ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.24

仕事と家庭を両立させる『ナチュラル・キャリア』

[2010/05/26]

 「結婚してからも働き続けたい」と考える女性が増えています。しかしその一方で、仕事と家庭の両立、いわゆるワーク・ライフ・バランスに悩む女性の声も聞かれます。
 「仕事と家事に追われて自分の時間がない!」
 「結婚したら仕事はできないかも・・」
 「産休をとっても、元の職場に戻れるかな?」
 こうした悩める女性たちに『ナチュラル・キャリア』を提唱しているのが、“予約がとれない”と言われるキャリアカウンセラー・弓ちひろさん。ナチュラル・キャリアとは、「仕事も家事もなんでも一生懸命にやるのではなく、ラクにする工夫をする。そして、まわりに振り回されずに、自分自身で人生の舵をとっていこう」という考え方です。
 今回は、日本マンパワー主催の「キャリアカウンセリング特別セミナー」でご講演いただいた弓さんのお話の中から、仕事と家庭を両立させるための工夫についてご紹介いたします。男性にも非常に参考になるお話だと思います。

●今回お話を伺ったのは・・・
yumi_chihiro 株式会社キャリアバランス 代表取締役
 キャリアカウンセラー
 弓 ちひろ さん
電子機器メーカー勤務を経て、企業研修講師およびフリーアナウンサーとして独立。その後、出産を機にCDA(第1期生)を取得してキャリアカウンセラーに転身。現在、「子育てと仕事の両立を支援するキャリアカウンセラー」の第一人者として人気を博している。著書『無理しないほうがうまくいく! ナチュラル・キャリア実践術』(朝日新聞出版)が好評発売中。


まわりを巻き込んで時間をコントロール

 仕事と家事を両立している女性にとって最も必要なことは、限られた1日24時間をいかに効率よくコントロールするかです。そのために私がいつも心掛けているのは、“まわりを巻き込む”ということ。「自分だけが一生懸命やっている」と思っていても、結局は誰かに迷惑をかけながら生きているものです。ですから、家事も育児も「全部自分一人でやろう」と思い悩むのではなく、夫や両親、友人、近所の人など、自分のまわりにいる人を巻き込むことにしたのです。「ごめんね、迷惑ついでにおねがい!」と頼みごとをすることで、時間をコントロールしています。
seminar100420_1 ただ、その際に決めているルールがあります。それは、“自分流にこだわらない”ということです。頼まれた人の立場に立ってみてください。頼みごとを引き受けてあげたのに、「そうじゃないのよね」「どうしてそういうやり方をするの!」と言われると腹が立ちますよね。ですから、頼んだら任せることが大切です。「頼んだ以上は自分のテリトリーではない」と思えば、どんなやり方をされても「仕方がない」と思えるようになります。わが家では実際、夫がお風呂掃除、私がリビングの掃除を担当すると決めたら「お互いに手を出さない」という役割分担のルールを決めています。この方法なら喧嘩にならなくて済みますよ。


自分の時間がほしいと感じたら

 CDAとしてカウンセリングをしていると、「自分の時間がほしい」とよく相談されます。そんな時は、まず“自分時間を知る作業”をしていただくようにしています。
 「自分時間」とは、自分がホッとできる、自分らしくいられる、自分だけが持っている時間です。それはどんな時間なのかを考えてもらうのです。すると、ある人は「子どもに絵本を読んであげている時」、ある人は「なんとなく庭をいじっている時」、ある人は「料理をつくっている時」だと答えます。つまり、それがその人にとっての「自分時間」なのです。もし自分の時間がほしいと感じたら、まずは「自分時間が何なのか」を見つける作業から始めるといいでしょう。
 さらに自分の1日の行動を、平日も休日も含めて一度洗い出してみることをお勧めします。24時間の自分の行動を追っていくと、必ず“何をしていたのかわからない時間”が10分、20分と細切れに出てきます。たとえば皆さんも、「お風呂に入ってから寝るまでの間に何をしていたかわからない」ということはありませんか? その時間こそが、自分で気づいていない「隙間時間」です。この隙間時間を集めると1時間近く、人によっては3時間近くの時間を作り出すことができます。10分、20分の短い時間を細かく使うよりも、集めた1時間でたっぷり休んだり勉強したりする方が、“やった気分”を感じられるのではないでしょうか。

嫌なことには心を込めない

seminar100420_2 実を言うと私は、掃除、洗濯、料理があまり好きではありません。むしろ、以前はこれらの家事をするたびに、「どうして私だけが掃除をしているんだろう」「どうしてこの料理をしなければいけないんだろう」と考えてばかりで、いつも苦痛に感じていました。
 でも考え方を変えて、嫌なことをするときには心を込めずに、ロボットのように淡々と作業をすることにしたのです。「料理は美味しければいい。愛情を込めなくたっていいじゃないか」。そう発想を変えたらストレスはなくなり、かなり気持ちが楽になりました。しかも何も考えず、ただただ作業をするようにしたら動きも効率的になり、あっという間に家事が終わるようになりました。今では、朝起きてから約1時間20分の間に、掃除から洗濯、身支度、子どもの食事、夕飯の下ごしらえまでを済ませ、サッと仕事に出かけるというリズムができ上がっています。

心と体を一緒に動かさない

 仕事に悩みはつきものです。ですから、家事をしながらついつい職場であった出来事や反省点を考えてしまうことがありますよね。でも、家事をしながら考えごとをしていると効率が悪くなり、ますます自分が大変になります。そう気づいてから、私はその癖をやめることにしました。心と体を一緒に動かそうとしても決してうまくいきません。「心は心、体は体」にしようと考えたのです。
seminar100420_3 そこで私は、仕事上の悩みごとは通勤時間中に考えると決めて、自宅の玄関に入ったらスイッチを切り替えることにしました。もちろん、考える時間は人によって違っていいと思います。家に帰ってから10分だけ瞑想に浸るのでもいいでしょう。要は、「仕事上の心のためごと」をどこかへ置くための時間を決めることが大切なのです。
 そうは言っても、私自身、すべての切り替えがきちんとできているわけではありません。通勤時間中で気持ちがおさまらない時は、家族に話をすることもあります。つまり、家族にキャリアカウンセリングをしてもらっているんですね。アドバイスをもらわなくてもいいんです。語ることによって整理のつくことはたくさんありますから。自分でどうしていいかわからないことは、夫、子ども、兄弟、親など、誰でもいいので話をすることをお勧めします。一度、お試しいただいてはいかがでしょうか。
(2010年4月20日「キャリアカウンセリング特別セミナー」より一部抜粋して加筆修正)

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