ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.22

「まさか自分がこうなるとは」〜60歳を越しての学び

[2017/04/27]

 家族の介護の問題に直面して、会社の早期退職制度に応募した勝又基夫さん。早期退職支援プログラムで出会った相談員から「相談対応業務に向いているかも」「キャリアカウンセラーという職業もありますよ」と言われたことがきっかけで、日本マンパワーの『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)を受講しました。
 先月の同コーナーでは、勝又さんがCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格の一次試験合格までの経緯をご紹介いたしました。今回はその後編です。二次の面談実技試験でうまくいかず、勝又さんは「人間性を変える」ほどの取り組みを行います。しかし一方で、第一志望のハローワークに就職することができました。
 キャリアカウンセラーの学習を通して、勝又さんは何を得られたのか? ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 ハローワーク(公共職業安定所) 職業相談員(一般)
キャリアコンサルタント(国家資格)
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 勝又 基夫 さん


ロールプレイングに自信を持っていたけれど

資格活用22-1

 キャリアカウンセラーの資格、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)は、当時「一次試験を合格して初めて二次試験を受けられる」という制度でした。二次試験は10分間のロールプレイングを中心とした面談実技試験です。
 でも、ロールプレイングは一人では勉強できません。そもそも勉強の仕方もわからないので、すでに資格を取得しているクラスメイトに尋ねてみました。そうしたら、1人の女性が「私が参加している自主勉強会がありますよ」と教えてくれました。クラスの仲間とのつながは、本当に温かく、素晴らしいものです。「ぜひ参加させてほしい」と連絡して、参加させてもらいました。
 とはいえ、私は会社員時代に部下の面談を数多く行った経験がありますから、実はロールプレイングには自信を持っていました。少し勉強すれば、すぐに合格できるだろう」と思っていたのです。
 ところが・・・とんでもありませんでした。合格するまでに3回も受験しました。何度も自主勉強会に参加したにもかかわらず。

資格活用22-2

2度不合格になって・・・「人間性を変える」

 二次試験本番の1回目は、在職時の部下と同じような状況のクライエント(相談者)だったので、そのイメージでロールプレイングしました。感触は上々です。試験を終えて「受かった」と思っていましたが、期待に反して不合格。不合格通知に記載された講評では「クライエントのことを決めつけている」と指摘されました。今思えば、問題解決志向が強く、信頼関係構築傾聴自己探索の支援などができていなかったのだと思います。
 2回目は、非常に落ち込んでいるクライエント。そんなクライエントに対し、私は大きな地声で接しました。クライエントの気持に寄り添うようなキャリアカウンセリングができなかったのです。問題解決志向も抜け切れていませんでした。不合格通知にも納得できました。
 3回目の試験に向けては、自主勉強会にボランティアで参加している有資格者から、あるアドバイスをいただきました。
 「人間性を変えるくらいの気持ちで」
 確か、そのような言葉だったと記憶しています。もちろん、それまでにも多くの有資格者からアドバイスをもらっていて、それぞれ参考にしていました。ただ、この「人間性を変える」という言葉は、私にとって最も響きました。おそらく、私には問題解決志向が学生時代・会社員時代から染み付いていて、固定観念が強かったのでしょう。その固定観念を拭って望ましいキャリアカウンセリングをするためには、人間性を変えるくらいの思いが必要だったのです。今までのやり方はすべて忘れよう」と決心したら、不思議と自然体でクライエントの話を聴けるようになりました。

資格活用22-3

二次試験チャレンジ中にハローワークに再就職

 結局、CDAの合格通知を受け取ることができたのは、第47回試験の2015年9月です。『キャリアカウンセラー養成講座』を受講開始したのは2013年春なので、2年半かかりました。
 しかし、当初から希望していたハローワークには就職することができました。しかも、第一志望の地元での就職です。もっとも、ハローワークで働き始めたのは2015年4月から。

まだCDA二次試験にチャレンジしている最中でした。それでも面接では、すでに一次試験に通っていますので、近いうちに必ず取得します」とアピールしました。それが面接官に通じたのかもしれません。

 ハローワークでの仕事は、一般の相談者を対象とする職業相談業務です。さまざまな求職者が訪れますが、その人の話をよく聴いて、間違えることなく紹介状を出すように心掛けています。なかには、涙を流しながらあふれる思いを話す人もいます。そうした人には、CDA受験の際に学んだ経験代謝や傾聴を意識して話を聴くようにしています。
 今後はさらに研鑽を積み、チャンスがあれば、専門的な支援をする就職支援ナビゲーターになれればと思います。その中で、できれば自分も経験した、高齢者対象の再就職支援ができればと思います。

資格活用22-4

たくさんのCDA仲間から刺激を受けて

 こうして振り返ってみると、本当にキャリアカウンセラーを目指して良かっと思います。
 なによりも、自主勉強会などを通して仲間がたくさんできました。こうした仲間は、職場の先輩・同僚・後輩とは違って損得関係がありません。それでも多くの人が、「勝又さん、大丈夫?」「こうしたらどう?」などと親身になってくれます。
 仲間たちとは飲む機会も多く、さまざまな話をします。老若男女、みなさん自己開示してお話ししてくれるので、ほかの人の考え方や生き方などに触れることができます。仲間たちがフェイスブックにアップする投稿を見ているだけでも、「ああ、この人はこんな勉強をしているのか」「こんな取り組みを始めたのか」など刺激を受けて、自分も前向きな気持になります。

 今、私はアドラー心理学に興味を持っていて、本を読んだり、いくつかの講座に参加しています。まさか自分が、60歳を越しても「勉強したい」という感覚になるとは思ってもみませんでした。これも、CDAを学んだおかげだと思います。
 自分が変わっていこうとすれば、必ず道は拓けものです。人生には受け入れてもらえないこともあるでしょうが、自ら動いて努力を続けることが大事だと思います。動かなければ何も変わらないのですから。その姿勢を大切にして、今後も勉強を続けていこうと思います。

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