ちょっと一息

ハッピーキャリアの作り方vol.23

内定を得られる学生、得られない学生

[2010/04/27]

ハッピーキャリア1005_1 リクルートスーツが目につく季節になってきました。初々しいみなさんを見かけると、つい「がんばって!」と心の中でつぶやいてしまいます。
 ただ一方で、専門家による新卒採用動向予測では、「企業が人材を厳選することによって、複数の内定を得られる学生と、まったく得られない学生の二極化が進む」という意見も聞かれます。
 それでは、「複数の内定を得られる学生」と「まったく得られない学生」とでは何が違うのでしょうか? 自分が「内定を得られる学生」になるためには、ただ単にがんばるだけでなく、その違いを認識しておくことも重要です。
 キャリアカウンセラーとしてジョブカフェで就業支援を行っている金子京子さんによると、顕著な違いがあるようですよ。以下に、金子さんのお話をご紹介いたします。

●今回お話を伺ったのは・・・
 ヤングキャリアセンター埼玉
 キャリアカウンセラー
 (産業カウンセラー、キャリアコンサルタント)
 金子 京子 さん
ヤングキャリアセンター埼玉とは、30歳代までの人を対象に職業相談や職業紹介、情報提供などを行う、埼玉県が運営している就業支援のワンストップサービスセンター(通称ジョブカフェ)。金子さんは同センターで、キャリアカウンセラーおよびセミナー講師として、日々若年層の就業支援に取り組んでいる。


就職活動が長引く人たちの共通点

 私は、週に4日、1日に6人のペースで大学生やフリーターの方などにキャリアカウンセリングを行っています。月に換算すると延べ約100人、1年では延べ1000人以上の就業支援を行っている計算になります。
 そうした多くの相談者の中には、残念ながら「なかなか就職が決まらない人」がいますが、その人たちにはいくつかの共通点があります。
 まず、「あいさつができない」こと。
 たとえば、カウンセリングの受付で「カウンセリングを予約した者ですが・・・」と自分から切り出すことができず、職員から声をかけられるまで立ち尽くしている人。あるいは、受付の人が「○○さん」と呼びかけても返事のない人。カウンセラーに「よろしくお願いします」と言えない人。カウンセラーが先に「こんにちは」とあいさつしても、無言の人もいます。
 次に、「メモをとらない」こと。
1005ハッピーキャリア_2 カウンセリングを行っている時、メモをとる人ととらない人がいますが、メモをとらない人は就職活動が長引く傾向にあります。たとえば「この書類はこう書き直しましょうね」とアドバイスすると、「はい、わかりました」というのですが、メモをとらないためか直し忘れてしまう。メモを見て反省することもないでしょうから、その後の就職活動も好転しにくいかと思います。
 第3に、「書類の文章がわかりにくい」こと。
 これには2つのケースがあります。ひとつは、インターネット情報などを写しただけで、自分の言葉に置き換えていないケース。もうひとつは、文章力が未熟で、「てにをは」や接続詞が間違っていたり、冗長でつじつまのあわない文を書いたりするケースです。いずれにせよ、企業の採用担当者から高評価を受けるのは難しいでしょう。
 「やりたい仕事がわからない」ことも、共通点のひとつです。
 やりたい仕事がわからないのですから、就職活動自体をスタートできません。もちろん、自己PRを考えることにも至りません。
 ほかでは「情報収集が偏っている」こと。
 たとえば、学校などで「男性は営業職が多い」と聞いただけで、職種選びの対象を営業職に限ってしまう人もいます。求人票を見たことがない人もいますし、仲間との情報交換が少ない人もいます。
 面接試験においては、「覚えてきたフレーズしか話せない」こと。
 覚えてきたフレーズだけでは心が込められませんし、会話が成立しません。面接は“やりとり”です。一問一答ではありません。なかには、想定外の質問に押し黙ってしまう人もいます。企業の採用担当者は潜在能力を含めた総合力を推し測っているのですから、そうした対応ではなかなか内定を得ることは難しくなります。


内定を得られる人になるために

 一方、すぐに内定を得られる人は、あいさつやメモどりなどの習慣がついていて、さまざまな面で自主的に準備をしています。
1005ハッピーキャリア_3 カウンセリングの際にも、私たちカウンセラーが席に着くまで立って待っていて、「よろしくお願いします、失礼します」と言ってから腰掛けます。自分が知っていることもきちんとメモをとり、アドバイスしたことは次回のカウンセリング時にきちんと直してきます。自分でできる範囲のことは準備していますので、カウンセリングを受ける目的もはっきりしていて、「今度の○日に面接がありますので、その際のポイントを教えてください」とか「応募書類を書いてみたのでチェックしていただけますか」など、事前に質問を用意しています。ですから、書類作成、職種選び、情報収集などに不備があったとしても、ちょっとしたアドバイスで改善することができます。

 前段の「なかなか就職が決まらない人」の共通点にひとつでもあてはまる人は、ぜひ「内定を得られる人」になれるよう、習慣と準備を見直しましょう。
 たとえば、あいさつに不安がある人は、ご自宅の固定電話に積極的に出て、敬語の練習をしてみてはいかがでしょうか。飲食店で外食したら、店員さんに「ごちそうさま」「ありがとう」と声をかけてみるのもいいかもしれません。そうした日頃からの習慣づけは、基本的なマナーを改善するのに有効です。“感じのよさ”は必ず採用に結びつきます。
 その他のことについても、まず自分の課題を把握しましょう。その上で、一つひとつ調べたり聞いたりすれば、自然に改善できるはずです。

 私たちカウンセラーも、みなさんが自分に合った仕事に就いていただけるよう尽力させていただきます。

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