ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.37

よりよい状態になるために自ら道を拓く

[2020/03/31]

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 資格を取得しようとする動機は人それぞれです。みなさんはいかがでしょうか?
 本記事でご紹介する林佳代さんがCDAを取ろうと思ったのは、社会人になってから約20年目。人材紹介のコンサルティング業務にあたって、「候補者の方も転職先企業の方も喜ぶような結果を得るにはどうすればいいか」を考えたことがきっかけだそうです。

 このように紹介すると、読者のみなさんは「人材サービス会社のベテラン社員がレベルアップをするために資格を取った」と思うかもしれません。でも、林さんがCDAを目指したのは、コンサルタントになってわずか1年後です。実はそれまでの長い間、全国さまざまな地を転々としながら、パートタイマーや派遣社員などの立場で働いてきたのです。
 林さんがどのような道を歩み、その過程でどのように考えてきたのか。きっと、多くのみなさんに参考となるはずです。林さんのキャリアストーリー、ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 人材サービス会社勤務
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 米国CTI認定CPCC(Certified Professional Coactive Coaching)
 Points of You® 認定トレーナー
 ポジティブ心理学 ファシリテーター
 林 佳代 さん


「就職資料をください」とアポなしで本社へ

 私は関西生まれ・関西育ちで、大学も関西の女子大・英文学科で学びました。就職活動を迎えた1990年代前半当時は、資料請求ハガキを送っても、女子大生にはほとんど資料が送られてこない状況でした。ですから私は、「おとなしく資料を待っていても手に入らない」と思い、アポイントなしで本社を訪問して「就職の資料をください」と直接お願いしていました。
 業種や職種には特別なこだわりを持っていませんでした。当時は「こんな仕事をしたい」という想いもなく、商品やサービスを知っている大手BtoCの会社を中心に志望したように記憶しています。最終的に、無事、大手酒類メーカーに就職することができました。
 入社後の配属は、大阪市内の小売店を担当する営業部門です。慣れない車を運転して市内を回り、卸営業をする役割です。商品案内や販売方法のご提案、場合によっては店内ディスプレイも行っていました。クリスマスイブには店頭でワイン販売をしたこともあります。そのような外回りの多い仕事でしたが、とても楽しく、やりがいを感じました。小売店の売上が上がれば私たちの会社も売上が上がりますので、Win−Winの関係でしたし、社内外の人と接することに新鮮な面白さがありました。


退職するか、別居するか

 そうした日常を送る中で転機となったのが、結婚です。入社5年目の時です。相手は同じ会社の社員でしたが、私とは居住地が離れていました。私は大阪、彼は四国です。私は関西限定採用でしたので、四国に行くなら退職するしかありません。でも、職場も仕事も好きでしたのでしたので、辞めたくはありません。ただそうすると、新婚早々別居せざるを得ないことになります。
 すごく悩みました。別居している自分や、親など家族・親戚の反応も想像しました。そうして悩んだ末に出した結論が、退職です。辞めたくはありませんでしたが、まだ若かったので、「営業以外の仕事もやってみたい」「仕事を辞めてもきっと何とかなるだろう」という楽観的な部分もあったと思います。


全国を転々としながらも道を拓く

 その後は、夫の転勤に合わせて、全国を転々としました。順に挙げると、香川県→東京都→香川県→広島県→大阪府→東京都です。
 転居に伴って仕事も転々としています。1回目の香川県では英会話学校で補助講師、次の東京都では法律事務所で事務、2回目の香川県では電力会社でアシスタント、広島県では外資系自動車部品メーカーで営業アシスタントなどです。いずれもパートタイマー派遣社員としての勤務形態です。経済的には必ずしも働く必要はなかったのかもしれませんが、「自分のお小遣いくらいは自分で稼ぎたい」という想いと、「自分も外の世界に出ていたい」という想いがあって、仕事を探していたように思います。「転勤は仕方がないことなので、それを楽しむしかない」という意識もありました。
 広島県の外資系自動車部品メーカーでは、その後、契約社員になることができました。ところが、それから半年もしないうちに、夫が大阪に転勤することになってしまったのです。それを会社に伝えると、「後任が決まるまで続けてほしい」との返事。そこで会社と交渉し、在宅と出張で働くことになりました。特にそうした制度があったわけではありません。「転居しますので辞めます」と言えば、退職することになったでしょう。でも、せっかく契約社員になったのですから、なんとなくもったいない気持ちがしました。社内に後任がいなことはわかっていましたし、遠隔地でも十分に業務ができる見通しも立っていました。ですからダメ元で提案したのです。コミュニケーションを取れば道は拓けるものです。結局、1年強の間、在宅と出張で仕事を続けました。


