ちょっと一息

キャリアの探し方・作り方 vol.7

「伸びる人」と「伸びない人」とはココが違う

[2007/05/24]

 同時期に入社したのに、ある人はどんどん仕事を任せてもらえるようになり、ある人はいつまでもアシスタントのまま・・・  こんなケース、どこの会社でも見かけられますよね。同じ採用面接を突破して、同じ内容の研修を受けたはずなのに、なぜか「伸びる人」と「伸びない人」が現れてしまう。その差はどこにあるのでしょう?
 要領? 才能? いやいや、違うようですよ。ポイントは
「3つの姿勢」らしいのです。いずれも「言われてみれば確かに」と思い当たることばかりです。
 果たして、あなたは伸びる人? それとも・・・。
 続きを読むのがちょっと怖くなりますね。でも大丈夫! もし自分が「伸びない人」に当てはまっていたとしても、今後の心掛け次第で「すごく伸びる人」に変わることができるのです。
 今回、それを教えてくれたのは、日本マンパワーで法人営業を担当している増田和芳さん。増田さんはさまざまな業界の人事担当者と日々接していますので、その話にはとても説得力がありました。

●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 人材開発営業本部 東京営業第1部 第3課  増田 和芳 さん

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−失敗を怖れないで  自分の考えを上司に提案できるかどうか−
 「私は、さまざまな企業の人事担当者や採用担当者とお話をさせていただく機会が多いのですが、『最近の若手社員には、こういう風にしたいと提案できる人が少なくなった』という声を聞くことが多くなりました。
 仕事の改善のために自分から積極的に意見を言うことは控え、言われたことだけを淡々とこなす。余計なことには口を出さない・・・そうした人が増えているというのです。確かに、私自身もそう感じることがあります。
 その原因はおそらく、失敗することを怖れているからだと思います。上司に怒られるとすぐに落ち込んでしまうタイプの人が、そうなりやすいようです。
 『上司に意見をすれば、きっと、何か文句を言われるに違いない』
 その気持ちはわかります。誰しも、怒られたり文句を言われたりすることは気分のいいものではありません。ただ、だからといって何もアクションを起こさなければ、自分の能力を伸ばすことは難しくなります。

 逆に、仕事のやり方などについて前向きに考え、自分の考えを会社に提案することができる人は、能力が伸びる傾向にあります。なぜなら、自分の考えを意見することによって、新しい課題や発見を見い出せるからです。
 それは、疑問に出合った時の行動にも違いが現れます。たとえば、上司にしかわからない専門知識があるとしましょう。そうした時、失敗を怖れる人は、『尋ねると何か言われるのでは?』と、なかなか質問する勇気がわいてきません。でも、伸びる人は、『今聞いておかないと後で困るはず』などと考え、積極的に質問できるのです。当然、それによって知識が得られるので、自分の武器が増えるというわけです。

 もっとも、『ココがおかしい』『これは違うんじゃないですか』という発言は、積極的な提案とは言えません。それは、批判や批評です。批判・批評だけでは、自分を前進させることはできません。
 もう一歩踏み込んで、
『自分ならこう考えます』『こう変えればいいと思います』などと提案して初めて、前進できるのです。提案型の意見には不備が見つかるかもしれません。それを上司に指摘されることもあるでしょう。でも、だからこそ自分の考えを発展させることが可能になり、伸びていけるのではないでしょうか」


−現状に満足しないで  学習意欲・成長意欲を持っているか−
 「伸びるか伸びないかの2つ目のポイントは、
『学習意欲・成長意欲の有無』です。自分から知ろうとする人、成長したいと望む人は、自ら伸びていく力を持っています。
 最近では、若手社員向けの研修や通信講座などを用意する会社が増えましたが、そうした機会を生かしてコツコツと努力する人は、スキルや知識を確実に身につけられます。逆に、『今のままで十分』と満足している人は、ある段階で頭打ちになる傾向があります。
 学習意欲や成長意欲は職場の先輩に左右されることが多く、『あの人が取り組んでいるのだから、私もがんばらなきゃ』と思うこともあれば、『あの人もやっていないから、別にやらなくてもいいだろう』と思うこともあるでしょう。でも、スキルや知識を向上させられるかどうかは、自分の行動にかかっています。若い時期は吸収力が早いのですから、ぜひ意欲を持って行動することをお勧めします。

 ちなみに、今挙げた2つのポイントは、個々人の視野の広さにも大きく関係しています。
 みなさんの周りにいる『仕事のできる人』を思い起こしてみてください。その人は、さまざまなことを知っているのではないでしょうか? たとえば、隣の社員が電話で話している内容、ほかの部署で問題になったクレームの対応、自分が担当していない営業先の事情など・・・。こうした、
自分の仕事に直接関係のないことでも知ることができるのは、視野が広いからです。
 そして、視野が広いため、小さな失敗にはとらわれません。失敗を怖れず、自分の大きな目標に向かってより多くのことを得ようとします。その結果、ますます自分を伸ばすことが可能になります。

 逆に、視野が狭い人は、『木を見て森を見ず』の傾向があります。小さなことにこだわり、大きな目標を見失ってしまいがちです。上司に何か言われるというのは、小さなこと。小さな失敗を怖れず、広い視野で大きな目標に向かいましょう」



−自分の意に反することでも  一旦は素直に聴いてみる−
 「3つ目の重要なポイントは
『素直に聴けるかどうか』です。この場合の『聴く』とは、hearではなくlistenの方、他者からの意見を受け入れて意義を認識するという意味です。
 たとえば、私はお客様企業の研修に立ち会うことがありますが、受講者の中にはごく稀に、姿勢や態度が悪く、講師の話を聴こうとしない人がいます。『会社から出席しろと言われたから、仕方なく座っている』という感じの人がいるのです。
 確かに誰しも、自分の意に反することや、興味のないことは聞きたくないものです。そんな時には、反発したり、文句を言ったりする場合もあるでしょう。
 しかし、自分の意に反していることであっても、『一旦は素直に受け止めてみる』ことが大切だと思います。そうすればもしかすると、何かを発見し、自分が伸びていくきっかけを得られるかもしれません。
 学習塾やクラブ活動でも、先生やコーチの助言を素直に聴く子どもは、伸びていく可能性が高いという説があります。我流を変えず、助言を素直に聴き入れられない子どもは、たとえその時点で優秀であったとしても、いずれ限界の壁にぶつかりやすいようです」

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 「以上、私なりに伸びる人と伸びない人の差異を整理してみました。 これから自分を『伸びる人』へと変身させたい人は、ぜひ3つのポイントを自分に当てはめてみてください。そして、何か反省すべき点が思い当たったら、ほんの少しでもいいので前向きな姿勢に変えてみましょう。姿勢を変えるだけで行動が変わり、自然に良い結果が現れてくるはずです。周りの上司や先輩も、『この人材をなんとか伸ばしてやりたい』と味方になってくれるでしょう。
 『頭ではわかっているんだけど、なかなか行動が伴わない』という人がいるかもしれません。そんな人も、自分に言い訳しないで前向きに考えることが大切です。

 たとえば今、あなたが今日中にやるべき仕事が20残っているとしたら・・・。
  前向きな人は「あと20やれば終わる」と考え、
  後ろ向きな人は「あと20もやらなきゃ」と感じます。

 伸びる・伸びないの発端は、こうした少しの姿勢の違いでしかありません。でも、この違いが将来、大きな差となって現れてくるような気がします。ご参考にしていただければ幸いです」
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