ママを支援し、対人支援者を支援する、新しい場づくり
[2014/12/24]
ちょっと素敵な2つの“場”をご紹介します。
ひとつは、ママが"わたし"になる時間を提供する「マザーズカフェ」。
お子さまのいる女性は、「○○ちゃんのママ」と呼ばれた体験があるのではないでしょうか。自分の名前がきちんとあるのに、「○○ちゃんのママ」と呼ばれてしまうことが・・。あるママは、ふとしたきっかけで「わたしから母と妻の肩書きを取ったら、自分に何が残るんだろう?」と考え込んでしまったとのことです。
カフェでランチしたり散歩したりしながら、「ああそうだ、これがわたしなんだな」とゆったりと実感できる——マザーズカフェはそんな自分を取り戻す時間を提供する場です。
もうひとつは、対人支援者を支援したり、お金や年金、食べ物などの切り口からキャリアを考えたりする場です。たとえば、「セミナーの講師をやっているけれど、今ひとつ手ごたえがない」「勉強会をやりたいけれど、効果的なファシリテーションがわからない」「悩みというほどではないけれど、自分の将来についてちょっと考えたい」——そんな思いを抱く人が気軽に立ち寄ることができます。
これら2つの“場”は、すでに『将来のお金とキャリア』の記事でご紹介した、キャリアカウンセラー(CDA)兼ファイナンシャル・プランナーの鈴木茂美さんらが発案・運営しています。これから本格的に始まる新しい取り組みについて、ぜひご一読ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
キャリアカウンセラー(CDA)
ファイナンシャル・プランナー
鈴木 茂美 さん
企業におけるコミュニケーション力向上のためのトレーニング・研修などの教育担当をするかたわら、シングルマザーの支援をめざして、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)とファイナンシャル・プランナーの資格を取得。ママを元気にする活動や、お金にまつわる市民講座の講師や個別相談対応なども行っている。
「○○ちゃんのママ」でない、わたしの人生
ずいぶん昔の話ですが、わたしは思春期の頃、母から愚痴をたくさん聞かされました。おそらく母にとっては、私しか愚痴を言う相手がいなかったのでしょう。当時は嫌になるほど聞かされました。
確かに母親という立場にあると、さまざまな悩みを抱えます。子育てのこと、パートナーのこと、お金のこと、仕事のこと・・。そして、それを吐き出す相手が意外にいないケースが少なくありません。
しかも、「○○ちゃんのママ」とか「○○さんの奥さん」という肩書きも付いてきます。たとえば、わたしは鈴木茂美という個人で、わたしにはわたしの人生があります。でも、いつも家族のことを考えざるを得ず、周りからも「○○さんのママ」「○○さんの奥さん」と捉えられてしまう。そうすると、つい自分の人生を子どもに投影して、「自分が行けなかった大学に行かせたい」「自分が就きたかった職業に就かせたい」などと思いがちです。
これだと、母親にとっても子どもにとっても望ましくないように思うのです。
こうした経験を振り返っていて、あることに気がつきました。
「わたしじゃなく、母の愚痴を聞いてあげる大人が、ほかにいればよかったんじゃないか!」
「母親が自分になれる時間・空間を作ればいいんじゃないか!
そうして、キャリアカウンセラーの先輩・奥富美子さんと一緒に企画したのが、「マザーズカフェ」です。コンセプトは、「わたしがわたしになる時間を作ろう」というものです。初回は試験的に小さくやりました。南青山のカフェでランチをしたり、自分がどんな人間かをカードを使ってワークをしたり、表参道を一緒に散歩したり。小さなお子さま連れのママもいましたが、マザーズカフェにはサポートしてくれる仲間がいるので安心して外出できたようです。だからそんな時間を共有できました。
その日は事情があって来られなかったママもいましたが、その人は「子どもの成人式が近づいてきたとき、ふと『わたしから母と妻の肩書きを取ったら、自分に何が残るんだろう?』って考え始めました。だから、すごく行きたかった〜」とおっしゃっていました。その想いをうかがったとき、「やっぱりこういう場が必要なんだ」と確信しました。そこで、来る3月から毎月定期的に、テーマを変えながら開催することにしました。
★本ページの下部に3月開催のご案内を掲載してあります。
受講者に響く、対人支援を支援
同じ3月から、もうひとつ新しく始める活動があります。それは、対人支援者を支援するというものです。
わたしはこれまで、キャリアカウンセラーやファイナンシャル・プランナーに関連した講師活動や、ビジネスパーソン向けの研修・トレーニングの開発などに携わってきました。ほかの方が講師をなさる姿も見てきました。
その経験から強く感じたのは、「講師役が主役になってしまっていて、受講者が主役になっていない」ということです。たとえばマネープランの話であれば、本来は受講しているみなさんの価値観や人生に合わせて将来をプランニングすべきです。でも実際は、講師が「将来のお金はこう考えるべき」などと、画一的な内容になっているケースが多いのです。そうすると、受講者に響かない内容になってしまいます。
キャリアカウンセリングをご存じの方は、おわかりになるかと思います。キャリアカウンセリングでは主役はあくまでクライエントです。クライエントを主役として、本人が安心できる場を作り、クライエントの自己探索につながるように問いかけます。そうすることによって初めてクライエントは、自分の価値観・人生観に基いた何かが腑に落ちます。
そう考えると、さまざまなセミナーでも受講者を主役にすべきだと思うのです。そのためにはセミナーを開催するにあたって、ニーズの把握、目的の設定、場の設定、カリキュラムの作成などが重要になってきます。わたしたちがサポートしようとしているのは、そうしたファシリテーションのプランニングからフォローアップまでです。
対人支援者を支援することによって、対人支援者の先にいる受講者やクライエントを支援することにつながればと考えます。
ママ支援、キャリアを考える場としても
この取り組みは、一般社団法人ふらわりんぐジャパンという小さな組織を作って運営していく予定です。「ふらわりんぐ」とは、「開花する」という意味です。人と人とがつながり、輪を広げていくことで可能性がどんどん広がっていく、潜在的な才能や能力が開花していく——そのサポートをしていくという決意を込めています。
また、対人支援者の支援ばかりでなく、ママの支援やキャリアを考える場にもしていきたいと考えます。たとえば、子育ての悩み、仕事や進路の相談、お金や年金の相談など、なんとなく安心できて気軽に話しに行ける場。ふらわりんぐジャパンには、キャリアカウンセラー、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士などの専門家がいますので、個別相談にも対応できます。交流あり、ワークショップあり、お勉強あり、キャリアカウンセリングあり、ファシリテーション・コンサルティングありの場。そんな機能のある空間にすることを目指しています。
★ママのためのセミナー「わたしがわたしになる時間」
日時:3月4日(水)11:00ー13:00
場所:CAFÉ CREW(外苑前駅そば)
参加費:1000円+ドリンク代
定員:6名
申し込み先:http://kokucheese.com/event/index/241000/