ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.41

自分の素養や経験と組み合わせれば「強い武器」になる

[2020/07/30]

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 日本マンパワー『キャリアコンサルタント養成講座』の受講生の中には、仕事に就いていない人も少なからずいます。今、複数の大学で講師を務める新保友恵さんも、育児休暇中に『キャリアカウンセラー養成講座』(旧名称)の受講を決めました。
 本記事は、新保さんのキャリアストーリー第3話(最終回)です。出版社、研修講師・イベント企画・カフェ経営などの自営業、ITサービス会社などで働いてきた新保さんが、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)と出会って学びを深める過程で、何を感じ、考えてきたのか。また、コロナ禍の下でどのように活動しているのか。ご本人におうかがいしました。
 キャリアコンサルタントを目指す方、キャリアコンサルタントの資格を活かして新しい仕事を始めようとする方には、特にお勧めしたい内容です。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 名古屋産業大学 現代ビジネス学部 特任講師
 和光大学 非常勤講師
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 新保 友恵 さん


コロナ禍での大学講師業務

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、私の勤務する大学では授業の開始時期を延期し、5月後半から遠隔授業が始まりました。学生と直接対面できないデメリットを少しでも解消するため、ZoomやTeamsなどを使って、チャット、ブレイクアウトルーム、投票などを駆使しながら授業をしています。
 遠隔授業にあたっての事前準備は、特にゴールデンウイークの頃がたいへんでした。黒板に板書すべきことをすべてパワーポイント化する必要があったほか、シラバスの修運営のための学習も必要となりました。
 学生たちへの影響ももちろん甚大で、戸惑い不安がうかがえました。たとえば和光大学では、「なぜ、この科目を選んだか?」というアンケート調査に対して、「ほかの学生とコミュニケーションを取りたかったから」などの回答が見られました。私の授業が演習型だからだと思います。この回答を裏返して考えると、コミュニケーションを取れないことにネガティブな想いを抱いていることがわかります。
 ちなみに、名古屋産業大学では7月中旬から教室での対面授業が始まりました。そのため、新しい資料作成新型コロナ感染防止対策などに忙しい日々が続いています。


制約ある中でメリットを探す

 ただ、社会全体でオンライン化が進んだことは、必ずしもデメリットだけでなく、メリットを見出すこともできます。たとえば、地方の学生が東京での就職を志望するケース。従来であれば、面接に行くための交通費がかさむなどの理由で、採用試験を断念するケースが見られました。でも、オンライン面接なら費用の負担を抑えることができるので、チャレンジできる機会が増えます。そのように格差の解消前向きな行動につながることは、望ましいことだと思います。
 私自身も、オンライン化による利便性を感じています。これまでは、娘と一緒に居る時間を優先するために、参加を断念せざるを得なかったイベントがいくつかありました。でも今は、娘と共に自宅に居ながら、ミーティングや勉強会、シンポジウムなどに参加できています。大学の授業においても、遠方在住の人にゲストスピーカーを依頼しやすくなりました。
 ある意味で、リンダ・グラットンさんが書かれた『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の世界が、コロナ禍によって急速に到来したような気がします。すべてのオンライン化を肯定するわけではありませんが、制約のある中でメリットになることを探しながら、対応していくことが大切だと思います。


「働く楽しさ」を伝えたい

 学生に対してはさまざまな想いがありますが、最も伝えたいことの一つに「働く楽しさ」があります。学生の中には、インターネットなどの情報によって「ブラック企業が怖い」「働くのが怖い」などの印象が植え付けられてしまって、就職活動に前向きになれない人が見受けられるからです。でも、社会人の方はご存じだと思いますが、実際にはそんな面ばかりではありません。
 私自身、働くことが大好きで、これまでずっと「仕事は楽しい」と感じてきました。楽しいと感じる理由は人それぞれだと思いますが、私の場合はゲーム性があるからかもしれません。つい先日、娘がしているゲームを私もしてみたのですが、何回もトライして努力を重ねていくと成績が上がっていくのです。実力がついていくのが自分でわかって、とてもうれしいのです。勉強も同じです。学ぶことによって成果が出ると、充実感達成感を得られます。
 そうした楽しさを学生たちに伝え、ぜひ希望を抱いて社会に羽ばたいていただければと思っています。
 また今後は、現在業務の分量としては減っているキャリアカウンセリングの仕事も増やしていきたいと思っています。講師業とキャリアカウンセリングは車の両輪のようなもので、それぞれで得た知見や経験を相互に活かすことができるからです。そうして自分の能力を高め、学生やクライエントのみなさんに質の高い授業やサービスを提供することができればと思います。


希望する仕事や条件に近づけるために

 このように、私のキャリアCDAの学びに影響を受けながら歩んできました。CDA取得によって成長できたかどうか、自分ではわかりません。ただ少なくとも、資格を保有していることによって、周囲から「基礎的な知識がある」と認識されているはずです。それが、さまざまな教育機関や行政で働くことができたバックボーンの一つになっていると思います。
 もちろん、どのような資格であっても、資格を取ればすぐに仕事につながるというわけではありません。その点はCDAも同じです。でも、自分が得意としている別の素養や経験とCDAとを組み合わせれば、強い武器になると思います。私の場合も、教育機関での就労経験がないにもかかわらず最初のS大学に採用していただけたのは、おそらく出版社で働いた経験や採用面接の経験があったからでしょう。採用する側あるいは発注する側の立場に立って考えてみると、わかりやすいかもしれません。未経験者の場合は、最初は条件のいい仕事が見つからないかもしれませんが、何かを少し我慢して、ハードルの低い仕事から試してみてはいかがでしょうか。経験を積むことによって、自分の望む仕事や条件に近づけられる可能性があります。


かけがえのない、人と人とのつながり

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 最後になりますが、CDAの学びで最も強く感じたのは、人と人とのつながりの大切さです。それは、受験勉強をしている頃から感じていました。私は当時、100人ほどのメンバーから成る自主勉強会に参加していました。勉強会では、有資格者と受験生が協力して、主に面接試験のロールプレイ対策に取り組みます。すると、2〜3回しか会っていない人とでも信頼関係が生まれるのです。相手を尊重することが大事だと学んだ者同士が、お互いに自分の生き方や価値観を語り、耳を傾け、心の奥を理解しようとするからでしょうか。会っている回数が少ないのに、なぜか、つながっている感覚があるのです。ですから、何かに困ったら相談しやすいですし、知らないことを気軽に尋ねることもできます。勉強会のメンバーだけでなく、CDAというだけで心を許せる感じがします。
 また、CDAをきっかけに知り合った人のSNS投稿を読むだけでもすごく勉強になります。CDAには学習意欲情報感度が高い人が多く、参考になった本の紹介や学習イベントの情報などを共有する文化があります。そうした投稿を読むと、「私ももっと学ぼう」「この本を読んでみよう」「このイベントに参加したい」など、励み刺激になります。私が自分で学習イベントを開催しようとした際も、すぐに協力してくださる人が現れ、スムーズに実現することができました。
 こうした関係性を築けるCDAのコミュニティは、ほかではなかなか見出すことができません。いい意味で、本当に不思議でありがたいつながりです。CDA仲間のネットワークは、今の私にとってかけがえのない財産になっています。

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