ちょっと一息

「カラー検定」の資格活用

「色を使える人は、仕事のできる人」の時代

[2009/10/29]

 洋服、靴、バッグ、化粧品、携帯電話、パソコン、クッション、カーテン・・・。商品を購入する時、みなさんは何を基準として選びますか? 機能や形状、材質、ブランドなどさまざまな観点から検討すると思いますが、「色」も重要なファクターではないでしょうか。

 今、「色」は売上動向に直結する要因のひとつとして重視されています。アパレル業界、コスメ業界、インテリア業界だけではありません。食品、建築、出版、映像、広告、医療・福祉、都市計画など、「色」に関わりのない業界はないと言えるでしょう。 ですから、「色を使える人」は「売上を上げられる人」として採用現場でも注目され始めています。
 そこで、「色」の専門機関・フィットモア色彩研究所の古賀けい子さんに、色の知識を身につける方法や生かし方についてお話をうかがいました。

●お話を聞いたのは・・・
 古賀 けい子 さん
 株式会社フィットモア色彩研究所 代表取締役社長
 日本マンパワー「カラー検定受験講座」講師
 「ヒューマンカラー理論」を確立し、カラースクールを開校。色彩調和をベースにして、商品企画や環境建築色彩計画などの企業コンサルティング、社員研修やセミナーの講師、執筆活動など、幅広く活躍している。日本マンパワー「カラー検定受験講座」の教材執筆や添削指導なども行っている。著書多数。

商品の色が売上を左右する

 色がビジネスに与える影響は非常に大きいと言えます。
 たとえば商品開発の段階においては、どのような業界に関わるメーカーであっても、色が売上を左右する要因のひとつとなります。アパレルやコスメ、インテリア、電化製品、自動車などの業界では以前から色を重視してきましたが、最近はその他の業界でも色による戦略が導入されています。

 たとえば和菓子。フィットモア色彩研究所では企業向けにカラーコンサルティングを行っていて、和菓子のコンサルティングも行った経験があります。その際は、パッケージの配色、パッケージ内での色の並べ方、ショーケース内での並べ方など、おいしく美しく見えるよう提案しました。

 また、門扉やフェンス、シャッターなどのエクステリア。部材が金属ですから、以前は色に対して関心の低かった業界ですが、現在は色にこだわって商品開発がなされる業界へと変わりつつあります

 都市計画で景観が重視されれば建築材料や土木にも関係してきますし、癒しやリラックスが求められる医療・福祉分野でも、色を軽視した設備・機器は次第に淘汰されていくかもしれません。

ディスプレイや販売での色活用

 商品開発に限らず、ディスプレイや店舗内装、販売などにおいても、色の活用は売上を変えます。 たとえば百貨店や専門店のディスプレイでは、お客様の動線を考慮した上で、ディレクションに基づいてどのような色の商品をディスプレイするかがポイントとなります。ディスプレイする商品の配色やトータルイメージによって、お客様へのメッセージ性が異なり、結果として売上に影響してくるからです。

 あるいは販売現場では、お客様の個性と色とのマッチングが求められます。個人に似合う色というのは、すべての人間に似合う色のクールソフトの中で、骨格や声などの個体差によってベストカラーが決まります。ただ、必ずしもお客様が自分のベストカラーを似合う色だと自覚しているとは限りません。

 また、たとえばアパレルでは、アウターとインナーとの合わせ方、トップとボトムとの合わせ方などによって印象も変わってきます。そうした条件を考えてお客様らしいコーディネートを提案することができれば、リピーターが増えたり、1人当たりの販売額が上がったりするのです。

 つまり、「色の知識を使える人は、仕事のできる人」になれると言えます。

企業で求められる「色を使える人材」

 こうした背景から今、先見性のある企業で色に関する人材教育が進められています。たとえばある大手通信販売会社では、全社員にカラー検定試験2級の取得が義務づけられています。また、私自身、百貨店や建築会社、生損保会社、精密機械メーカーなどで社員研修の講師をお手伝いさせていただきました。

 一方、色のスペシャリストを積極的に採用する企業も見受けられます。その点では、これから就職や転職、再就職を考えている人にとって、カラー検定試験にチャレンジする価値はあると思います。色を重視している企業において、履歴書にカラー検定取得の記載があれば、採用担当者の関心を引き、「幅広い知識がある」との安心・信頼を受けやすくなるでしょう。

 たとえ現時点で色にこだわった会社でなくても、将来的には色を無視できなくなるはずです。ですから、「私はこの商品をもっと美しくできる」というアピールができれば、内定へのチャンスが広がるのではないでしょうか。

2大検定試験の特徴と違い

 なお、主なカラー検定には、東京商工会議所主催の「カラーコーディネーター検定試験」全国服飾教育者連合会(A・F・T)主催の「文部科学省後援 色彩検定」の2種類があります。どちらも基礎的な知識を問われる3級から、応用力とレベルの高さを問われる1級まであり、試験内容に大きな隔たりはありません。

 あえて言うならば、東商主催のカラーコーディネーター検定試験は建築や製造など視野が広い反面、少し硬めの傾向です。一方のA・F・T主催の色彩検定は、アパレル関係に強いという傾向があります。

 試験の難易度的には、同じ2級でも色彩検定の方が取得しやすいと言われています。ただ、試験の出題範囲が重複している部分が多いため、同時期に両方の検定試験を受験する人も少なくありません。

もっと色を楽しむために

 もちろん、プライベートでも色の知識はさまざまなシーンで役立ちます。ファッションコーディネートやメイクに生かしたり、フラワーアレンジメントやインテリアコーディネートにも生かしたりできます。カラーセラピーやネイルアート、フードコーディネートにも応用できるでしょう。

 とにかく、色を知ったり考えたりすることは楽しいもの。少しでも興味があれば、まず勉強してみてはいかがでしょうか。勉強を始めると、次第に知識が身についてきますから、これまで憧れだったものが目標に変わるかもしれません。漠然とした生活の中で、自分のやりたいことが見つかるかもしれません。検定試験に合格すれば、プロフェッショナルをめざすことも現実化してくる可能性が高まります

 人生は一度きりですから、ぜひチャレンジしてみてください。そうして、自分の興味あるもの、やりたいことに近づくことができれば、とても素敵なことだと思います。

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