生き方を支援するCDAの考え方に共感し、受講を決意
[2016/10/26]
サルが好きな女子高校生が、栄養学の大学に進学。栄養学の学校なのに、動物の生態を夢中で勉強。就職では、瓢箪から駒のような感じで広告代理店に入社。入社当初は知らないことだらけだったけれど、経験を積んで「何でもできるプロデューサー」に成長。にもかかわらず、「カッコイイうちに会社を辞めなきゃ」と退職。個人事業主として独立したのはいいものの、うまくいかず、自分の仕事に思い悩む。そして、気になり始めたのが「遺影」・・・。
前回の同コーナーでご紹介した石崎公子さんの半生です。こんなドラマか小説のような人生は、その後さらに展開し、生きるための終活を支援する活動や、キャリアカウンセラー(CDA)資格へのチャレンジへとつながっていきます。終活とCDAとのつながりはどこにあるのでしょうか? ぜひご一読ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
石崎公子事務所 トラベシア 代表
コミュニケーション・スペシャリスト
石崎 公子 さん
◇国家資格キャリアコンサルタント
◇CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
◇終活カウンセラー
◇供養コンシェルジュ
◇セカンドライフアドバイザー
1982年広告代理店に入社。勤続25年(マーケティング/プロデュース)で退職、独立。個人や小さな法人の広告・PR・ブランディング、制作支援のほか、プロジェクトの運営推進や組織づくりサポート、キャリア形成・コミュニケーションスキルの向上の指導を行う。生き方がにじむ顔つきや遺影に注目したことから終活業界とつながり、エンディングノートを活用した生き方講座やワークショップ、終活関連書籍などを手がける。著書に『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)がある。
「逝き方は生き方」であることを学ぶ
「夫はいなくなったけれど、私、この写真のおかげで寂しくないわ」と言った義母の言葉に、私は遺影の持つ力が大きいことを確信しました。遺影に詰まった、遺していく人への思いやりや愛情表現。会社を退職して独立したものの、仕事が少なかったこともあり、遺影についてのブログ「遺影について思うこと〜自分らしく生きるために〜」を始めました。
すると、お坊さん、葬儀会社や墓石会社の人、行政書士、税理士、ファイナンシャル・プランナーの方たちが読者になってくれました。今で言う、終活業界の専門家です。また、「そういえば私は遺影を用意していない」「病気になったので遺影に関心がある」など、一般の人たちからのコメントや感想をもらうようになりました。
なかには「こういう勉強会がある」などの情報も寄せられ、勉強会に参加したりしているうちに、終活にかかわる人とのネットワークが広がっていきました。「遺影についての話をしてほしい」などの依頼もありました。
そんな時に知ったのが、エンディングノートです。当初、「死ぬ準備のためのノートなんだろうな」と思って開いてみると、まったく違ったものでした。「自分がどう生きていくかを確認するノート」だと思ったのです。そして、ノートに書き込むためにいろいろ考えていくことが、自分がいい顔になっていくプロセスではないかと考えるようになりました。
また、ネットワークの人たちとの勉強を通して、「逝き方は生き方」であることも学びました。「どう生きるか」と「どう死ぬか」は表裏一体。穏やかに逝ける人は、きちんと生きています。家族など周囲ときちんとコミュニケーションをとって、自分の意思も伝えています。顔や遺影も、それまでどう生きてきたかが現れているのだと思います。
逆に言えば、何年後かにいい顔をしているかどうかは今の生き方によるのだと、捉えています。
著書『失敗しないエンディングノートの書き方』を書く
そこで「遺影の本を書こう」と考え、企画書を作って出版社に持ち込みました。でも、まったく相手にされませんでした。終活という言葉が一般化していない時期でしたから、「誰も遺影の本なんか読みたくないと思うよ」などと言われたこともあります。
広告代理店に在籍している頃は「自分は何でもできる」と自負していたのに、私がやりたいことはまったく求められていない。そのギャップを痛感しつつ、出版は諦めました。
そうしたら1年後、出版プロデューサーから「エンディングノートに関する本を書いてくれる人を紹介してくれませんか」と連絡がありました。ただ、エンディングノートとひと口に言っても多種多様です。自分の歴史、家族・家系図、趣味、付き合い、健康・病気・介護、資産、葬儀・墓などの項目のうちどれに重きを置くか、何を目的とするか、どのようなページ構成にするのかなどは、ノートによってさまざまです。ですから、「こういうノートならこの人、こういうノートならこの人」などとまとめ、数人を推薦しました。
すると、出版プロデューサーからの返事は、「それは知らなかった。そうであれば、一般目線で石崎さんが書いてみませんか?」というものでした。広告代理店に入社した時と同じような瓢箪から駒。高校生時代から続く成り行き人生のワンシーンかもしれません。
そうして執筆したのが『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)です。
「生き方の支援」CDAの受講を決意
同書には、エンディングノートを書く意味から、ノートの選び方、書き方、トラブルなどについて詳しく書きました。遺影のことについても書きました。傍から見ると、退職・独立して成功したように思われるかもしれません。
ところが、本を書いたことで逆に、ものすごい劣等感に包まれました。私は葬儀の専門家でもなければ相続の専門家でもありません。終活業界の現場経験もないのに、偉そうにエンディングノートを語ってしまいました。「大それたことをやってしまった」という気持ちが大きくなり、当時は書店に入ることすらできなくなりました。
それを払拭するため、エンディングノートを語ってもいい専門性を身につけようと考えました。そうして探し当てたのが、キャリアカウンセラー(CDA)資格だったのです。
私は、日本マンパワーの「キャリアカウンセラー養成講座」(現在のキャリアコンサルタント養成講座)の無料説明会に参加しました。その日は、通学コースの授業が体験できる内容でした。
授業を受けていて確信したのは、CDAは「生き方の支援」だということです。それはまさに、私が抱いていた「どう生きるかが大事」という考えにフィットし、受講を決意しました。
毎回ワクワクして養成講座の授業を受講
養成講座の授業は、終活の考え方と重なる点が多々ありました。
たとえば、「なぜキャリアカウンセリングが必要か」と「なぜ終活が必要か」は、ともに時代背景に求めることができます。終身雇用制度が崩れ、働き方の選択肢が増えたことなどがキャリアカウンセリングの必要性のひとつになったように、エンディングノートの必要性は、近所や親戚の長老的存在との関係が薄れ、葬儀や延命治療の選択肢が増えたことなども影響しています。
また、授業で学んだ各種理論は、それまで自分が皮膚感覚でなんとなく感じていたことを、明確な論理で裏づけしてもらったように思えました。それまで、自分の考えの根拠のなさに後ろめたさを感じていたりもしましたが、「それで大丈夫」だと背中を押してもらったようで、うれしくもありました。10日間の通学コースの授業を、毎回ワクワクして受講していました。
受験にあたっては、自主勉強会などに参加して仲間と一緒に学習したりしました。おかげさまで無事CDA資格を取得することができました。
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★石崎公子さんは、キャリアカウンセラー(CDA)の学習・資格取得を通して、少しずつ考え方が変わっていきます。エンディングノートや終活に関しても、より深みを増していきます。本記事の続きは来月の当コーナーをご覧ください。
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