の冒頭などに、次のような話をよくしていました。
「もし、みなさんが何か次のキャリアを歩もうと考えるなら、会社を頼らず、自分の将来は自分で考えるようにしましょう。そして、そのためにきちんと準備期間を持って、計画的に考えましょう」
50歳を過ぎてから人脈が拡がった
その当時、実は私も50歳代になっていました。しかも、社員にそう話をしながら、私も自分自身のキャリア形成を当初は深く考えていませんでした。
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)のことを知ったのは、そんな時です。同じ部署の先輩がCDA資格を持っていたのです。彼はなんと、大学生時代からキャリアカウンセリングのサークルに入っていたという経歴の持ち主です。
その先輩からの勧めもあり、「仕事のために取っておく方がいいだろう」と考え、日本マンパワーの『キャリアカウンセラー養成講座』を受講することを決めました。
受講・資格取得して驚いたのは、個人的な人的ネットワークが拡がったことです。通学コースのクラスメイトとは今でも付き合いがありますし、受験者への支援などを通しても、人と人とのつながりがあります。私にとっては、人との輪が拡がったことが何よりのうれしい衝撃でした。
また、当時勤めていた商社では、悪く言えば「口八丁手八丁」の営業スタイルが身についてしまっていたので、傾聴とは正反対のタイプでした。人事の仕事をしている際も、相手を無理やり説得するような習慣がついていたと思います。でも、それでは本人が納得感をもって仕事をすることにはつながりにくいとわかり、非常に勉強になりました。
プライベート面では、夫婦間のコミュニケーションが良くなったと思います。受講前、妻から「あなたが人の話を聴くなんて無理よ」と言われたりしましたが、今では「以前より人の話に耳を傾けるようになった」と思ってくれているのではないでしょうか。
さまざまな面で自分磨きの機会を得ることができました。
早い方がチャンスもやりがいも大きい
さて、CDA受講と時を同じくする頃、自分自身のネクストキャリアも考え始めました。役職定年まで残り3年になった頃です。遅まきながら、それまで社員に「自分の将来は自分で考えよう。きちんと準備期間を持って、計画的に考えよう」と話していたことを、自分に向けるようになったのです。
結果的には、ちょうど役職定年の57歳を迎える一昨年秋から日本マンパワーに出向し、翌年正式に日本マンパワーの社員となりました。
もちろん、前職の商社に残るという選択肢もありました。でも、なぜそうしなかったかというと、ネクストキャリアのあり方を考えたからです。たとえば、前職で再雇用も含めて65歳まで働くと、その後の求職活動は非常に難しくなります。60歳から新しい職を探すのも、けっして楽ではありません。また、ネクストキャリアのスタートが遅れれば遅れるほど、新しい会社で働く期間が短くなります。
ですから、「いずれ自分の働く場所を変えるのであれば、少しでも早い方がチャンスもやりがいも大きいはず。57歳が最後のチャンスだろう」と考えたのです。
ミドル・シニア層対象の人材支援サービス
私は今、市場開発グループと人材紹介・派遣グループを兼務しています。出向時から続けている主な仕事は、おおよそ50歳以上の方を対象とする人材サービスです。商社と違ってモノを売るわけではありませんので、非常に難しい面もありますが、勉強になりますし、これまでと違った喜びを感じることも少なくありません。
たとえば「シニアプロ紹介」というサービスがあります。このサービスは、「高度な専門性と豊富な経験をお持ちの個人様」と「主体的・自律的に活躍する即戦力を求める企業様」とを結ぶ、新しいスタイルの人材支援サービスです。いわゆる顧問紹介とは違って、ニーズに合わせた働き方で培ってきたスキルを現場で活かすのが特色です。対象は50歳以上の方に限りません。ネクストキャリアを考えるミドル・シニア層の方を対象にしています。
この仕事を通して、個人の登録希望の方と面談や電話でお話しする際には、CDA資格を活かして丁寧に接するように心掛けています。そうすると、お客様から「連絡してくれる会社の少ない中、話を聴いてくれてありがとう」などと感謝されることがあります。そんな時は本当にうれしく思います。
キャリア支援に関心があるなら
一億総活躍が叫ばれる中、今後は70歳まで雇用延長される可能性も十分に考えられます。もしそうなれば、人によっては50歳前半から70歳までの約20年間が第二のキャリアになることもあるでしょう。それほど長く働くことが想定されるのであれば、やはり自分の将来は自分で考え、納得感を持って仕事に取り組んでいきたいものです。
そのためには、じっくり時間をかけて計画性を持って考えることが大切だと思います。また、ご家族をはじめ、相談する相手も重要だと思います。もし、私がその相談相手の一人としてかかわることができるなら、非常にうれしい限りです。
今、仕事を探しているミドル・シニアの方、または離職中の方、あるいはこれから本気でネクストキャリアを考えようとしている方は、ぜひ「シニアプロ紹介」をご活用ください。
一方、ご自身が「仕事やキャリアで悩んでいる人を支援したい」「何らかの形で人のキャリア形成の役に立ちたい」と思われている方は、この4月から新設された国家資格キャリアコンサルタントとCDA資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。支援する人の人生にも、自分の人生にも、きっとプラスをもたらすはずです。