ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.51

ポスト・給料にとらわれない第3のモチベーション

[2012/11/28]


 「仕事は膨大にあるけれど、管理職になれない、給料も上がらない」という状況に置かれている40歳代バブル期入社社員。
 日本企業では長年、働くことへのモチベハピキャリ1ーションの2大源泉がポスト(役職)と給料でした。しかし今や、それらはモチベーションの源泉として機能しにくくなっています。
 こうした状況で、苦境に立つ40歳代は何を心の糧として仕事へのやる気を出せばいいのでしょうか? 第3のモチベーションの源泉を見い出すことはできるのでしょうか?
 第3のモチベーションを見つけることは、企業にとっても重大です。企業が求める人材は「組織への貢献度が高い自律した人材」であり、そうした人材にはモチベーションが不可欠だからです。
 今回はそうした内容について、日本マンパワーの片山繫載さんにうかがいました。ご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 取締役 教育研修・人材事業担当
 片山 繫載 さん


専門性を究めてプロフェッショナルになる

 企業の人事・教育担当者と話をしていると、次のような相談を受けることがあります。
 「40歳代バブル期入社社員がポストに就けない、給料も上がらない。その状況で彼らのモチベーションをどう高めればいいのか? ポストでもない、給料でもない、何か他のいい手はありませんかね?」
 「何か他のいい手」とは、ポストや給料に代わる「第3のモチベーションの源泉」だと言えます。

 私は、現在の企業やビジネスパーソンの事情を考えると、専門性を究めて仕事のプロフェッショナルになることが、第3のモチベーションの源泉になる」のではないかと考えています。

 たとえば、ウイスキーの製造現場には、ブレンダーとハピキャリ2いう技術者がいます。ブレンダーとは、味や香りの感覚を頼りに樽の中のウイスキーのブレンド(配合)をする、製品化の要となる人です。サントリーの創業者・鳥井信治郎氏は、ブレンダーの最高位であるマスターブレンダーの初代であったと言われます。
 鳥井氏は偉大すぎる目標かもしれませんが、40歳代社員も組織も、プレイヤーとして専門能力を発揮することにもっと高い価値をつけるべきではないかと思うのです。
 専門能力の発揮は生産・製造職に限りません。あらゆる職種に当てはまります。
 営業職であれば、「富裕層の潜在顧客に対する資産運営アドバイスの能力が優れている」とか「ソフトウェアの知識が深く、パソコンのさまざまなトラブルを解決できる」など、業種に沿った専門性を見い出せるはずです。研究職であれば、「ある素材の品質にかけては、世界で誰も真似できないほど優れている」とか「品評会で圧倒的な支持を得る」などを目指すことが可能でしょう。企画職では「顧客を魅了するプレゼンテーションができる」、事務職では「無駄を省き、事務処理の効率を高める業務フローを作り出せる」などの例が考えられます。
 まさに、仕事のプロフェッショナルであると言えるでしょう。


固有の専門性は再雇用の道も開く

 専門性を究め、仕事のプロフェッショナルになることができれば、競争相手は社内に留まりません。社内でポストの奪い合いをするのではなく、世界を舞台に自分の能力を試し挑戦する——そうしたマインドで仕事に向き合い、結果として組織に貢献することができれば、モチベーション以上の収穫が得られるものと思われます。

 一般的に従来型の日本企業では、自分の専門分野で能力を発揮して組織への貢献度が高くなると、プレイヤーからマネジャーに立場が変わります。そして、ポストが高くなるにつれて管理すべき部下の人数が増え、自他ともに「仕事のできる人」と認められることになります。
 しかし、ポストはいずれ返さなければなりません。退職などで肩書きをなくした時、果たしてその人にはどのような職業能力が残っているハピキャリ3のでしょうか? たとえば、部長として非常に優秀な業績を残した人であっても、もしかするとその人の職業能力は「人を動かすこと」だけかもしれません。そうした人は組織があるからこそ能力が発揮できるのであって、組織から離れて自分一人になると「あまり仕事のできない人」になってしまう可能性もあるでしょう。
 その点、プレイヤーとして個人固有の専門性を究めた人は、肩書きにとらわれる必要はありません。ビジネスの基礎スキルを身につけたうえで、自律的に働いて組織に貢献すれば、たとえポストに就けなかったとしても、定年後でも再雇用の道は大きく開けるはずです。


仕事に対する意味の見い出し方を変える

 こうしたプロフェッショナルを目指すことは、十分に第3のモチベーションになり得るのではないでしょうか。ただそのためには、仕事に対する意味の見い出し方を変える必要があります。いわば、キャリア観の転換と言えるでしょう。
 つまり、40歳代バブル期入社社員のモチベーションを高めるためには、キャリア観の転換が極めて重要なキーワードとなるのです。

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