「課題解決に向けて考える組織」を作るために
[2011/06/29]
みなさん、仕事上で何か課題はありますか?
ありますよね。仕事は課題解決の繰り返しですから。
課題解決力の高い人は、間違いなく仕事ができる人だと言われます。そうした人には共通して、次の点で高いマインド(意識)と卓越したスキル(技術)が備わっているようです。
【マインド】問題意識、危機意識、当事者意識、目的意識
【スキル】問題発見スキル、ロジカルシンキングスキル、解決策の創造スキル
今、所属部署で中心的な存在として活躍されている人は、おそらく、これらのマインドとスキルを有しているものと思われます。
ただ、これから組織を牽引していく自律型次世代リーダーとなるためには、自分だけが高い能力をもつのではなく、チーム全体のマインドとスキルを高めていくことが求められます。
では、チームメンバーが高いマインドとスキルを備え、課題解決力が高い組織を作るためには、どうすればいいのでしょう? 日本マンパワーの通信講座『課題解決のための 思考術』は、そうしたニーズに応える知識とスキルを身につけることを目的としています。講座担当の熊谷史さんに概要をうかがいましたので、ご参照ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
キャリアクリエイト部
熊谷 史 さん
時を告げるよりも、時計を作ろう
『課題解決のための 思考術』では、受講によるゴールを、「リーダーとしてチームを牽引し、自分がいなくても課題解決できる仕組みづくりの知識とスキルを身につけること」と設定しています。リーダー自身の課題解決力を高めるだけでなく、むしろ、組織の課題解決力を高めることに重きを置いています。
ジェームズ・C・コリンズの著書『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(日経BP社)には、次のような有名な一節があります。
“時を告げるのではなく、時計を作る”
「昼夜どんな時でも太陽や星を見て正確な日時を言える人がいたら、それは素晴らしい才能だし、尊敬もされるだろう。しかし、その人が時を告げるのではなく、自分の死後も永遠に時を告げる時計を作ったとすれば、もっと素晴らしいことではないか」という意味です。
この講座を通して、所属部署で中心的リーダーとして働いている人や、管理職前の中堅社員の方が、「課題解決力の高い組織」という“時計”を作るための知識とスキルを身につけていただければと思います。
問題を発見し、課題解決のサイクルを回す
講座はテキスト(1冊)と添削問題(2回)から構成されています。
テキストは3つのパートから成り、いずれも図表やイラストを盛り込みながら、端的にわかりやすく、幅広い視点から解説しています。
たとえばパート1は、次のような内容となります。
1−1 自分の職場を「考える組織」にする
1−2 課題解決がうまい人、課題解決がうまい組織
1−3 課題解決サイクルを回す
1−4 目の前の問題に気づくには?
1−5 問題発見のセンスを高める
1−6 問題と課題の違いとは?
1−7 アイデア発想力を鍛える
このうち、1−3の「課題解決サイクル」をご紹介しましょう。課題解決サイクルとは、問題発見から課題解決までのサイクルを指します。課題を解決するためには、まず問題を見つけ、問題の原因を探求し、取り組むべき課題を設定し、情報を収集・分析し、解決策を創造し、解決策を推進する必要があります。
このサイクルを組織の中で習慣化するためには、次の5つのスキルを高める必要があります。
(1) 仮説検証サイクルを回すスキル
仮説検証とは、問題・課題の解決の方向を仮に設定して、解決へ向けての一歩を進めることを意味します。仮説を検証し、実行後に修正を加えることで、問題解決の質をより高めるスキルです。
(2) 情報収集&情報分析スキル
目的に合わせて情報を収集・分析するスキルです。
(3) 整理体系化のためのロジカルシンキングスキル
ロジカルシンキングとは論理的思考で、「わかりやすさ」を至上命題とするものです。結論がはっきりとした説得力のある状態を作り出すスキルです。
(4) 課題構造化スキル
問題を整理し、原因を論理的に体系化することにより本質を追究・課題化して、優先順位づけや因果関係化などを行うスキルです。
(5) 解決策創造スキル
解決策の本質をとらえ、適切なレベル、範囲、深さの解決策を練るスキルです。
パート1では、こうした基本的な知識や考え方を、わかりやすく順序立てて解説しています。
実践に役立つ具体的手法を身につける
パート2、パート3では、より具体的な実践手法を事例を盛り込みながら解説しています。具体的には以下のような内容になります。
2−1 仮説思考とは?
2−2 仮説検証サイクルを回す
2−3 情報収集のポイント
2−4 フィールドワーク、リサーチインタビューの手法
2−5 課題解決のベースとなるロジカルシンキング
2−6 情報をモレなくダブりなく整理する「フレームワーク」とは
2−7 ビジネス・フレームワーク(1)
2−8 ビジネス・フレームワーク(2)
2−9 業務の問題を構造化する
2−10 問題の真因を探る
3−1 課題解決のゴールビジョンを共有する
3−2 課題はオプションで複数用意する
3−3 過去や決まりにとらわれない「ゼロベース思考」
3−4 ブレインストーミングで楽しく課題策定
3−5 新しい発想で職場を変える「ラテラル・シンキング」(1)
3−6 新しい発想で職場を変える「ラテラル・シンキング」(2)
3−7 「コンセプト思考」で解決策を絞り込む
3−8 組織・チームとして課題解決策を実行するには
3−9 課題解決の実行計画を策定する
3−10 「課題解決リーダー」としての考え方
いずれの内容もリーダーに必須の情報が凝縮されていると思います。
たとえば2−7と2−8のビジネス・フレームワークでは、4P、3C、5Forces、SWOTなどの要素のフレームワークから、構造のフレームワーク、順序のフレームワーク、位置づけのフレームワークを解説しています。
また、WHATツリー、WHYツリー、HOWツリーなどを使って、業務の問題を構造化したり、問題の真因を探ったり、課題のオプション化・構造化をしたりする手法も学びます。
ブレインストーミングやラテラル・シンキング(水平思考)の項では、アイデアを生み出すのに役立つ方法を具体的に解説しています。
一方、添削問題では、受講者ご自身が実現したいビジョンについて、WHATツリー、WHYツリー、HOWツリーを描く問題も盛り込んでいます。
自ら考える組織を作って自律型次世代リーダーとして活躍するため、ぜひご活用ください。