ちょっと一息

ビジネスの常識・非常識

正しい日本語で円滑なビジネスライフを

[2010/07/01]

日本語1 みなさんは、誰かのひと言で“カチン”ときた経験はありませんか? きっと、ありますよね。言葉遣いをちょっと変えてくれれば、“カチン”とこなかったかもしれないのに・・。
 たとえば、レストランなどで次のように応対されたら、嫌な思いをするのではないでしょうか。

 あなたはパスタを注文しました。頼んでから結構時間が経っています。店員さんがようやくお膳を持ってこちらに歩いてきました。ところが、テーブルに置かれたのはパスタではなく、グラタンです。
 あなた「あれっ? パスタを頼んだはずですが・・」
 店 員「えっ!? これはグラタンですけど・・。すいません、確認します」

 この店員さんの応対であなたが怒ってしまったとしても仕方ありません。店員さんの言葉には多くの反省点があります。「えっ!?」も「すいません」も間違いです。なぜだかわかりますか?
 みなさんも普段、知らず知らずのうちに、相手を怒らせているかもしれませんよ。いくつかの例をご紹介しますので、今後の参考にしてください。


「すいません」は不適切?

 例に挙げた店員さんがあなたを怒らせてしまう理由は、相手に対する言葉の気配りが足りないからです。
 たとえば「えっ!?」というひと言。これは、店員さんが自分のオーダーミスを認めたくない心情から生まれています。間違えられたあなたよりも、自分を優先してしまっているのです。しかも、「これはグラタンですけど・・」と自分を正当化するような言い訳をしようとしています。
 「すいません」という言葉も、誠意が伝わってきません。この場合は、「たいへん申し訳ございません」とていねいに謝るべきでした。

日本語2 ちなみに、「すいません」という表現は日常的によく聞かれる便利な言葉ですが、あいまいな表現でもあります。ですから、ビジネスシーンではあまり用いるべきではありません。その時の状況に応じて、適切な言葉に言い換えましょう。

  ・不備やミスを詫びる→「申し訳ございません」
  ・相手の時間や場所に割り込む→「失礼いたします」「失礼します」
  ・声をかける→「恐れ入ります」
  ・用件の依頼を切り出す→「恐れ入りますが」
  ・お礼を述べる→「ありがとうございます」


会社の先輩や上司を怒らせてしまう例

 ほかにも相手を怒らせる例はたくさんあります。

  【不適切な例】
書類づくりに四苦八苦している若手社員のA君がいます。A君の能力を考えると、少し重荷になる仕事だったかもしれません。そこで、ベテラン社員のBさんが助けてあげました。すると、あっという間にハイレベルな書類が仕上がりました。そこでA君はBさんにお礼を言います。
   「うまい! さすが、年の功ですね。次からこうします」

 「うまい」という表現は、他者を評価する言葉です。後輩のA君が先輩のBさんを評価するのは、失礼にあたります。また、「年の功」も失礼です。からかいとも受け取られかねません。職場では年齢に関する話題や表現は避けた方がいいでしょう。
 最後の「次からこうします」という表現も適切ではありません。A君のこの表現には、「一度教えてもらったから、次からは簡単にできる」というニュアンスが感じられ、Bさんの経験や技能を軽んじているように思われます。

 社内の会話であっても、礼儀は大切です。この場合は、次のように言うべきでした。
 「Bさん、お忙しい時にありがとうございました。今回のアドバイスを活かして、次回からチャレンジします。勉強になりました」


意思疎通にトラブルを生じさせる例

 取引先との会話では、社内での会話以上に気配りすべきでしょう。たとえ外注先のスタッフであっても、正しい敬語で話すべきです。相手の感情面だけではなく、意思疎通という面でもマイナスが生じる可能性があります。

  【不適切な例】
発注元のCさんは、外注先のDさんと打ち合わせ中です。プロジェクトの詳細を具体的に刷り合わせることが目的です。ところがCさんは忙しく、打ち合わせを手短に終わらせてしまいたい様子です。
  Cさん「この件は、前回もお願いしているので、おわかりですよね」
  Dさん「確かにお話はうかがっています。しかし、今回の変更点を具体的にお聞きしたいのですが」
  Cさん「先日お電話で申し上げたとおりです。ほかに何か?」

日本語3 「相手もわかっているはず」という思い込みは、トラブルの元になります。例の場合、「前回も頼んだ」「変更点は電話で伝えた」からといって、外注先のDさんがわかっているとは限りません。だからこそ打ち合わせを行ったのでしょうが、Cさんは「打ち合わせ自体を否定」するような言い方です。表面的には敬語を使っていますが、その内容は非常に高圧的で、質問を受け付けたくない様子もうかがえます。
 こうした言葉遣いをしていると、いつか双方の認識のズレが生じ、ビジネスのトラブルに発展する可能性があります。


コミュニケーション能力を高めるために

 言葉は、人と人をつなぐ大切なコミュニケーション手段ですから、ちょっとした言葉遣いで相手の感情を揺さぶったり、誤解を生んだりすることがあります。特にビジネスシーンにおいては、自分や会社に対する評価を下げることにもつながりかねません。
 また最近では、若者特有の「バイト敬語」もよく聞かれます。

 「禁煙席の方はこちらになります」
 「ハンバーグでよろしかったでしょうか」
 「3,000円からお預かりします」

 なんとなくていねいに聞こえますが、違和感を覚える人も少なくないようです。日本語として正しい表現は次のようになります。

 「禁煙席はこちらでございます」
 「ハンバーグでよろしいでしょうか」
 「3,000円頂戴します」

日本語4 敬語に慣れていない人、正しい日本語に不安のある人は、「日本語検定」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。敬語、文法、語彙、言葉の意味、漢字、表記とうい6つの領域から、あなたの日本語能力を判定してくれます。
 また、日本マンパワーの通信講座「ビジネスで使える!正しい日本語講座 DSソフト付き」では、ビジネスシーンでふさわしい言葉の表現を学ぶことができます。教材には、「日本語検定」に準拠したテキスト、添削問題、模擬試験、音声CD※、DSソフト※もついています。特にDSソフト『日本語検定DS』は、1〜6級すべてに対応している上、ゲーム感覚で楽しむことができます。
 若手社員の教育研修教材としても、ご活用いただける講座です。

※ニンテンドーDS(R)本体は教材に含まれておりません。
※音声CDを聴くにはCDを再生するための機器が必要です。

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