ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方 vol.74

あなたにとってのハッピーって何ですか?

[2014/11/26]

ハピキャリ01

 『happy−しあわせを探すあなたへ』という映画があります。ご存知の方もいらっしゃることでしょう。5大陸16ヵ国を舞台に、幸福度を高める鍵を読み解くドキュメンタリー映画です。2012年に公開されました。
 この作品に登場する人物には、ブータンの高官もいれば、ダライ・ラマ14世もいます。トラック事故に遭った女性もいれば、財産を捨てて重病者の介護ボランティアをする男性もいます。そして、各々の「幸せのあり方」を観る人に示してくれます。
 「私にとって幸せって何だろう?」——観終わった時、それを自分に問いかけられているような気持になる映画です。

 みなさんは子どもの頃、大人になった時の「幸せな自分」をどのようにイメージしていましたか? また、大人になった今、今後の「幸せな自分」をどのようにイメージしていますか?
 そんな漠然とした、でも非常に重要なテーマ「幸せ」について、キャリアカウンセラー養成講座の開発を担当した水野みちさんにうかがいました。

●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 人材開発企画部研究開発グループ
 専門部長
 水野 みち さん


幸福感は時代によって変わっていく

 価値観というものは、時代や社会環境によって大きく変わります。どうすれば幸せな生活を送れますか?」という問いに対しても、時代や社会環境によって答えが大きく変わってくると思います。
 日本においても、つい15年くらい前までは、次のような社会的価値観があったのではないでしょうか。

 勉強していい大学に行って、大企業に入社し、エリートコースに乗る。そうすれば、年収も高く、裕福で幸福な生活が送れる。
 女性であれば、そういった条件の男性と結婚したら幸せになれるという価値観があったかもしれません。 「高収入の家庭の人は、ほしいものを手に入れて、きっと幸せに暮らしているんだろうなあ」と思ったことのある人も多いのではないでしょうか。

 学歴や職歴、肩書き、年収などは、人のキャリアにおける外的な条件だと言えます。
 「いい大学・大企業に入れば幸せになれる」もしくは「裕福な人と結婚し、家庭を持つことが幸せだ」という説が、当たり前のように思われていた背景には、この世界には客観的に価値あるものが存在し、幸せとはその価値あるとされるものを成し遂げること」だと信じられていからだと言えます。

 しかし、実際にはどうでしょうか? 戦後に比べると、経済的に豊かになった日本において、私たちは欲しいものを手に入れやすくなってきています。服装、住まい、食事など生活全般の水準は上がってきています。それで果たして、私たちは幸福を手に入れられているのでしょうか? 残念なことに、自殺による死亡者数は1998年に前年比30%以上の急増で3万人を突破しました。2012年からはやや下がったものの、高止まりの状態が続いているそうです。

 また、外的な条件は環境に左右されやすいという特徴もあります。たとえば、突然会社が倒産してしまった、災害で家を失ってしまった、伴侶の不正が発覚して別れることになったなど、人生では突然の出来事も起こります。しかし、外的な条件を失うと、人は本当に不幸になるのでしょうか。

ハピキャリ02
幸福っていったいなんだろう

ハーバード大学では幸福についての授業が行われるほど、幸福に対する注目が高まっています。いくつかの機関・団体では、幸福な人生を送るには何が必要なのかという調査も行われています。その調査結果はさまざまですので一概に言えませんが、人生の幸福感とは個人的な経験であり、外的な条件のみで決まるものではない」という傾向があるようです。もちろん、適度な生活水準を保つための収入や職は必要ですが、収入が多ければ多いほど幸福度が高くなる」とは言えないという調査結果があります。

 いったい、何が幸せを左右するのでしょうか? ポジティブ心理学を提唱した米国心理学者マーチン・セリグマン率いる調査の結果、幸せに影響を与える要素はいくつか見つかりました。その一つが良好な社会的関係」です。友人は少ないより多い人の方が幸福度は高いようです。ただ、それ以上に「他者へ感謝の気持ち」を持つことが、幸福感により高い影響を与えるという結果が出ていることが印象的でした。

 では、人はどういう時に感謝の気持ちを持つのでしょうか。周囲を見渡すと、深い感謝の気持ちを持てる人は、何かを失ったことのある人が多いように感じます。もちろん、失った直後は自分の不幸を嘆く気持ちに支配されるかもしれません。しかし、その後は、人が手を差し伸べてくれることの有難さ、傍で寄り添ってくれていることの幸せ、当たり前である日常のかけがえのなさを深く実感できるのかもしれません。

外的な条件を満たすことにエネルギーを注ぐだけでは幸福になれないとすれば、大切なのは、「幸せを感じる心」を得ることとなります。それは、一見不幸とも思える出来事が気付かせてくれることがあり、 そう考えると、人生は帳尻が合ものなのだなと考えさせられます。また、誰かのために相手が喜ぶことをしてあげるという行為も、感謝と幸せを増幅する大切な連鎖だと言われています。みなさんの周りに、この連鎖は生まれていますでしょうか? 明日から出来る幸福のための行動は、感謝の言葉を相手に伝えること、そして同僚や家族、通りすがりの人に支援の手を差し伸べるこだそうです。

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