ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方 vol.76

好きを仕事に! 女性の起業とキャリアを温かく支援

[2015/01/30]

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 キャリアに年齢は関係ない、という考え方もあります。でも、多くの女性にとって、年齢は無視しにくく、意識せざるを得ないこともあるのではないでしょうか。特に35歳という節目は、「これから先、どうしようか」などいろいろと考えてしまう年で、なおかつ非常に大切な年でもあるようです。
 書籍『好きを仕事に!〜私らしいローリスク起業』の著者のひとり、尾久陽子さんも、35歳前後に大きな転機がやってきたと言います。自分の思い描くような道を探せず、かなり悩まれたとのこと。そして、選んだ資格が行政書士でした。しかし、当初は必ずしも順風満帆ではなく、自分のやりたいこと、自分のできること、周囲の環境などの狭間で悶々とする時期もあったようです。
 そうしたご自身の経験から生まれたのが、35歳以降の女性の起業を支援する「キャリア35」です。日々の暮らしの中でいかに充実したキャリアを築いていくかを、起業という側面からサポートしている温かいグループです。
 尾久さんは行政書士のほかにもキャリアカウンセラー(CDA)の資格を持っています。共に活動するメンバーには、ファイナンシャル・プランナーもいれば、中小企業診断士もいます。どのような支援をしているのか、ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 一般社団法人キャリア35 リーダー
 おぎゅう行政書士事務所
 尾久 陽子 さん
  行政書士
  キャリアカウンセラー(CDA)
  ファイナンシャル・プランナー

学生時代から32歳まで演劇活動中心の生活で、数々のアルバイト・派遣を経験。その後、法律事務所に勤務したことがきっかけで、行政書士の資格を取得し独立開業。しかし、その過程で、女性同士で気軽に協力・相談できる社会基盤がないことを痛感。その経験から、2010年、35歳以上の女性の起業を支援する「キャリア35」を立ち上げ、リーダーとして活躍している。


35歳を過ぎてから行政書士を受験

 私は学生時代から演劇に夢中で、就職活動をすることもなく、30歳すぎまでアルバイトなどをしながら演劇活動をしていました。でも、身体を壊したことをきっかけに、自分に経済基盤がないことに気づき、演劇活動をやめました。
 ただ、本格的に働こうと思っても、正社員として勤めた経験がありません。「この先、どうしようか?」と悩み、迷ったと同時に、35歳を過ぎていたので就職活動も難しい状況でした。そんなはっきりしない状態ながらも勤めたのが、法律事務所です。
 法律事務所と言っても、法律の知識があったわけではありません。アシスタント業務をする私には名刺がありませんでしたし、お客さまから名前で呼ばれることもありませんでした。けれども、法律事務所を訪れる人は本当に困っている人が多く、何かお手伝いしたいとは思っていました。
 そこで、行政書士の資格取得に挑戦したのです。翌年には、ファイナンシャル・プランナーも取得し、複数の会社で契約社員として法律関係の仕事に携わることができました。
 しかし、なんとなく自分を表現できていない気持ちが拭えず、勇気を振り絞って行政書士として独立開業しました。それでようやく、自分らしくがんばれる実感がわいてきたように思います。


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35歳以降の女性の起業を支援

 もっとも、経験も実績もない者が独立開業をしても、急にお仕事をいただけるわけではありません。また、行政書士の先輩には年配の男性が多く、気軽に相談できる人を見つけられませんでした。ロールモデルになるような女性も知りませんでした。
 「ああ、こんな時に、女性同士で気軽に相談できたり、協力し合ったりできるグループがあるといいのになあ」
 そんな思いを強く抱きました。そこで、異業種交流会で「一緒にやろう」と声をかけて賛同してもらった3人と、キャリア35」を立ち上げのです。2010年のことです。
 メンバーは全員女性です。行政書士・CDAの私と、ファイナンシャル・プランナー中小企業診断士である経営コンサルタントメディア関連業務経営者の4人です。それぞれの専門を活かしながら、35歳以降の転機を迎えた女性に対して、起業にかかわるキャリア支援をすることを活動の軸に置いています。
 一般的に「起業支援」と言うと、会社設立の手続きや各種申請業務、融資を受けるための事業計画作成が思い浮かぶかもしれません。でも、私たちが行っているのは、そうしたことだけではありません。私も経験があるのでわかりますが、起業に際して困ることはそれ以外にもたくさんあるのです。
 たとえば、相談相手がいない」「アドバイスしてくれる人がいない」「誰に何をどう頼めばいいのかわからない」「ロールモデルとなる身近な人がいない」「事業を続けていく方策がわからない」などです。私たちは、こうした課題を気軽に話して解決に導く専門家グループとして、女性の起業を支援する活動をしています。


