ちょっと一息

キャリ達選書

2010年を充実させるお薦めビジネス書3冊

[2010/01/27]

 本との出合いは、時に気づきを与えてくれ、自分を学ばせてくれたり助けてくれたりします。特にビジネス書は、仕事をする上で参考になることが多いのではないでしょうか。
 ちなみに、出版物の大手取次会社である日販とトーハンによると、単行本ビジネス部門の2009年度年間ベストセラーは次のようになります(ともに08年12〜09年11月調べ)。

【日販】
 1位 『本当に頭がよくなる1分間勉強法』石井貴士著(中経出版)
【トーハン】
 1位 『脳にいいことだけをやりなさい! 頭のいい人は「脳の使い方」がうまい!』マーシー・シャイモフ著、茂木健一郎訳(三笠書房)

 頭や脳に関する書籍が売れたようですね。ベストセラーですから、すでに読まれた方もいらっしゃることでしょう。
 さて、わがキャリ達でも2009年に発売された新刊書籍の中から、みなさんのキャリア形成に役立つと思われる推薦書3冊を選んでみました。いずれも私たちが実際に読んでみて、「新しい気づき」を与えてくれた書ばかりです。2010年を有意義に過ごすためにも、ぜひご参考にしてください。

働き方『働き方』
稲盛和夫(著)/三笠書房/本体1400円+税

 日本航空の実質的な最高経営責任者(CEO)に就任することで、一躍「時の人」となった京セラの稲盛和夫名誉会長。氏の独創的な経営理論と実績は従来から認知されており、特に経営者の中には心酔する人も多いと思います。
 しかし本書は、経営者よりもむしろ、若手から中堅のビジネスパーソンにお薦めしたい一冊です。
 「何のために働くのか」
 「どのように働くべきか」
 「一生懸命とはどのようなことか」

 本書を読むと、こうしたことに対する自分の考えが「きわめて甘かった」と痛感させられます。「努力も考えも、自分はまだまだ足りない。これじゃあ成長できないよね」と反省させられます。
 もっとも著者自身、若かりし頃は働くことが好きでなかったようです。新卒で入社した会社では、「こんな会社はイヤだ。もっといい会社があるはずだ」と、同期の人たちと愚痴をこぼし合っていたと言います。
 そんな若者だった氏が、どのように考え、どのように行動したのか? そして、京セラをどのように築いていったのか?
 氏の実体験を通して語られる一語一語が、まるで自分を見透かされているように響きます。今一度「働き方」を見直し、キャリアを好転させていくきっかけにしてはいかがでしょうか。

なぜセブンで『なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?』
勝見 明(著)/プレジデント社/本体952円+税

 ビジネスで必ず成功する必勝術——「そんな魔法の杖はあるわけがない」と思いつつも、私たちはビジネス書に期待して購入し、読んでから少なからず期待を裏切られます。特に、具体的な事例や手法が示されていない場合は、「わかったような、わからないような」感覚に包まれることもあるでしょう。
 そうした意味で本書は、「マーケティング理論を自社に応用する際の方向性」が非常にわかりやすく、成功へのヒントが詰まった書だと言えます。
 全体を通して解説しているのは、セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの鈴木敏文氏の考え方。鈴木敏文氏と言えば、セブン-イレブンを国内小売店業界の最大手に育て上げた経営手腕を持つカリスマ的存在です。本書では、その手腕のエッセンスを40項目に分類した上で、それぞれ実例とチャート図を掲載。ムック本という形態を活かしたカラー刷り&見開き構成ですから、読みやすいつくりになっています。
 不況時の売上対策、同業他社との差別化、新規事業の立ち上げなど、ビジネス戦略を考える際に目を通せば、より有効活用できるのではないでしょうか。もちろん、中小企業診断士の方には必見の書です。

死ぬときに『死ぬときに後悔すること25』
大津秀一(著)/致知出版社/本体1500円+税

 著者は、「緩和ケアという、主にがんの末期の患者さんの心身の苦痛を取り除く仕事をしている医者」。「今までに約千人の最期を見届けてきた」と言います。本書は、そうした終末期医療の専門家である著者が、患者さんから直接聞いた「後悔」について代表的な25項目をまとめた書です。
 たとえば、
  ・健康を大切にしなかったこと
  ・自分のやりたいことをやらなかったこと
  ・遺産をどうするか決めなかったこと
  ・会いたい人に会っておかなかったこと
  ・自分の生きた証を残さなかったこと   など
 このように羅列すると「そんなこと当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、本書はアンケート結果を集計した内容ではありません。25の項目すべてについて、背景なりエピソードなりが温かい視点で描かれています。患者さんの思いを想像しながらその言葉をかみしめると、知らず知らずのうちに自分や家族を投影してしまいます。そして、「悔いなく生きるために、今を大切にしよう」と思えるのです。
 本書はビジネス書というよりも教養書に分類されるのかもしれません。ただ、後悔しないように生きることは、仕事を充実させることにもつながるのではないでしょうか。
 なお、本書に続く同著者の書き下ろし『感動を与えて逝った12人の物語』(致知出版社)は、患者さんと著者との会話を通して、人と人との関わりを勉強させられる書です。キャリアカウンセラーの方にお薦めいたします。

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