ちょっと一息

「中小企業診断士」学習のコツvol.13

登録養成課程のコンサルティング実習レポート

[2012/10/30]


診断士1 中小企業診断士は、高度な専門知識とコンサルティングスキルが求められるため、合格するのが難しい試験です。たとえ1次試験が受かったとしても、筆記・口述による2次試験を2回以内で合格しなければ、1次試験から受験しなおす必要があります。
 ただ、「登録養成課程」を受講・修了すれば、「2次試験が受からなかったらどうしよう」という心配はなくなります。これは、経済産業省の登録を受けた機関が実施するカリキュラムを修了することにより、2次試験と登録実習が免除されるという制度です。そのため、「1次試験さえ受かれば、ほぼ確実に診断士になれる」と言えます。
 日本マンパワーの場合、登録養成課程カリキュラムは1年間と(他機関に比べて)短期ですが、「理論を座学演習で」「実務スキルを診断実習で」しっかりと積み上げて身につけていきます。定員は24名と少数精鋭ですから、きめ細かい指導を受けられるほか、仲間との確かな人脈を形成することもできます。
 本記事では、そのカリキュラムの中から、診断実習の1日をご紹介いたします。どのような実習が行われているか、ぜひご参照ください。


計5回の経営診断実習で実践力を養う

 日本マンパワーの中小企業診断士登録養成課程では、合計5回の経営診断実習を行います。実習では、受講生24人を3グループ(各8人)に分け、グループごとに別々の企業を診断します。8人が協力しながら、約3週間で実習準備からトップインタビュー、現場調査、分析、報告書作成、最終プレゼンテーションまでを行うのです。
 第1回経営診断実習は製造業を対象として、IE(Industrial Engineering)の観点で生産現場の生のデータを測定・分析し、生産性の高いマネジメントを提案します。第2回は流通業を対象に、顧客アンケート調査や店舗内動線調査、店舗レイアウト調査、在庫管理状況などを踏まえたうえで、個店の経営改善に向けた提案を行います。また、第3回から第5回は、経営戦略策定を含めて経営者の立場に立って総合的なコンサルティングを行います。


仮説を掘り下げて検証するためのアンケート設問

 今日は、第2回経営診断実習の2回目の現場訪問日です。
 本グループが診断するのは、都市部の商店街に立地するA文具店。すでに初回の現場訪問でトップインタビューを行い、経営者の目指している方向性を確認しました。経営者の主な要望は「女子大生を顧客拡大のメインターゲットとしたい」「客単価を向上させたい」ということです。「その要望が果たしてニーズ実態に適しているのかどうか」あるいは「要望を解決するにはどうすればいいか」などの課題解決に向けて、今日は朝から夕方まで顧客から生の声をヒアリングします。

●講師:佐藤正樹先生(有限会社トップマーク代表取締役)
 「コンサルティングを進めるにあたっては、常に仮説を立てて検証していくことが必要です。仮説を立てるための知識は、座学で十分に身につきます。ただ、それを個店の事情に合わせて適合させ、経営者の想いに沿った提案をすることは難しいのです。そうした実務スキルを養う場が診断実習だと言えるでしょう。
 今回の実習に際しては、トップインタビュー前からいくつもの仮説を準備しておきました。受講生は、その仮説の中でどれを掘り下げるかについて議論したうえで、トップインタビューに臨んでいます。ただ、仮説が必ずしも正しいとは限りません。インタビュー中やインタビュー後には必ず仮説を検証し、必要に応じて修正をかけています。
 今日の顧客アンケートの設問は受講生が考えたものですが、それも仮説を掘り下げて検証する内容となっています」

 アンケート用紙は1枚。「お勤め先・お住まいの地域」「来店の目的」「文具へのこだわり」など、一般的な設問内容に思われますが、実は「聞きたいことはたくさんあるのですが、設問が多いとお客様に負担をかけてしまう」という理由で、「仮説の中で重要ポイントだけに絞り込んだ」とのことです。


仲間と協力することで人間関係が築かれる

 受講生の集合時間は朝10時。アンケート調査を始める前に、商店街振興組合の事務所に集まって簡単な打ち合わせをしました。

 「午前中はまず12時を目途に行いましょう」
 「アンケート対象は絞らずに無作為にすべきだろうか?」
 「店舗内での実施は迷惑をかけるので、路上で聞きましょう」

 誰かが発言をすると、即座に別の人が反応します。すでに仲間として人間関係が築かれていることが、傍目に見ても手に取るようにわかります。
 また、アンケート調査に関することに限らず、話題は自然にコンサルティング全般にまで及びます。みなさん、最終日の提案に向けて頭をめぐらしているようです。診断士2

 「社長は女子大生がメインターゲットとおっしゃっていたけれども、街には会社員が多く、そちらのニーズの方が高いのでは?」
 「POSシステムはどこのメーカーのものを導入しているのだろう?」
 「店内のレイアウトについてももう一度確認しておきたいね」

 準備が済むと、各々、自分たちで分担した場所でアンケート調査を開始しました。人通りが多い商店街でもあり、順調にヒアリング。「全員で100件以上」という目標も、予想時刻よりも早く達成できました。


中小企業の実態を知ることは診断士の必須条件

 アンケート結果はそれぞれが持ち帰り、準備済みのフォーマットで集計作業を行います。その後、2回ほど日本マンパワーの教室に集まって、集計結果の分析や仮説検証など、A文具店経営者にプレゼンテーションするためのディスカッションを行う予定です。プレゼンテーションまで1週間強しかありませんので、実習時期はみなさん多忙なようです。
 しかし、このように経営者や顧客の生の声を自らヒアリングして分析・議論することが、「診断士としての実務スキルを大きく高めることにつながる」とのことです。

●講師:佐藤正樹先生
 「実習は、理論をどのように使えばいいかを学ぶことが第一の目的です。ただ、実習の意義はそれだけではありません。『中小企業の実態を知る』ということも大きな目的のひとつです。なぜなら、大企業に適した対策と中小企業に適した対策とは、必ずしも一致しないからです。
 大企業ではどこかの部署に依頼すれば済む案件であっても、中小企業の場合は全員が多忙で、人手が足りないケースがほとんどです。たとえ理論的には素晴らしい提案であっても、それを実行できる人がいなければ机上の空論になってしまうのです。ですから、中小企業の実態に合わせて『有用性のある、実行可能な具体的対策』を提案することが非常に大事なのです
 一方で、受講生の中には大企業に勤めている人がいます。そうした受講生は大企業視点で物事を考える習慣がついていますので、それを柔軟にほぐす必要があります。そのきっかけとして、中小企業の実態を知ることは診断士として必須条件なのです」診断士3

 日本マンパワーの中小企業診断士登録養成講座は、理論と実務スキルを融合させることで、“経営者の視点に立つセンスで、修了後すぐに活躍できる診断士”の育成を目指しています。また、「1年後にほぼ確実に診断士として登録されるので、その後の人生設計が立てやすい」「社外に生涯付き合うことができる仲間ができ、新しい人脈を形成することができる」という大きなメリットもあります。
 関心のある方は、ぜひ無料説明会に参加されることをお勧めいたします。

 

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