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キャリア形成には起業という選択肢もある

 起業と言っても、ベンチャー企業のように大きな資本で儲けることを目的にするものとはニュアンスが違います。むしろ、「これまでサポート職しか経験がない」「子育てが終わって働きたいけどどうしよう」「このまま仕事を続けていても自分らしい未来が見えない」などと悩んでいる女性に対して、もし好きなことがあるのなら、選択肢のひとつとして起業という道もありますよ」という視点でご提案しています。
 お金を稼ぐことよりも、暮らしの中でいかに充実した仕事をするか」「社会にどのように貢献していくか」「家族との時間を大切にできる働き方はないか」「既存サービスの質を向上できないか」という点に重点を置きながら、自分で何かを創造していきたい」という意思をサポートしています。また、会社設立までを支援するだけではなく、その後に直面するであろう問題に対しても、法律、手続き・申請、事業展開、財務、PRなど専門家の立場でアドバイスやお手伝いをしています。


キャリア35の提供サービス

 キャリア35の活動は、起業セミナー】【しごとがしりたい】【その他講座】の3つに分けられます。
 【起業セミナー】とは、「何か起業をしたいな」という人を対象にした基本的な講座で、「キホン講座」と名付けています。具体的には、自分の価値観を棚卸したうえで、自分がどのくらい準備ができているかの診断や、今後の事業に活かせるキャリアを探るワーク、聞きたいことを何でも質問できるQ&Aなどのプログラムを用意しています。テキストとなる書籍代を含めて4,000円で受講することができます。
 【しごとがしりたい】は、起業して活き活きと活躍している女性をロールモデルにしてもらうため、毎回、さまざまな業界・職種のゲストをお呼びし、本人と直接お話しのできる座談会です。少人数でざっくばらんにお話しいただける場ですので、一般的なセミナーや交流会で聞けないことも聞けると思います。参加料金も2,000円程度に抑えています。
 【その他講座】は都度さまざまなテーマで開催しています。今考えている企画は、夢を叶えるための夢マップ」ワークショップや、マネープラン講座出版のしかなどが挙げられます。最新情報は随時ブログにアップしますので、ぜひご参照ください。

>>キャリア35のブログ
http://ameblo.jp/career35/


経験や資格のすべてが役立っている

 行政書士の仕事は一般的に、許認可に関して官公署に提出する書類の作成や提出手続きの代理が主となります。その意味では、私の行っていることは少し異質かもしれません。でも、私自身が起業してぶつかった壁や法律事務所で知った依頼者の苦しみから、単に手続き代理をするだけでなく、その前後や周辺で困っていることもお手伝いしてあげられたらと思ったのです。また、CDA受講を通してキャリア理論などを学べとともに、いろいろな価値観の人と出会ことができました。相手が話しやすいと感じる対話力も身につきました。そうした経験・資格すべてが現在の活動につながっていると思います。

 今後の働き方について自分で何かをやる」という選択肢も考えていらっしゃる方は、ぜひご連絡ください。非常に敷居の低いグループですので、お気軽に参加いただけるはずです。起業ノウハウなどの知識も大事ですが、一歩目の行動人との出会も大事だと思います。

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好きを仕事に!
私らしいローリスク起業

キャリア35 著
「好きなことを仕事にしたい」と願う人に向けた、できるだけお金と時間を無駄にせずに起業するための本です。(発行:ビーケイシー、本体1,500円+税)

>>キャリア35のホームページ
http://www.career35.com/index.html
「今後はさらに有用な情報を紹介していく予定」だとのことです。


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