ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.53

「仕事や組織とどんな関係を意識するか」でキャリアが変わる

[2013/01/30]

ハピキャリ1
 来春の卒業を控える学生の方は、すでに就職活動を始めていることでしょう。人気企業ランキングには当然のように有名大企業の名が並びます。
 ただ、何年も働いている先輩たち、つまり現役のビジネスパーソンの状況を鑑みると、「どこで働くか」よりも「どのように働くか」の方が大切であることを痛感させられます。
 さらに言えば、「どのように考えて働くか」ということが非常に重要で、考え方いかんによって自己成長やキャリア作りに大きく影響するように思われます。
 そこで、「仕事・組織と自分との関わりをどう捉えるか」について、日本マンパワーの片山繫載さんにうかがいました。戦国武将に例えた、わかりやすく興味深いお話でした。仕事へのモチベーションとも関係するお話です。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 取締役 教育研修・人材事業担当
 片山 繫載 さん


組織は“陣借りの場”

 私は、「自分の働く組織というのは“陣借りの場”だ」と思っています。
ハピキャリ2 陣借りというのは、戦国時代などの合戦において、正規軍でない武将などがどちらかの味方になって、手弁当で参加することを意味します。つまり、戦いの土俵を借りるということです。
 なぜそんなことをするかというと、「自分は腕があるはずなのだが、(何らかの事情で)望むような状態に至っていない。だから、この合戦で手柄を立てて、地位や領地などの恩賞をもらおう」という気持ちが働くからでしょう。実際、陣借りから出世したと言われる武将もいます。
 “陣借りの場”という言葉は、司馬遼太郎さんが本名・福田定一の名前で発表した『名言随筆 サラリーマン』(1955年、六月社)という書を読んで、初めて知りました。以来、私は自分への戒めの意味を含めて、「仕事は陣借りの場だ」と思っています。


「組織に守ってもらいたい」人は望まれない

 もちろん、現代日本に合戦はありませんので、槍や刀を持って戦うわけではありません。当然、会社組織に帰属して仕事をする訳ですが、その仕事は自分に試練を課し、自己成長するための舞台であり、より緊張感をもって仕事に臨む心がまえとして、仕事は「陣借りの場だ」と申し上げているのです。組織に守ってもらうのではなく、仕事で自分を守る気構えが大切なのではないでしょうか。

  組織には毎年、“働く場”を借りているとの感覚で向き合う
   →自分の得意とする能力を見つけ技を磨く
    →自分の能力・技を発揮し、組織が期待する成果を上げる
     →自分の技量に対する自信と自分の望む(物心両面の)状態を得る
      →さらによい経験場にめぐり合い、逞しい人頼もしい人として育っていく
       →やがて“働く場”=一所を任されるリーダーとなる

 組織や仕事をこんな風に捉えると、自分の気持ちが引き締まり、やるべきことが見えてくるのではないでしょうか?
 また、この順序を逆にして考えてみてもいいかもしれません。

  自分の望む状態になりたい
   →そのためには自分らしいキャリア作りが必要
    →キャリア作りのためには仕事で成果を上げなければ
     →成果を上げる舞台として、組織は絶好の場

 不況が長引く今、「組織に守ってもらいたい」という姿勢のビジネスパーソンは、残念ながら組織から望まれません。組織に身を置きながら積極的に“(仕事で)勝負を挑む人材”が望まれていることを考えると、企業ニーズとも一致します。


勝負に挑んで将来を切り拓くために

 前にもお話ししたことがありますが、どれほど大きな組織に勤めていても、どんなに立派な役職があっても、ほとんどの人はいずれ肩書きも会社名も通用しなくなくなる時がやって来ます。自分−肩書き・会社=?です。「その時、果たして自分にどれほどの力があるのだろうか?」とハピキャリ3考えてみてください。
 しっかりとキャリア作りをしてきた人は、肩書きがなくなってもチャンスがあるでしょう。一方、そうでない人にとっては、厳しい状況が待っているのではないでしょうか。

 幸いにして最近は、組織が“個人のキャリア作り”を支援するようになってきました。この動きは個人にとって好ましいものだと思います。
 組織を“陣借りの場”だと捉えて早くから仕事に挑んでいけば、自分らしいキャリア作りは叶うことと思われます。ご自身の将来を切り拓いていくヒントにしていただければ幸いです。

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