ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方 vol.80

就業に向けて「書類選考を通る応募書類」を書くために

[2015/05/27]

ハピキャリVol.80-1 

 みなさんは職務経歴書を本気で書いたことはありますか?
 経験のある人はわかると思いますが、非常に難しいものです。まず、職務経歴書を書くという行為自体が難しく感じられます。さらに、「何を書けばいいのかわからない」「特に書くことがない」「自己PRすることがない」などで悩むこともあります。
 また、「仕事のブランクが気になる」「職歴が多いけど大丈夫かしら」などの不安が募る人もいるのではないでしょうか?
 しかし、職務経歴書は履歴書と並んで、非常に重要な応募書類です。多くの場合、面接の前段階で書類選考が行われますので、書類選考に通らないと面接にさえ至らないこともあるからです。
 そこで、働きたい女性・すでに働いている女性を支援する就業支援施設「埼玉県女性キャリアセンター」の現職カウンセラー・法林孝子さんに、応募書類作成にあたってのアドバイスをおうかがいいたしました。どのように書くべきことを見い出し、何を訴え、どう面接につなげていくのか?——きっと参考になると思います。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 埼玉県女性キャリアセンター
 カウンセラー(CDA)
 法林 孝子 さん


職務経歴書は内容に大きな差がつく

 就職活動において企業に提出する応募書類は一般的に、履歴書と職務経歴書、添え状(書類送付の目的や同封物を伝えるもの)の3点があり、非常に重要な意味を持ちます。
 なかでも職務経歴書は、自分を売り込む役割を果たします。職務経歴書とは「自分が過去にどのような仕事や経験を行ってきたか」をまとめたものですが、履歴書と違って書式も内容も自由ですので、その仕上がりは求職者によって大きな差異が生まれます。また、面接時の質疑の内容にも関わってくることが多いです。

 それ故に職務経歴書作成に対して「難しい」と感じている人がたくさんいらっしゃいます。実際、私は埼玉県女性キャリアセンターカウンセラーとして面談相談業務を行っていますが、ご相談者のみなさんからそのようなお話をよく耳にします。
 まず、職務経歴書を書くという行為自体に「難しい」というイメージを抱いていらっしゃいます。その背景には、何を書けばいいのかわからない」「特に書くことがない」「自己PRすることがない」などの思いがあるようです。なかには何年も勤めた職務経歴が数行で終わってしまう方もいらっしゃいます。いろいろなPRポイントがあるにもかかわらず、それを思い起こせなのです。


ハピキャリVol.80-2

専用のシートで自分の長所に気づく

 埼玉県女性キャリアセンターでは、職務経歴書の作成に取り組む前に、専用のシートを使用してご相談者に過去の経験を洗い出していただきます。
 専用のシートといっても、特別なしかけがあるというものではありません。箇条書きで思い出せることを全部書き出していただき、面談時に持参してもらいます。その内容に対して、カウンセラーとご相談者の2人で具体的な内容に落とし込んでいきます。
 たとえば、カウンセラーが「これはどのような内容でしょうか?」「たとえばどのようなことでしょうか?」「どのような意味でしょうか?」などと問いかけると、ご相談者は少しずつ過去の経験を思い出していきます「○○のことです。あ、でも、○○もしていました。そう言えば、○○だったこともあります」などのお答えいただくうちに、私って結構やっていたんですね」などと職務経歴書に記載できる内容に膨らんでいくのです。
 また、ご相談者が「○○をしていましたが、当たり前のことですから、取り立てて書くほどでもないと思います」などとおっしゃることもあります。でも実は、その人が当たり前と思っているだけで、一般的にはすばらしい長所だと捉えられることもあります。カウンセラーが「本当に当たり前? 私から見るとすごいと思いますよ」などとお話しすると、「そうですか? 私は当たり前だと思っていたけれど、長所だと考えていいんですね」などと、新しい気づきに出会えことも多いのです。


自己PRのキーワードを深掘りする

 職務経歴書は、事前にこうした経験の洗い出しをすることで作成しやすくなります。「何を書けばいいのかわからない」「特に書くことがない」というスタートから、たくさん書くことがあった」という結果につながり、その内容からご相談者自身で取捨選択することが可能になっていきます。
 専用のシートでは、自己PRのもとになるキーワードもたくさん出てきます。そのキーワードについてさらに詳しくお聞きして、具体的なエピソードを思い出していただいたり、根拠となる情報を整理することで、自分の長所を際立たせた自己PRにつながっていくのです。
 ちなみに、自己PRを考えることは、職務経歴書に記載することだけが目的ではなく、面接対策にもなり、非常に効果的です。
PRしたいことの根拠を自分の言葉できちんと洗い出していますから、自己PRを含めた職務経歴書は、基本的なひな形を作成しておくと、どの応募先企業にも活用することができます。できれば時間のある時にお早めに作成しておくことをお薦めします。


ハピキャリVol.80-3

志望動機を自己PRとリンクさせる

 志望動機は応募先企業によって内容を変える必要があります。応募先企業に特化した内容であれば、採用担当者から「ほかの会社でもいいんじゃないの?」と疑問を持たれるリスクが減るからです。
 しかも、志望動機は自己PRとリンクした内容であることが望まれます。なぜなら私はこういう強みを持っているので、貴社における業務に貢献することができます」とアピールすることが、説得力につながるからです。
 ですから、的確な志望動機を作成するためには、まず「なぜ、その企業に応募するのか?」をじっくりと考える必要があります。これについても、私たちカウンセラーはご相談者とお話をして深めていくようにしています。

 また、家事や育児、介護などで仕事のブランクができてしまった方や、職務経歴のない方や少ない方、複数回の転職や短期派遣を繰り返した職歴の多い方の中には、そのことが「マイナスに評価されるのでは?」と不安に思う方がいらっしゃるかもしれません。
 でも、過去の事実は変えられません。
 ブランクの長い方や、職務経歴の少ない方は、その理由を正直に書いた上で、働く意欲や自分の思をのせてきちんと説明することが大切になるかと思います。
 一方、職歴の多い方の場合は、職務経歴の書式を工夫することが対策となります。この場合の望ましい書式としては、現在から過去にさかのぼって記述する逆年代式記述や、時系列ではなく職務の内容によってまとめる職能別記述などが効果的です。


カウンセラーと話して自分の強みを発見

 どのような求職活動にも共通することですが、応募書類は採用担当者が「会ってみたい」と思ってくれるかどうかがポイントになります。そのためには、採用担当者が見やすく、わかりやすい書類を作成することが大切です。
 もっとも、自分の経歴を振り返ったり、新しい気づきを得たり、採用担当者の視点で応募書類をチェックすることは、なかなか自分一人でできることではありません。特に、自己PRを見い出す取り組みは、一人だと堂々巡りになりがちです。専門のカウンセラーと話してみて初めて自分の強みを発見することも多いと思いますので、ぜひ、みなさんがお住まいの地域で実施している就業支援サービスを受けられることをお薦めします。

 もしみなさんが埼玉県在住在勤の女性であれば、ぜひ埼玉県女性キャリアセンターをご活用ください。就業希望の方だけではなく、すでに働いていらっしゃる女性も対象としています。
 事業内容は、大きく相談(面談および電話)」「セミナー・職場体験」「職業紹介」の3つに分かれています。埼玉県の事業ですので無料で受けることができます。また、ハローワークの求人検索を行うこともできます。ぜひお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。

埼玉県女性キャリアセンター
http://www.pref.saitama.lg.jp/swcc/

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