「東京でも正社員として働かせてほしい」

 リーマンショックの影響で、外資系自動車部品メーカーの退職を余儀なくされてからは、新卒の時以来、正社員の仕事を探しました。すでに夫の被扶養者でなくなっていたことや、30代最後の年であったことが影響しました。また、大学で学んだ英語をやり直したいと、広島在住時に2年間、通訳・翻訳のスクールで学んでいましたので、それを仕事で使ってみたいと思っていました。
 そうして入社したのが、外国人が設立した人材サービス会社です。残念ながら正社員ではありませんでしたが、パートタイマーとして働くことができました。仕事はオフィスアドミニストレーションと呼ばれるもので、いわば営業事務のような業務です。人材ビジネス業界のことは何も知りませんでしたが、外国人の多いカルチャーに惹かれました。
 ただ、仕事にはあまり面白いと感じることができなかった上、職場に苦手な人が1人いました。そこで、夫が東京に転勤するタイミングで、別部門に異動できるよう希望しました。その頃には、すでに正社員になっていましたので、「東京でも正社員として働かせてほしい」と相談したのです。当時の大阪の上司が尽力してくれ、すぐにポジションがなかったので、半年は東京から大阪の仕事をしました。半年後、法務関連の人材紹介部門「リーガルチーム」を立ち上げる動きがあったので、法律事務所で働いた経験も活かせると思い、そのチームへの異動を希望し、その部門で働くことができました。
 それが2011年秋のことです。当初のチームメンバーは私を入れて3人。ほかに、アメリカ人のマネジャー、ニュージーランド人のコンサルタントがいて、後にアメリカ人のコンサルタントも入社してきました。私は3人のサポート役で、オフィスでは基本的に英語での会話となります。そのような環境は初めてでかなり苦労しましたが、開き直って、ブロークンでもコミュニケーションを取るように心がけました。


候補者にも企業にも喜んでもらうために

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 現在も、引き続き同じリーガルチームで働いています。ただ、2012年春に会社から「コンサルタントとして働いてほしい」という打診がありました。コンサルタントの仕事は、法務・知的財産・コンプライアンスなどに関する人材を求めている企業に、転職希望のある候補者を紹介し、入社後のフォローアップまでを担う仕事です。厳しいノルマを課せられる一方で、それまでのサポート的業務に比べてやりがいのある仕事です。もちろん不安はありましたが、「せっかくの機会だから挑戦してみよう」「もし自分に合わなかったら降りればいい」という気持ちで引き受けました。
 人材紹介もコンサルタントも初めての経験でしたから、最初は戸惑いました。候補者の方の条件に合うと思う仕事を紹介しても、成約に至らないことも多々ありました。それに対して上司から、「候補者の方をもっとコントロールしなさい」と指導されたこともあります。
 でも、それに対しては納得できませんでした。私は、候補者の方が気持ちよく前向きに転職し、候補者の方も転職先企業の方も喜ぶようなWin−Winの状態を提供することが、コンサルタントの役割だと思っていたからです。しかし、私には、上司など他メンバーと議論できるような知識も実績もありませんでした。そこで、「何か役立つ学びはないだろうか?」と調べたところ、キャリアに関する資格を見つけたのです。それがCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)です。「これだ!」と思い、いくつかの資格や講座を比較した上で、日本マンパワーの「キャリアカウンセラー養成講座」(現在の「キャリアコンサルタント養成講座」の前身)を受講することにしました。日本マンパワーの養成講座を選んだ理由は、全国に拠点があるため、どこに転居することになっても活用できるからです。結果的には、その選択が大正解でした。

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★チームメンバーと議論できるようにと「キャリアカウンセラー養成講座」を受講した林佳代さんは、その後、全社で最も「紹介した人が早期退職しない」コンサルタントとなります。その理由は・・来月の当コーナーでご紹介いたします。
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