第2次試験合格に向けての学習方法とは
[2012/04/27]
中小企業診断士を目指す人にとって、いよいよ1次試験対策のラストスパート期を迎えます。同時に、2次試験対策の準備を意識すべき時期にさしかかりました。特に、1次試験対策をひと通り終わっている再学者の方には、早めの対策が望まれます。
しかし、2次試験対策は一筋縄ではいきません。1次試験と違って、「こういう問題に対してはこう書けば正解」と言い切れる性質の試験ではないからです。
また、合否の基準が相対評価であることも、1次試験と決定的に異なる点です。科目制度が導入された2006年以降、2次試験の合格率は毎年20%前後(2009年を除く)。つまり、第1次試験を突破した精鋭の中で、さらに上位20%以内に入らなければ合格できないのです。
そんな2次試験に合格するには、どのような学習をすればいいのでしょうか? 多数の合格者を輩出してきた日本マンパワーならではのオススメ学習法を、事務局運営スタッフにうかがいました。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
キャリア開発部 診断士事業課
高橋 哲史 さん
暗記やテクニックに頼る学習は禁物
中小企業診断士の2次試験の合格率は、2011年度が19.7%、2010年度が19.5%。2009年度は1次試験の合格者が多かったせいか17.8%と低い数値でしたが、それを例外とすれば、2006年度以降は19.5%〜20.2%の間で推移しています。この事実から読み取れるのは、「問題の難易度にかかわらず、2次試験に合格するためには上位20%に入らなければ難しい」ということです。ですから、確実に合格することを目指すなら、上位15%に入れるようなトレーニングを積む必要があります。
ただ、書籍などで合格者の再現答案をご覧になった方はご存知だと思いますが、同じ問題であっても、合格者の解答は人によって異なります。たとえば「この企業は海外進出すべきかどうか」という類の設問に対し、「進出すべきである」という解答の方も「進出すべきではない」という解答の方も、ともに合格されているケースがあります。つまり、「予備校などの模範解答に近いものだけが正解」というわけではないのです。さまざまなアプローチの解答が考えられる中で、理解力・分析力・問題解決能力・提案力・助言力などが判断されています。ですから、「暗記やテクニックに頼った学習だけでは、合格は困難」と言わざるを得ません。
診断士の2次試験では、考えて提案する紙上コンサルティング能力が問われます。そうした実力を身につけることが2次試験合格に向けた最適な学習法である、と私たちは考えています。
事例文を経営コンサルタントの視点で読む
学習にあたっては、大きく分けて3つの力を身につける必要があります。3つの力とは、「読解力」「思考力」「記述力」です。これらをバランスよく鍛えていくことが大切です。
読解力とは、事例の与件文から、経営コンサルタントの視点で核心を読み取る力のことを指します。素人の感覚で読んではいけません。1次試験の知識を活かしつつ、「経営コンサルタントであれば、この現象から何を読み取り何を類推するのか?」と考えながら読み解きましょう。
また、「出題者が何を読み取らせようとしているのか」という出題意図を読むこともポイントとなります。
こうした力を得るためには、過去問の事例をしっかりと読み込む学習が望まれます。本試験の与件文は非常によく練られた事例で、教材として最適だからです。「この企業はどのような企業か」「問題の原因は何か」「どうすれば課題を克服できるか」「関連するキーワードは何か」「どのようなアドバイスが適切か」などを考えながら、繰り返し読むことが大切です。
そして、ある程度慣れてきたら、短時間で効率的に読めるようにトレーニングをします。少なくとも一事例につき30分以内、できれば20分以内で読み込むことを目標にするといいでしょう。
日本マンパワーの2次受験講座には、診断事例の読み込み方に特化したテキストがありますので、それを活用するのも非常に効果的です。
真意を見抜き、レイヤーを整理する
次の思考力とは、読み取った情報から根本的な原因、いわゆる真因を見抜いて解答につなげる力を指します。そのためには、レイヤー(レベル)を意識することがポイントとなります。
たとえば、「従業員の接客態度が悪い」という事例があったとします。その改善策として「従業員教育を行えばいい」というだけでは、経営コンサルタントでなくても思いつきますし、試験対策上は不足する場合があります。設問によって左右される部分はありますが、この事象の真因が人事考課システムにあるかもしれませんし、あるいは組織設計にあるのかもしれません。そして、試験においては、真因を見抜いた上で、それに対応した改善策を提案する必要があるのです。
真因を見抜くためにレイヤーを掘り下げていくことが欠かせません。
同時に、自分の考えた原因や対策のプロセスについて、レイヤーを切り分けてしっかりと整理しておく必要もあります。根本的な改善策を問われているのに細かいオペレーションについて解答してしまっては高得点は期待できませんし、その逆もしかりです。でも、レイヤーを整理しておけば、その設問が何について問われているのかが理解しやすくなります。それによって、一事例に数問ある設問への解答を、論理的に構造化することもできます。少しテクニック的になりますが、少ない文字量での解答を求められた場合には、レイヤーをひとつ上げるだけで解決する場合もあります。
