ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.50

40歳代プレイングマネジャーのやる気が低下

[2012/10/30]


 前回の「ハッピーキャリアの作り方」では、バブル期入社の40歳代社員について取り上げました。

——バブル経済期に新卒で入社した人は現在40歳代半ば。しかし、同年代社員数の多さと管理職ポストの減少傾向が原因で、課長になれない40歳代が続出。仕事へのモチベーションが下がる一方で、「リストラされるかも」という不安を抱える率が他年代より高い。本人も会社も難しい局面を迎えている。——キャリア1

 このような概略のお話でした。今回はそのうち、「40歳代バブル期入社社員のモチベーション」について掘り下げます。お話を伺ったのは日本マンパワーの片山繫載さんです。今後の会社には、「ポストでも給料でもない、新しい第3のモチベーションの源泉が必要」だとのことです。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 取締役 教育研修・人材事業担当
 片山 繫載 さん


仕事量は膨大、やらされ感と疲弊感が増大

 今、40歳代のバブル期入社社員がどのような状況を迎えているのか、仕事へのモチベーションをテーマにお話しさせていただきます。端的に言えば、現場のプレイヤーの労働意欲の低下、これがさまざまな面で現れており、急ぎの処方箋が必要だということです。

 まず背景として、バブル期入社社員の現在の立場をおおまかに捉えると、マネジャーが2割、プレイングマネジャーが6割、プレイヤーが2割くらいかと思われます(正確な調査に基づいた数値ではありません)。プレイングマネジャーとは、プレイヤーとマネジャーを兼務する立場を指します。部長職以上のプレイングマネジャーは少なく、多くの場合は課長・係長・主任・チームリーダーなどの立場です。最近は、組織のフラット化が進み、プレイングマネジャーからプレイヤーに降格させられるというケースも見受けられます。
 こうした環境でバブル期入社社員の多くがどのような仕事をしているかというと、主に現場の業務です。つまり、マネジャー(人や組織の管理)よりもプレイヤー(自分の担当業務)としての仕事が中心だということです。しかも、仕事量は膨大にあるため、やらされ感や疲弊感を抱いている人が多く存在します。
 日本マンパワーが平成23年12月に行った『仕事に関する意識調査』によると、別掲のような結果が出ています。

キャリア2

 「自分の適性(何が向いているのか)がわからない」「仕事がつまらない、やりがいがない」「自分自身のやる気・モチベーションが維持できない」という問題は、他の年代にも存在し、40歳代だけが多いわけではありません。むしろ、割合は40歳代の方が少ないくらいです。
 しかし、40歳代は一般的に、能力・経験・知力・体力のバランスが優れ“最も充実し、会社に貢献すべき年代”だと言えます。その40歳代に「自分自身のやる気・モチベーションが維持できない」と悩んでいる人が3人に1人もいるという状況は、会社にとっても頭を悩ませる問題です。


管理職になれない、給料も上がらない

 一方で、前回もお話ししましたように、バブル期に採用人数を増やした会社では、現在、40歳代半ばの社員がたくさんいます。しかし、その人数に見合うほどの管理職ポスト数がありません。ですから、40歳代半ばになっても課長職に就けないという状況が生まれています。
 管理職になれないということは、給料も上がらないという現象につながります。つまり、「仕事は膨大にあるけれど、管理職になれない、給料も上がらない」というのが、バブル期入社社員の置かれている状況なのです。

 しかも、年下の上司が現れ始めています。バブル経済がはじけた後に入社した社員の中で、幹部候補として見込まれている一部の社員がそれに当たります。自分が課長になれないのに、年下社員が課長になるのを見せつけられれば、面白いはずはありません。「あいつは昇進しているのに、俺はもうこれでアタマ打ちなのか」という気持ちになる人もいるでしょう。

 これらの状況が重なり合って、キャリアの上昇感や自己成長感が感じられず、ともすればマンネリ感、やらされ感、不平不満が増える社員が多くなっています。

キャリア3

 同時に、「もう管理職を目指す気持ちにはなれない」というあきらめ感も生じています。日本マンパワーが平成24年10月に行った調査では、「組織ならではの仕事(管理職など)に挑戦したい」というバブル期入社社員は18.3%でしかありませんでした。
 一方、自分たちの上の世代がリストラに遭っているのを見てきていますので、「管理職になっても苦労が多いだけ」だと考えている人も、少なからずいるように思われます。
 また、バブル経済崩壊後は各社で教育研修費が削減されたため、リーダーや管理職になるための教育を受けていません。さらに、部下となるはずだった世代の採用抑制があったため、リーダー経験が少ないという事情もあります。そうしたことから「管理職になる自信がない」という人もかなりいます。


第3の新しいモチベーションの源泉を

キャリア4 個人、特に会社の主力となるべき40歳代のモチベーションが低下してしまうと、組織全体の粘りや活力も低下してしまいます。それを防ぐためには、何らかの対策が必要となるでしょう。その対策は、各マネジャーに託すだけでは済ませるべきではありません。組織マネジメントとして行うべき重要な課題です。
 ポストや給料がモチベーションの源泉になりませんので、第3の新しいモチベーションの源泉が必要になってくるのです。

※「第3のモチベーションの源泉」の内容・具体策につきましては、次回以降の本コーナーでご紹介させていただきます。

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