ちょっと一息

「社会保険労務士」本試験を振り返る

難問多かったものの、基礎学習が合否を決める

[2013/10/29]

緑 社会保険や年金、労働問題などの専門家として社会的評価の高い、社会保険労務士(社労士)。今年度の国家試験は8月25日(日)に行われました。「例年6万人前後の申込者、受験者が5万人前後となる資格試験で、近年若干減少傾向にありますが、相変わらず高い人気を保っています。」

 ところが、おそらく大部分の受験者が試験中にショックを受けたことだろうと思います。試験が難しかったのです。どの学校のテキストにも記載されておらず、到底基準点を満たせそうにない問題が複数科目で出題されました。

 でも、まだ諦めることはありません。基準点が下がる可能性もあるからです。そうした本試験分析と来年度に向けた対策について、日本マンパワーの「社会保険労務士受験通信講座」教材開発担当者、小山明彦さんにおうかがいしました。


●今回お話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 キャリアクリエイト部 第1課
 小山 明彦 さん
 (社会保険労務士)


置時計難易度の高かった今年度の選択式試験

 社労士の本試験は、択一式と選択式という2つの出題形式で構成されています。
 択一式試験5肢択一で、「正しいもの」あるいは「誤っているもの」を答える形式です。7科目について各10問、全70問(各1点)が出題されます。また、科目ごと基準点が設けられており、最低4点以上の得点を取ることとされています。
 一方、選択式試験はいわゆる穴埋め式問題で、与えられた問題文の空欄を選択肢20個の語群から選ぶという形式です。問題数は科目ごとに大問1問があり全8科目。1科目につき5つの空欄(小問)がありますので40点満点です。こちらも科目ごと基準点が設けられており、最低3点以上の得点を取ることとされています。なお、択一式、選択式ともに合計得点は年度によって変動します(昨年は、択一式46点、選択式26点)。

 しかし、今年度試験の場合、例年通りの基準点だと合格率が落ちることが予想されます。なぜなら、選択式試験で難易度が極めて高かったからです。試験の最中に「ダメだ、科目ごとの基準点に達しない」と精神的ダメージを受けた人も多かったのではないでしょうか。


難問の年は基準点が下がることも

 選択式問題で特に難しかった科目は、〔問2〕労働者災害補償保険法と〔問5〕社会保険に関する一般常識です。人によっては〔問6〕健康保険法も苦しんだでしょう。
 これらが難しかった理由は、一般的な社労士学習で触れないような内容、つまりテキストに載っていない内容が出題されたからです。〔問2〕では、日本マンパワー「社会保険労務士受験通信講座」のテキストで1問しか解説されていません。〔問5〕〔問6〕でも受験テクニックを駆使して各3問解くのが精一杯かと思います。
 誤解のないようにお願いしますが、これは日本マンパワーのテキストに不備があったわけではありません。どこの学校のテキストにも載っていないのです。ですから、関係者の間ではちょっとした騒ぎになっています。

 でも、受験された方はまだ諦めないでください。こうした難問の年は基準点が下がことがあるからで。実際、昨年度の選択式試験では厚生年金保険法が「2点以上」に調整されました。今年度も、科目によって基準点が1点か2点になる可能性があります。
 来年度以降に社労士を受験しようと思っている人も、「こんなに難しい問題が出るのなら受験するのをやめよう」と思わないでください。主催者も受験者数が減るのを望んでいないでしょうから、極端な難問を繰り返すことは避けるはずです。


シニア直前模擬試験と同じ内容がズバリ出題

 社労士試験に合格する最大の秘訣は、出やすい基本問題を確実に正答し、7割得点を目指すことです。難問に振り回されて基礎学習がおろそかになってしまったら、合格することは困難です。むしろ、学習時間には限りがありますので、難問を捨てる勇気が大切です。
 その点、日本マンパワー「社会保険労務士受験通信講座」の過去問題集には難問が掲載されていません。頻出する重要ポイントをしっかりと理解し、確実に正答すことの方が大切だからです。

 「基本問題だけで大丈夫?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。その証拠に、難問が多かったと言われる今年度の試験でも、日本マンパワーのテキストをしっかり学習していれば択一式で51点、選択式で28点を得点できたはずです。科目ごとの基準点さえクリアすれば、十分に合格ラインに達するでしょう。受験テクニックを駆使すれば、さらに加点が可能です。
 受験テクニックについてはここで詳しく触れませんが、教材に記載してありますので、ぜひご参照いただければと思います。

 ちなみに、今年度本試験の選択式試験のうち〔問8〕国民年金法は、「社会保険労務士受験通信講座」の直前模擬試験と同じ内容がズバリ出題されました。でも、これは決して予想したわけではありません。出題頻度の高い基礎学習を重視した結果です。
 テキストと問題集を信じて繰り返し基礎を固める——私たちは、その方法で合格基準に達するように教材を作成していますし、実際にそれが効率的かつ最善の社労士学習法だと思います。
 来年度の科目テキストはすでに完成しています(問題集は1月以降配本)。理想的な学習計画は、3月末までに科目テキスト学習をひと通り終え、4月から問題集に取り組ことです。社労士を目指すなら、早めのスタートをして無理なく・無駄なく合格を目指しましょう。 

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