ですから、問題演習を行う際には、「事例企業が抱える問題の真因を見抜くよう考えること」「レイヤーを意識・整理する習慣を身につけること」の2点を常に心がけてください。そして、ご自身の考えた真因・レイヤーと、講師や模範解答が提示する真因・レイヤーとを比較しながら、実力を高めていきましょう。
合格者の文章は誰にもわかりやすい
最後の記述力とは、言うまでもなく答案を記述する力のことです。どんなにすばらしい考えが頭の中に構築されていても、それを文章で的確にアウトプットできなければ、宝の持ち腐れです。
過去に2次試験を合格した受講生の復元答案を読むと、いずれも非常にすっきりとしていて、わかりやすく論理的にまとめられている印象があります。一方、残念ながら不合格となった人の復元答案は、倒置法が多用されていたり、逆説的な表現になっていたり、同じ内容を繰り返したりしていて、少々読みにくい文章となっていることが多いです。
記述力を高めるための学習法はいくつかありますが、まずは過去問を解いて最後まで解答を書き切ってください。最初は時間がかかっても構いません。自分なりに満足できる解答を仕上げましょう。
その上で、自分の解答をほかの人に読んでもらい、その内容が理解できるかどうか聞いてみてください。診断士の知識に詳しい人でなくても結構です。家族の方でもいいでしょう。「文章表現としてわかりやすいかどうか」が問題なのです。かなり効果があるはずです。
ほかの人に読まれるのが恥ずかしい人は、自分で音読してみる方法もあります。もしつっかえる箇所があったら、その部分に改善の余地があるものと思われます。
また、日頃から手書きをする機会を設けることも大切です。「パソコンなら慣れているけれど、手書きは慣れていないので時間がかかるし、直しも多い」という人には、特に効果的です。
答案の内容が合格レベルに達しているかどうかを判断するためには、予備校などの添削サービスを受けるのが最良です。できればより多くの回数を受けることが望ましいと思います。それが難しい場合でも、最低1〜2回は受けることをお薦めします。
さらに、通学講座などでほかの受講生の解答を見ることも効果的です。自分と異なる解答アプローチを知ることで、真因を見抜く練習にもなるからです。通学講座を受けられない場合は、問題集の模範解答を参考にするといいかと思います。
簡単に正解を導ける“魔法の杖”は存在しない
さて、ここまで2次試験の学習法についてお話ししてきましたが、気をつけたいこととして2つアドバイスさせていただきます。
まず1点目が、「安易に正解を導くテクニックを探すのはやめましょう」ということです。診断士の2次試験は、1次試験に合格した精鋭だけが受ける試験であり、紙上コンサルティングが求められています。そうした高度な試験ですから、小手先のテクニックだけで合格できるほど甘くありません。「魔法の杖は存在しない」と思ってください。
2点目は、「自分に合った予備校を選びましょう」ということです。私たち日本マンパワーを含め、診断士の予備校にはそれぞれ特徴があります。解答を導くプロセスも違います。講師と自分との相性も無視できません。ですから、自分に合わない予備校だと、講師の解答プロセスに逐一納得できない状態が続くケースがあるのです。それでは時間の無駄遣いになってしまいます。それを避けるためには、各校の模範解答集を読んで、書かれている内容が納得できるかどうかを判断してみるといいかと思います。
なお、日本マンパワーではいくつかの2次試験対策講座を用意しています。
じっくりと時間をかけて準備をしたい方には、通学講座『2次完全マスター5月コース』がお薦めです。5月から、事例ごとに過去10年分の過去問題をベースに、出題テーマ分析や解答メソッドを徹底的に解説し、それらを実際に活用するための演習問題に取り組みます。ここで取り組んだ問題については、授業に帯同する専任の添削講師が丁寧にアドバイスを入れて添削して返却しますので、お一人おひとりにあった指導が受けられるようになっています。より試験が近づいてくる7月以降は、実践的な答案練習と全国模擬試験を行い、最後までフォローアップするカリキュラムとなっています。
通学できない事情がある場合には、通信講座『中小企業診断士2次受験講座』がいいでしょう。4回分の添削サービスや、「診断事例の読み込み方」テキスト、過去問の「2次模範解答解説集」もついています。ご自身のペースで学習ができるのが特徴です。
初学者の方には、1次試験が終わってからスタートする『2次集中コース』をお薦めします。短期集中でストレート合格を目指します。
その他、受講したいカリキュラムを選べる『STEP単科受講』、添削中心に実践力を養う『2次実践コース』、自宅で講義を視聴できる『2次映像スクール』なども用意しています。
受講にあたっては、ぜひ、ご自身に合ったものをお選びいただければと思います。ご質問やご相談がございましたら、中小企業診断士講座事務局までご連絡ください。