ちょっと一息

キャリアの探し方・作り方 vol.13

採用面接で人事が評価する「志望動機」

[2008/01/31]

 2月から3月は、転職や再就職の動きが活発になる時期です。そこで今回は、採用面接についてスポットを当てます。
 面接官は一般的に、応募者の「資質」「意欲」「適応性」を観察していると言われます。なかでも「意欲」は非常に重要で、面接官に「意欲が欠ける」と評価されてしまっては、どんなに資質や適応性があっても採用試験に合格するのは難しくなりますよね。
 さらに、応募者の意欲度合いを測る基準として最も重視されるのが、「志望動機」だとか。みなさんが面接を受けるとしたら、どのような志望動機を話しますか? 大手企業の人事担当者によると、「なぜ、この仕事を選んだのですか?」という問いに対して、次のような志望動機を答える応募者が多いようです。
 「御社はすばらしい製品・サービスを提供しており、将来ビジョンや国際競争力、人材教育体制も優れていると思います。社員の方も優秀で、みなさんが主体的に業務に取り組んでいるように見受けられます。それらの点に共感し、自分もここで働いてみたいと考えました」面接で必ず聞かれる「志望動機」
 でも、このような志望動機はあまり評価されません。つまり"失敗例"なのです。
 面接試験で成功するためには、自分の価値に根付いた志望動機であることが大切なようです。詳しくは、面接官としての経験が長く、キャリアカウンセラーでもある田中稔哉さんのアドバイスをご覧ください。

●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアセンター支援推進部 企画課
 田中 稔哉 さん



− 面接官が観察する3つのポイント −
 「採用面接において、面接官が応募者を観察するポイントは、大きく3つに分類することができます。まず、『なぜ、この仕事を選んだのか?』という志望動機。『この仕事をしたい』という意欲が、面接官に対する重要なアピールポイントとなります。逆に、そうした意欲がなければ、転職や再就職の意義すら疑問視せざるを得ません。その時点で、不合格だと評価されることも少なくないでしょう。
 意欲があると判断できる場合、面接官が次に確認するのは、『その仕事をできる根拠があるのか?』ということです。つまり、スキル(資質)があるかどうかの判断です。中途採用の場合は、この点も重視されます。
 そして3点目が、『他者とうまくやっていけるかどうか』という点。全体の受け答えを通して、コミュニケーション力や協調性について観察します。
 転職や再就職で希望通りの会社に入社するためには、これらの点をクリアする必要があります」
なぜ、この仕事を選んだのでしょうか?


− 説得力を生む志望動機のロジック
 「とはいえ、スキルやコミュニケーション力を短期間で向上させることは、たやすくありません。ですから、面接試験に臨む人はまず、『志望動機』をしっかり考え直すことをお勧めいたします。
 望ましい志望動機は、けっして会社をほめることではありません。面接官が知りたいのは、応募者自身の基準なのです。ですから、主語は『私』でなくてはいけません。『御社はすばらしい製品・サービスを提供しており・・・』などのように『御社』が主語ではいけないのです。
 たとえば、次のような具合です。
 『私は常々、人々が快適に生活できるような商品の営業をやりたいと考えていました。その点、御社は生活に密着した良品づくりをモットーとしており、私の考えと一致しているからです』
 このように、会社・仕事を選ぶ自分の基準を示した上で、志望企業との共通点を説明する、というロジックによって、ようやく面接官への説得力が生まれるのです」



− 「好き」だけでなく、価値として位置づける −
 「ただ、自分の基準の深さには注意してください。基準が『単なる好き・嫌い』であるならば、やはり面接官への説得力は弱いものでしかありません。
 なぜなら、仕事は楽しいことばかりではないからです。苦しいことが何度もあります。嫌な客・嫌な上司を相手に働かなければいけない時もあるでしょう。そうした時でもくじけず、がんばって働ける最大の原動力が『自分の基準』なのです。面接官はそれをよく知っています。ですから、つらい時でも負けないくらいの『基準』を持っているかどうかが大切なのです。『何のために働くか』の同機づけをしっかりと
 面接を控えて志望動機を整理する場合は、『基準』という言葉を『価値』と言い換えるとわかりやすいでしょう。価値には2種類あります。内なる価値と、外へ向けての価値です。
 前者は、得意なこと、大切なこと、好きなことなど、いわゆる自分が『やりたいこと』を指します。一方の後者は、社会的な役割意識を指します。『世の中のこういった人のために貢献したい』という思いのことです。
 これら2つの価値に基いた志望動機、つまり『何のために働くか』ということをきちんと伝えることができれば、面接官は安心して『十分に意欲のある人だ』と太鼓判を押してくれるのです」



− 深く突っ込んだ面接の練習を −
 「『自分では価値基準を持っているつもりだが、それを面接でうまく伝えるのが苦手』という人は、志望動機を文章化してみましょう。そうすれば、あいまいだった考えを明確に整理できるはずです。
 その上で、面接の練習をすることをお勧めします。練習すれば、確実に上達します。ただその際、一問一答式の練習では十分な効果が期待できません。ネチネチと深く突っ込んで面接官役を演じてくれる人が望まれます。一部のハローワークやジョブカフェなど、公的団体でもそうしたサービスを行っている所がありますので、積極的に活用してください。
 ちなみに、待遇や勤務地、企業イメージなどを根拠に志望企業を定めてから、『志望動機を作る』がいますが、そうした"後付け"の志望動機ではあまりうまくいきません。どうしても"薄っぺらな論理"になりがちで、"心から湧いてくる考え"とは重みが違うからです。
 面接試験とは、自分を面接官に説明するための場です。ぜひ十分に準備をして、しっかりと『苦境でもがんばれる価値』を自分の言葉で伝えましょう」
                      

  • 講座コンシェルジュ

    おすすめの講座・資格をご紹介

  • 講座を選ぶ

    キャリア形成にお役立てください

  • キャリアを考える

    キャリアビジョンを創る