ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方 vol.82

今の自分に疑問なく、納得できていますか?

[2015/07/28]

ハピキャリ82-1

 「私、このままでいいのかなぁ?」
 「なんか、自分がやりたいことと違う気がする」
 「モヤモヤして、なんだかつまらない」
 「人間関係がぎくしゃくしていて会社に行きたくない」

 今の自分になんとなくしっくりこなくて、納得できていないような気がする。今のままでいいのか、どうすればいいのか、漠然とした疑問がわいてくる。
 そんな感覚にとらわれること、ありませんか? あるいは、みなさんの身近に、そのような人はいませんか? もしかすると、すっきりと悩みなく毎日を過ごしている人は少ないのかもしれません。

 そこで、日本マンパワーで「キャリアカウンセラー養成講座」の講師も務めている小西ひとみさんに、お話をうかがいました。目から鱗が落ちるような内容は、誰にとっても参考になるかと思います。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 一般社団法人セルフ・エスティーム研究所 理事
 日本マンパワー「キャリアカウンセラー養成講座」認定講師
 ライフデザインズ・オフィス 代表
 小西ひとみ さん

横浜生まれ。広告代理店のアートディレクターを経て、エイボンプロダクツ株式会社マーケティング部に入社。営業部長、人材開発部、セールストレーニング部を歴任する。同社退職後、外資系企業を経て、現在ライフデザインズ・オフィス代表。また、NPO法人GEWELにて7年間理事としてダイバーシティの推進を支援した後、一般社団法人セルフ・エスティーム研究所の理事に就任。自己効力感を中心にセルフ・エスティーム、レジリエンスについての研究活動を行っている。さらに、「自分の力を最大限に引き出すために」をテーマに、企業・行政などでキャリア開発を目的とした研修・講演でも活躍中。キャリアカウンセラー(CDA)、認定心理士、MBTI認定ユーザー(Japan-APT正会員)、日本心理学会会員。


モヤモヤしてなんとなく嫌だ

 「仕事もプライベートも含めて、果たして自分は、今の自分に疑問を持っているだろうか?」
 こんな質問を自分に問いかけてみたらどうでしょう? いろいろな答えが返って来そうですね。
 「疑問なんてまったくないよ。今の状態に満足している」
 そうした答えができる人は、おそらく充実した今を生きているのでしょう。自分を信じてそのままやりたいことをやるのがよろしいかと思います。
 でも、そうでない人の方が多いのではないでしょうか。ハピキャリ82-2(モヤモヤ)

 「毎日モヤモヤしている」
 「なんだかやる気が出ない」
 「同じ仕事ばかりでつまらない」
 「人間関係がうまくいかない」
 「会社に行きたくない」
 「私、このままでいいのかなぁ?」
 「自分がやりたいことと違う気がする」

 こうした「モヤモヤしてなんとなく嫌だ」という気持を解消するには、どうしたらいいのでしょうか? 結論を言えば、その答えはありません。なぜなら、何にモヤモヤしているのか、何が嫌なのか、特定できていないからです。
 「モヤモヤして嫌なことは、具体的に何のこと?」という問いの答えを導けなければ、解消のしようがないのです。


気持ちや思いをどこまで特定しているか

 自分の気持ちや思いを特定できないケースは少なくありません。
 私は大学生を対象とするキャリアカウンセリングも行ってきましたが、就職活動で志望先を決める時、自分の興味を特定できない学生が非常に多いのです。
 たとえば、「料理が好きだから、外食産業に行きたい」という学生がいるとします。でも、「料理が好き」と言っても、さまざまな「好き」があります。食べるのが好きなのか、作るのが好きなのか、レシピを考えるのが好きなのか。レシピを考えるにしても、限られた食材で工夫するのが好きなのか、高級な食材をふんだんに使うのが好きなのかなど、細かく考えればいくらでも掘り下げられます。そして、掘り下げることによって初めて、自分の興味を核心まで特定することができるのです。
 でも実際には、そこまで掘り下げて考える学生はほとんどいません。「料理が好き」という漠然としたレベルで思考が終わりがちです。
 ですから、「どうしてもコレがしたい!」という気持ちが薄くなります。なかには、「みんなが大手企業を志望しているから」「親がアドバイスしてくれたから」などと、周囲の意見に左右されているケースも見られます。
 私個人の印象としては、受け身の学生が多いような気がします。

ハピキャリ82-3

社会人になって初めて気づく

 一方、社会人になると、新たな現実に直面します。「好き」だと思って入社したのに、必ずしも好きな仕事をやれるわけではなからです。料理が好きだったのに、1日事務作業で終わる日があるかもしれません。そもそも、漠然としか「好き」を掘り下げていない場合は、どこにズレがあるのかも発見しにくいかもしれません。
 あるいは、「人の役に立ちたい」「人を幸せにしたい」「人を笑顔にしたい」などの志をもっていた学生でも、社会人になって毎日それらを実感できる仕事につけるかというと、難しい面があります。
 そうした毎日が続くことでようやく、あれ? 私、これがしたかったのかな?」と初めて気づくというパターンが、現実的な傾向ではないでしょうか。


話すことで自分を深く考えられる

 先ほど「受け身の学生が多い」と言いましたが、必ずしも学生に限ったことではありません。社会人にも、自分の人生に受け身な人はいます。
 実際、「私はこれでいいのでしょうか?」「この先、ずっとこのままでいいのでしょうか?」「私の人生、どうすればいいでしょうか?」と質問されるケースは多くあります。
 そんな時、私はあなたの人生だから、自分で決めればいい」と言います。ただ、人によっては、自分のことをどう考えたらいいのかわからない、考える方法を知らない、考えた経験が少ないという人もいるでしょう。
 その背景には、深く考えなくても、なんとなく快適に過ごせてきたし、なんとなく進学も就職もできた、という体験が影響しているのかもしれません。
 あるいは、本音で話せる相手がいない、自分のことを話し合える相手がいない、親身になって聴いてくる相手がいない、という事情が影響しているのかもしれません。というのは、一人で考えをめぐらすだけでは、考えが深まりにくいからです。話を真剣に聴いてくれる人と話すことで、人は自分を深く考えていきやすくなります。

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「モヤモヤ」「嫌だ」の原因特定のために

 だからこそ今、キャリアカウンセラーという存在が必要なのだと思います。
 キャリアカウンセラーは、目の前の相談者の心のモヤモヤを受け止め、真剣に話を聴く存在です。相談者が本当の自分を探せるようにかかわってくれます。
 たとえば、「自分のやりたいことがわからない」という人には、「今まで、何をするのが好きだったんですか?」「いつから好きだったんですか?」「どんなところが好きなんですか?」「好きになるきっかけがあったのですか?」などと、意図性を持って問いかけてくれます。
 相談者は自分の口から言葉を発することによって、それまで漠然としていた「好き」の理由が特定されていきます。
 同じように、「モヤモヤしてなんとなく嫌だ」という人にも、モヤモヤ」や「嫌だ」の原因を特定していきます。そして、原因が特定できれば、解消するための方法も見えてきます。漠然から特定へ、これがキャリアカウンセリングの大きな役割のひとつであると思います。
 今の自分に疑問を持っている人は、気軽にキャリアカウンセリングを受けてみられてはいかがでしょうか。また、疑問を持っていそうな人が身近にいれば、みなさんご自身が話を聴く相手になってみてはいかがでしょうか。

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