ちょっと一息

サードプレイスで越境学習

自己にとっても組織にとっても有益な「実践の場」

[2012/12/21]


 越境学習という言葉をご存じでしょサードプレイス1うか?
 ビジネスパーソンが自分の所属する組織を越えて、別の場所で学習することを言います。自宅で個人的に学ぶことは、越境学習には当てはまりません。家でも職場でもない第3の居場所「サードプレイス」で、ほかの人と交流しながら学ぶことが、越境学習の特徴です。
 社外の勉強会やワークショップに参加したり、日本マンパワーのようなスクールに通ったりすることをイメージされると、わかりやすいかと思います。
 この越境学習が、最近注目されています。
 そこで、自ら越境学習を体験している日本マンパワー・黒田留以さんに、その有用性と発展的な活用方法についてうかがいました。ご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 研究・開発グループ
 黒田 留以 さん


自分の幅を広げ、新しい人脈を形成

 今、越境学習が注目され、評価されているようです。企業内の研修でもなく、自宅での学習でもなく、自発的にサードプレイスでほかの人と交流しながら学ぶことが、様々な側面から非常に有益である、と考えられるようになってきました。
 越境学習の典型例として、当社の身近な場でも「日本マンパワーの通学講座で知り合ったクラスメイトと自主勉強会を行う」という形式がよく聞かれています。

 越境学習に取り組むことは、様々な側面サードプレイス2での自己成長を期待できます。
 まず、学習することによって知識レベルやスキルレベルが高まるだけでなく、自分の幅を広げる機会とすることができます。
 また、サードプレイスでは所属組織や背景の異なる方と多く関わることとなり、自分とは異なる価値観や考え方に触れることで、人生や仕事のヒントになることがたくさんあるでしょう。初めて出会った人に自分や仕事内容などを説明しなければならない機会が生じるでしょうから、自分を見直すきっかけにもなります。組織内で求められるリーダーシップの深みを培える、ということで熱く注目している企業もあります。
 もちろん、新しい人脈を形成することもできます。

 他方で、個人が成長すれば、所属する組織にもプラスになることでしょう。


実践の場にすることに重点を

 ただ、越境学習を机上の学習だけに終わらせてしまうと、もったいないように思います。
 一般的に「学習」と言うと、本を読んだり、ノートにまとめたり、授業を受けたりするインプットによる学習を想像します。しかし、それ以上に大切なのは実践すること、つまりアウトプットによる学習です。知識をいかにして使うかということに重点を置くと、越境学習はより有益なものになると思います。サードプレイス3

 たとえば、キャリアカウンセラーになることを目指して、クラスメイト有志でCDA資格認定試験対策の勉強会を開くとしましょう。そんな時、テキストの勉強だけをするのではなく、実際にキャリアカウンセリングを行う方が役に立つでしょう。
 実は私もあるCDAの勉強会に参加していたのですが、それが発展して、今では実践の場になっています。学生の就職活動を支援するため、休日にボランティアで大学に訪問して、模擬面接の面接官役やアドバイスをしているのです。
 なぜこうした実践活動に至ったかと言うと、勉強会のメンバーにたまたま大学で働いている人がいたからです。「自分の子どもが就職活動なので、協力してくれないか」と相談され、引き受けたケースもあります。
 もっとも、仕方なく引き受けたわけではなく、むしろ私自身がキャリアカウンセリングの実践を経験したかったのです。また、模擬面接をした学生たちの喜ぶ姿を見ることで、人の役に立っていることを直接実感することができます。ですから、中途半端な気持ちではなく、精一杯の対応をするように心がけています。
 ちなみに、この勉強会では今、CDAやキャリアカウンセリングに携わる方々を対象とした公開型のセミナーやワークショップなども始めています。

 このように、実践的な取り組みのできるサードプレイスであれば、越境学習をより有益に活用できます。


サードプレイスを探すために

サードプレイス4 越境学習のためのサードプレイスを探すのはそれほど難しいことではありません。インターネットで検索したり、SNSを利用すれば、様々な学習の場を探すことができるでしょう。
 また、自分でサードプレイスを立ち上げることも可能です。「最も成長できるのは、自分自身で自分自身の勉強会を立ち上げること」とおっしゃっている方もいます。「こんなことを勉強しませんか」とインターネットで募れば、比較的容易に人を集められるのではないでしょうか。

 もちろん、日本マンパワーの講座をきっかけとしていただいても構いません。資格学習に限らず、誰でも受講できる『公開コース』には、キャリア開発、スキルアップ、ビジネス知識・業務知識、パフォーマンスアップ、コミュニケーションなどのテーマで100種類以上の研修があります。いずれも比較的少人数の定員ですので、自分に合った内容のサードプレイスを作るきっかけになると思います。

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