あなたの「快」「不快」は何ですか?
[2010/10/27]
「何か違う気がする」
「何かモヤモヤする」
「何だか嫌な感じがする」
仕事をしていると、こうした気持ちになることはありませんか? 仕事やキャリアに何らかの「心のひっかかり」を抱くのは珍しいことではありません。20代の人の場合、特にそうした傾向があるようです。
そんな若い人の悩みに、金城亜紀さんはキャリアカウンセラーとして相談に乗ってきました。そして、相談する人自身が「本音や感情」に気づけるようサポートを心掛けてきたと言います。なぜなら、本音や感情に気がつくことで、冷静な判断や客観的なものごとの見方ができるようになるからです。
みなさんは、自分の「本音や感情」をきちんとキャッチしていますか? もしかすると知らず知らずのうちに、世間の常識や転職サイトの情報などに感情が惑わされてしまっているかもしれません。
自分が本当にやりたいことを確認するため、ちょっと「本音や感情」を探ってみませんか? 今回は、金城さんご自身の経験も交えながら、そんなお話をご紹介します。
●今回お話を聞いたのは・・・ CDA
産業カウンセラー
金城 亜紀 さん
フリーターおよび一般事務を経た後、再就職支援会社に転職。同社で経験したファシリテーターやセミナー講師の仕事をきっかけに、CDAと産業カウンセラーの資格を取得し、フリーランスのキャリアカウンセラーとして独立。厚生労働省委託事業の「働く若者ネット相談」「キャリア・コンサルティングによるメール相談(通称:キャリメール)」のカウンセラー等を経て、現在、大学生向け就職活動支援など各方面で活躍している。
“何か”って何だろう?
「何か違う気がする」「何かモヤモヤする」「何だか嫌な感じがする」などの気持ちは、「自分の中にある本音や感情」が発信したサインかもしれません。働く若者ネット相談やキャリメールなどで私がキャリアカウンセリングをしていた時も、そうした相談者はたくさんいました。
そんな相談者に対して、私は次のように問いかけます。
「その“何か”って、何でしょうね?」
「何か違う気がする」「何かモヤモヤする」「何だか嫌な感じがする」の原因は、人によって異なります。たとえば、仕事そのものが自分と合わないケースもあれば、職場の人間関係がうまくいっていないケース、勤務時間が長くて疲弊しているケース、会社の方針や社風が自分と合わないケース、同僚と比較して焦りを感じているケースなどもあります。
こうした気持ちの解決策は転職サイトに載っていません。気持ちの原因がどこにあるのか、自分と向き合って自分を知るしかないのです。
私自身のモヤモヤしていた頃 実は、私自身もそうしたモヤモヤを抱いていた時期があります。
それは、フリーランスで個人を対象としたキャリアカウンセリングの仕事をするようになってからです。非常にやりがいのある仕事でしたし、みなさんのお役に立ちたいという意志はありました。でも、フリーランスとしての営業活動に積極的になれなかったのです。
「その原因が何か」は自分でもわかりませんでした。3〜4年の間、「なぜだろう?」「このままでいいのかな?」というモヤモヤを抱きながら、仕事を続けていました。
それがふとしたきっかけで判明したのです。「そもそも私がこの仕事をやろうと思ったのは、何に“快”を見い出したからか」を思い出した時です。
“快”というのは、快・不快の“快”のことです。言葉を変えれば、「何に楽しいと感じ、何につまらないと感じたのか」「どんな時にうれしくて、どんな時に嫌だったのか」について腑に落ちた時、自分の心の奥底の感情を整理できたのです。
私が快を感じたのは、「ニーズに応えたメッセージを私らしく伝えている時」だとわかりました。その後は、自分で納得した状態で、キャリアカウンセラーとして支援の形に捉われない活動を続けられています。「大切なのはキャリアカウンセラーという職業名ではなく、私がやりたい仕事の本質は何か」がわかったからです。
自問自答して感情を掘り下げてみる 私は相談者本人の感情をまずは大切にしています。みなさんも仕事やキャリアで悩んだ時、自分の感情に問いかけてはいかがでしょうか?
「私はいったい、どんな感じを抱いているのだろう?」
「この仕事をやってて楽しいのかな? つまんないのかな?」
「どんな時にうれしくて、どんな時に嫌なのだろう?」
「嫌ではないけれど、好きと言えるかな?」
時間を忘れて集中してしまうことや、長時間続けても苦にならないことなどもヒントになりそうです。
改めて、就職活動時の自己分析に立ち戻ってみてもいいかもしれません。おそらく多くの人が、学校の先生や就職サイトなどのアドバイスにならって自己分析をしたものと思われますが、それは果たして、自分の本音や感情を反映したものだったでしょうか? マスコミの情報や家族の考え、友だちの意見、先生のアドバイスなどは参考にすべきではありますが、それはあくまでも「周囲の答」であって、必ずしも「自分の答」ではない可能性もあります。
「自分の答」は自分で見つけるしかないのです。その答を見つけるきっかけとして、「快か不快か」の感情を掘り下げてみてはいかがでしょうか?
私たちキャリアカウンセラーもお役立てできれば幸いです。