ちょっと一息

キャリアの探し方・作り方 Vol.15

「自分らしさ」を仕事に活かそう

[2008/04/07]

 野球のバッター(打者)を思い浮かべてみてください。どんなボールでも常に打てる人、そんなバッターがいたら最高です! でも残念ながら、そんな人はいません。イチロー選手だって、ヒットを打てる確率は平均4割に満たないのですから。
 また、「誰でもたくさんヒットを打てる秘訣」というのも存在しません。人によって、構え方が違いますし、スイングも違う、バットの形や重さだって違います。プロ野球の選手全員がイチロー選手の真似をしても、おそらくほとんどの選手が成績を下げてしまうでしょう。自分に合った打ち方が最適だからです。
 これを仕事に当てはめてみたらどうでしょうか? 同じ業務であっても、自分に適した方法があるはずです。そうした「自分らしさ」を仕事に活かすことができれば、きっと、より楽しく働けるでしょう。
 では、その方法は? 日本キャリア開発協会や大学などでキャリアカウンセラーとして活躍している竹上晋太郎さんにお話を伺いました。ぜひご参考にしてください。


●今回お話を聞いたのは・・・
CDA
竹上 晋太郎 さん
 日本キャリア開発協会「キャリメール〜キャリア・コンサルティングによるメール相談」でカウンセリングを行うとともに、複数の大学でキャリアデザイン授業の講師や個別相談も務める。一方で、社会保険労務士としても活躍している。


キャリア1−過去を振り返って「自分らしさ」を知る−
 「自分らしさを活かすことは、仕事をする上でとても大切なことです。たとえば、みなさんが営業担当者として顧客に話をする場合を想定してみましょう。必ずしも、流暢に話すことが成功につながるわけではありませんよね。人によっては、ぼくとつと話す方が成功につながるケースもあります。つまり、自分に合った話し方が最も顧客の信頼を得られるのです。
 そうした自分に合ったスタイルを発揮するためには、まず、自分らしさを知る必要があります。しかし実際には、自分らしさに気づいていない人が多いように思います。みなさんはいかがでしょうか?
 自分らしさを知るには、過去の自分を振り返ってみるといいでしょう。すでに働いている人であれば、自分の仕事経験を振り返ってみましょう。

 

(1)以前、成功した仕事、うまくいった仕事はどのような仕事ですか?
(2)その仕事が成功したのはなぜですか?
(3)その際、自分のどのような能力(スキル)を使いましたか?

 このように、ひとつひとつ絞り込むように振り返ってみると、『成功した』と思っている漠然としたイメージから、自分の強みを発見できるはずです。」


−自分で考えて試行錯誤を繰り返す−
 「この強みこそが、自分らしさのプラス部分であると言えます。これをどのように活かしていけばいいか? そのためには、仕事の内容や目的、周囲の環境を理解した上で、自分なりにコーディネートしていくしかありません。
 コーディネートの方法は人によって異なりますが、最も大切なのは考える習慣をつけることです。そして、『これがいいのでは!』と思ったことは、どんどん実行しましょう。
 失敗を恐れる必要はありません。イチロー選手だって、スランプになることもあるのです。失敗を含め、試行錯誤を積んでいくことは、必ず自分のキャパシティ拡大につながります。少なくとも、『こうすると失敗するんだ』ということがわかります。そうしたら、別の方法でチャレンジしてみればいいのです。
 また、失敗を反省することによって、自己を成長させることもできます。自分や仕事に対する理解度も高まるはずです。」


−自分の課題をはっきりさせる−
 「なお、成功体験だけでなく、失敗体験を振り返ることも役に立ちます。

(1)以前、失敗した仕事、うまくいかなかった仕事はどのような仕事ですか?
(2)その仕事が失敗したのはなぜですか?
(3)その際、自分にどのような能力(スキル)が欠けていたと思いますか?

 こうして振り返ってみれば、自分の弱みに気づくことができるでしょう。
 この失敗体験の振り返りは、今後のキャリアアップにも応用することが可能です。たとえば、『ああいう人になりたいなぁ』と思う人と自分とを比べてみてください。

(1)目標とする人と自分との違いは何ですか?
(2)その違いの要因となっているのは、どのような能力(スキル)ですか?
   =目標とする人にあって、自分にない能力(スキル)は何ですか?

 このように課題を明確にした上で、『自分に欠けている能力(スキル)を高めるにはどうすればいいだろう?』と自問自答してみれば、自然にやるべきことが見えてくるはずです。」

キャリア2
−自分を切り拓くのは自分−
 「なかには、マニュアルや市販本を読んで、『同じようにやろうとしたが、どうもうまくできない』と悩む人もいます。ただそれは、『マニュアルや本が自分に合っていなかっただけ』かもしれません。マニュアルや本はあくまで参考にとどめておきましょう。最も大切なことは、自分自身で考えることなのです。そして、それが『自分らしさを仕事に活かす』ための唯一の方法だと言えます。

 

 今の仕事や職場が自分に合っていないと思う人も、次のような考え方をしてみてはどうでしょうか?

(1)今までで一番合っていないと思う仕事は何ですか?
(2)それは、自分にどのような能力(スキル)が欠けていたからですか?
(3)欠けている能力(スキル)をカバーする方法はありませんか?
(4)同じ仕事について、自分の強みを使って行う方法はありませんか?

 思考と行動を重ねていけば、どんどん自分が成長していきますので、何年後かにはさらにすばらしい方法を編み出せるかもしれません。自分を切り拓くのは自分です。みなさんの自分らしさを大いに活用してください。」

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