担当者が語る「第1回試験」にむけての学習法
[2016/05/30]
第1回国家資格キャリアコンサルタント試験の受験申請受付が6月中旬から始まります。記念すべき初試験日は8月21日(日)、学科(筆記)試験と実技(論述試験)が実施されます。
でも、合格を目指す人にとっては、一抹の不安を拭いきれないのではないでしょうか? 初めて行われる試験なので、出題傾向がわからないからです。しかも、CDA資格試験から引き続いて再受験する人にとっては、養成講座の「テキスト」が試験をどの程度カバーしているのかわからない状態となりました。
「いったい、何をどうやって勉強すればいいの?」
そんな声が聞こえてきそうです。
そこで、日本マンパワーの「キャリアコンサルタント養成講座」の講座開発担当者である田中稔哉さんに、学科試験を中心に、出題内容に対する見解や学習対策に向けてのアドバイスをおうかがいしました。実技試験についてもコメントをいただいています。
「あくまで個人的な見解」という条件付きではありますが、受験予定のみなさんにとって非常に役立つ情報だと思います。ぜひご一読ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
株式会社日本マンパワー
取締役
CDA、1級キャリア・コンサルティング技能士、精神保健福祉士
田中 稔哉 さん
学科試験に向けての2つの不安
国家資格キャリアコンサルタントの第1回試験を受験する人の多くは、独学で試験に臨む方が多いと思います。というのも、養成講座などの講習課程修了時期と受験申請受付時期との関係上、初受験で臨める人が少ないだろうからです。また、第1回目の試験ですから過去問題がなく、出題傾向がわかりません。そこで、受験するみなさんに少しでも学習の方向性を示せればと思い、私が今、試験に関連して考えていることをお話しします。ただし、これからお話しすることはあくまでも私個人の見解ですので、くれぐれもご留意ください。
さて、現時点(2016年5月20日)において学科試験についてわかっていることは、2つの登録試験機関(日本キャリア開発協会とキャリア・コンサルティング協議会)が共同で同一日に同一問題で試験を実施すること、四肢選択のマークシート方式による解答であること、出題数50問、試験時間100分であること、100点満点で70点以上の得点が合格基準であること、などです。また、平成27年度「キャリア・コンサルティング研究会」報告書には、「キャリアコンサルタント国家資格試験の水準及び範囲」も示されています。
ただ、みなさんにとっての不安や悩みの種は、おそらく別のところにあるのではないでしょうか? そのひとつが、先ほどお話した「出題傾向がわからない」ことで、もうひとつが、「公式テキストといったものが存在せず、どの教材で勉強すればいいかわからない」ことに起因するように思います。
出題される内容とは?
学科試験の出題内容については、正直に言って、私にもわかりません。ただ、これまで標準レベルのキャリア・コンサルタントとして複数存在した資格が、ひとつの国家資格に統一された経緯を考えれば、「以前の複数の資格試験内容の最大公約数」がベーシックな内容になると思われます。次のように考えてみるとわかりやすいかもしれません。
・以前は10の資格試験があり、それぞれに異なるテキストがあった。
・10の資格試験用テキストのうち、少数のテキストでしか触れていなかった内容は、新たな国家資格の試験で出題されにくいのではないか。
・10の資格試験用テキストのうち、多くのテキストで触れられていた内容は、新たな国家資格の試験で出題されやすいのではないか。
多くのテキストで取り上げられていたということは、それだけ重要であるということになります。つまり、国家資格になる前の各資格試験用テキストを分析すれば、ある程度の出題内容推測は成り立つのです。
また、学科についてはキャリア・コンサルティング技能検定の過去問題も、出題内容を推測するひとつの手掛かりになるかもしれません。
教材は国家資格試験用に作成されたものを
教材については、国家資格に対応した教材で学習することをお勧めいたします。なぜなら、統一前の古い教材には、「その団体の教材でしか取り上げていない内容」が書かれていたり、「ほかの多くの団体の教材に記載されている内容」が書かれていなかったりするからです。
では、現実問題として、みなさんはどうすればいいかが問題になります。ご自身で多くのテキストを集め、キャリア・コンサルティング技能検定の過去問題を分析するのは、非常に困難が伴うと思います。
日本マンパワー「キャリコンサルタント養成講座」のテキストおよび資料集は、国家資格に対応すべく新しく作成した教材です。新制度試験の出題範囲を概ねカバーすることを目指しました。
ベーシックな内容についてはテキストに、時事・法律に関する内容については資料集に掲載されています。
丸暗記だけでは正答が難しい
もしかすると、みなさんの中には「四肢選択のマークシート方式50問であれば、重点ポイントだけを1〜2冊に圧縮掲載したテキストの方が効率的では?」と思う人がいるかもしれません。でも、私はそれに賛同できません。四肢選択であっても、丸暗記だけでは正答が難しいだろうと思うからです。
日本マンパワーのテキストには、理論家の考え方やその背景、理論を活用する事例(ケース)、現場の声なども盛り込みました。それにより、記載内容を具体的にイメージしやすくなり、理解を促進できるからです。あわせて、記憶に残りやすい、資格取得後も活用できる、読み物としても面白い、などのメリットもあります。また、キャリアカウンセラー(CDA)養成講座開講から十数年の間に受講生からいただいた声を反映し、わかりやすく読みやすい文章に改善しました。
過去にCDA(キャリアカウンセラー)の養成講座を受講・修了した人にはテキストのみの販売も行っていますので、ぜひご利用ください(下記参照)。
それでも不安が拭い切れない人は、「実力判定テスト」や「知識・理論 修得セミナー」を活用されてはいかがでしょうか(下記参照)。
実技(面接試験)に向けて望まれる姿勢
実技(面接試験)のロールプレイに関しては、従来のCDA資格試験での10分間から、15分間に時間延長されました。この延びた5分間に対して「辛い」と思う受験者が多いのではないかと思います。
でも私は、むしろチャンスが増えたのではないかと思います。クライエントに自分らしさを気づいてもらおうと、「何があって、それについてどう思い、どう感じたか」を問いかける時間の余裕が、5分間増えたわけですから。
ただ一方で、5分間延びたことによって、「キャリアコンサルタントとしてのあり方」がこれまで以上に問われることになるでしょう。試験官の立場に立てば、受験者の姿勢を見透かしやすくなるからです。ですから、技術的手法や発言パターンを表面的に真似するのではなく、「キャリアコンサルタントに望まれるあり方や姿勢は何か」を改めて確認した上で、ロールプレイの練習をすることが大切だと思います。
みなさんにとって喜ばしい結果となることをお祈りしております。