ビジネスや試験で失敗しない“実用文
[2010/03/30]
・「君の書いた企画書は恥ずかしくて提出できない」と叱られた。
・自分の送ったメール内容を外注先が勘違いして、トラブルに発展した。
・依頼事項を書類にまとめて顧客に送ったが、「読んでも意味がわからないんだけど、結局どういうこと?」と電話がかかってきた。
このような経験、思い当たりませんか?
ビジネスに限らず日常生活でも、文章を書かなければいけない機会は必ず生じます。論文が必須科目になっている資格試験もあります。そんな時、文章力に長けていればアドバンテージを得られますし、文章力が拙ければ自分や周囲にダメージをもたらすことがあります。
そこで、文章力上達のヒントをご紹介いたします。これらは、日本マンパワーの通信講座『これなら書ける!文章作成マスターコース』のエッセンスでもあります。ぜひご参照ください。
文章表現のポイント12
文章表現を高めるためのコツはいくつかあります。その中でも、マスターするのが意外に難しい「特に留意すべき基本ポイント」をご紹介します。
1)主語にかかる修飾語をすっきりと
長い修飾語が主語にかかっていると、読む人にとっては「どれが主語なのか」はっきりしません。主語にかかる修飾語は削るか、なるべく短くしましょう。
2)主語と述語を近づける
主語と述語が離れすぎていると、複雑な文章になってしまい、意味を理解しにくくなります。主語と述語はなるべく近づけましょう。
3)主語と述語がねじれないように
主語と述語が対応していないことを「ねじれ」と言います。たとえば「この不祥事はスキャンダルに発展し、首脳陣の引責辞任につながると報じている」という文。この文の主語は「不祥事は」で、述語は「報じている」ですが、不祥事が何かを報じているわけでありません。このような「ねじれ」がないよう注意してください。
4)文体を統一する
文末表現には、「だ」調、「である」調、「です」調、「ます」調、「であります」調の5つがあり、一般的によく用いられるのは「である」調か「です・ます」調です。これらを混在させてしまうと稚拙な表現に見られますので、いずれかに統一しましょう。
5)「てにをは」を重複させない
ひとつの文の中で「てにをは」などの助詞を重複させると、くどくなったり誤解を生じさせたりします。特に「が」を重複させるのは禁物です。たとえば次のような文だと、意味不明になってしまいます。
“勤続疲労”という造語があるが、勤続15年以上のビジネスマンは、肉体面で疲れているが、精神面も疲れているが、リフレッシュ休暇の制度はない。
6)「こそあど」は具体的に
これ、それ、あれ、どれなどの「こそあど」(指示語)が多いと、読みにくい文になります。特に、指示語と指示される語句が離れていると、読む人が誤解する可能性が生じます。ですから、なるべく「こそあど」を避け、具体的な言葉に置き換えましょう。
7)修飾語のかかりをはっきりさせる
たとえば「やさしい文章の作成法」という表現の場合、「やさしい」のは「文章」だとも読みとれますし、「作成法」とも読みとれます。こうした表現は誤解の元ですので、「やさしい文章を作成する方法」「“やさしい文章”の作成法」「文章のやさしい作成法」など、かかりが明確な表現に変更しましょう。
8)長すぎる修飾語句を避ける
たとえば次の例文のように修飾語句が長いと、読みにくい上、意味が捉えにくくなってしまいます。
機械の振動や画像で戦闘機やレーシングカーなどの操縦を疑似体験させる体感ゲーム機は、いまやゲームセンターの新しい主役となった。
上の例文の場合、下線部すべてが「体感ゲーム機」にかかります。こうした場合は文章を2つに分けて、修飾語句の短い文章に直しましょう。
9)接続詞で文のつながりを明確に
接続詞は、文と文、文節と文節、単語と単語をつなぐ重要な働きをします。接続詞がないことによって理解しにくくなることもあれば、逆に接続詞があることで理解しにくくなることもあります。大切なことは、「接続詞をなんとなく使うのではなく、必要な接続詞を的確に使うこと」です。
10)あいまいな表現を避ける
あいまいな表現は読む人によって解釈が異なるため、ビジネスでトラブルを生む可能性があります。たとえば「早急にください」「〜の方がいいかもしれません」「大勢の人」なども、あいまいな表現です。あいまいさを極力なくし、「明日の朝9時までにください」「〜の方がいいと思います」「約100人の人」などと、できるだけ具体的な表現を用いましょう。
11)専門用語や略語は不親切
自社でよく使う用語であっても、他社や一般の人にとっては初耳であることは少なくありません。場合によっては、反感を抱かれる可能性もあります。特にホームページやパンフレットなど、不特定多数の人が目にする文章では十分に気をつけましょう。
12)1文は短く
1文が長いと、読む人に疲労を与えてしまいます。しかも、そうした文は冗長になり、文意のポイントがつかみづらくなります。ですから、1文はなるべく簡潔に短くまとめることが大切です。目安としては、1文=約40字が好ましいと言われています。
確かな文章力を身につけるために
以上、12項目のポイントはすべて、日本マンパワーの通信講座『これなら書ける!文章作成マスターコース』で詳しく解説しています。
ただ残念ながら、これらのポイントを知ったからといって文章が上達するわけではありません。実際に自分で考え、書いて、身につけることが必要です。
また、文章とは単語の集まりですから、「単語の使い方」もセンスアップする必要があります。さらに言えば、「プロット(粗筋)の立て方」「書く前のメモのとり方」「主眼の置き方」「文章展開の方法」「書き出しの工夫」「数字・データの用い方」「視覚的表現」「箇条書きでの整理」「小見出しやタイトルのつけ方」などもマスターすることをお勧めします。
文章力を身につけることができれば、少なからぬメリットを得られるはずです。本講座では、単語のセンスアップから文法、表現、プロットの組み立て方や仕上げのノウハウまで、豊富な例題・文例とともに解説しています。問題集や添削問題もカリキュラムに入っていますので、書き慣れる一助にもなると思います。ぜひご活用ください。