たとえ実績がなくても、自ら動くことで突破口が開ける
[2019/01/31]
信用金庫に就職するも、自分の性格に合わないことがわかり、約3年間で退職。その後、派遣社員として数社に勤務。その間に結婚・出産をして、気がつくと40歳間近に・・。
「私、今のままでいいのかなあ」
そう考えた田中美樹子さんは、資格を取ることを考えます。そして、多くの職歴があることが役に立ち、なおかつ、60歳を超えても活用できるという理由などから、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格にチャレンジすることを決めました。
ここまでは、前回の同コーナーでご紹介しました。本記事はその続編です。
「65歳までには何かに活かせるだろう」という長期スパンで考えていた田中美樹子さんでしたが、資格を取った途端、「すぐに活かしたい」と一変してしまいます。
果たしてどのようなドラマが生じたのでしょうか? ぜひご覧ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
国家資格キャリアコンサルタント
国家資格2級キャリアコンサルティング技能士
産業カウンセラー
田中 美樹子 さん
仲間と出会えた喜びを感じつつ合格
『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)の学習はとても楽しいものでした。キャリアカウンセリングの基本的な理論を幅広く学ぶことができ、それをどんどん吸収できていく自分にも充実感を覚えました。
また、スクーリングでのクラスメイトとの交流は、私にとって望外の喜びでした。さまざまな業界で働き、さまざまなキャリアを持っている人たちとの新しい出会い。誰のお話を聴いても、大きな刺激になりました。
しかも、他者のキャリア支援をしようと集まった人ばかりですから、私のキャリアのことも熱心に聴いてくれます。自分ではたいしたキャリアではないと思っていましたが、みんなが「いいね」「いいね」と肯定してくれる。そうした中に身を置き、耳を傾け合い、考えることで、改めて自分を見つめ直すことができ自己理解が深まったように思います。
人的ネットワークはクラス内だけに留まりません。養成講座には振替受講制度があり、出席できない日に別のクラスで受講することができるので、自然とクラスの枠を越えてつながっていくのです。しかも私は1回、実技試験が不合格となってしまいました。それによって、さまざまなクラスの人が集まる合同自主勉強会に参加する機会が増え、一気に多くの仲間と知り合うことができました。不合格になったことがむしろ幸いしました。
そのように、学習することの楽しさと、仲間と出会えた喜びを感じながら、無事、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格を取得することができました。
資格を取ったら「今すぐ活かしたい」
ただ、その時は専業主婦をしていましたので、資格を取得したからといってもすぐに資格を活かせるわけではありません。そもそも、「65歳くらいまでに何かに活かせるだろう。それまでに元を取れればいい」と思って目指した資格ですので、特段の活用方法を想定していたわけではありません。
ところが、実際に資格を取ったら欲が出てきました。
「せっかく資格を取ったのだから、今すぐ活かしたい。でも、どうすればいいのだろう?」と気持ちがはやってしまいます。とはいえ、子どもが幼稚園に通っているので、フルタイムでは働けません。かといって、何もせずにじっとしていられる性格でもありません。
そのため、まずは日本キャリア開発協会が主催する研修に参加しました。また、「学生支援のボランティアを募集している」などという情報を聞けば、とりあえず参加してみました。学生支援の経験があったわけではありませんが、自ら動くことで突破口が開けるのではないかと考えたのです。日本マンパワーで働いていた伝手で、各種講座のお手伝いなども積極的にするようにしていました。
仲間とのつながりが仕事に結びつく
そのように積極的に動いていたら、比較的早い段階で反応がありました。
ある日、以前にお仕事をご一緒したことのある人から、「もし興味があるなら」と、地方自治体の男女共同参画センターで女性を対象とするキャリアカウンセリングを紹介されたのです。もちろん、喜んでお受けしました。ただそのためには、そこでのカウンセリングスタイルを知る必要がありました。そこで、まずは1ヵ月に1〜2回の頻度で無償参加。経験を積んだ上で、翌年度から仕事として対価をいただけるようになりました。
また、受験前に自主勉強会で知り合った人からも声を掛けられました。
「今、大学で就職アドバイザーを探しているの。金融業界で働いていた人がいいのだけど、田中さんは確か金融業界に勤めた経験があるよね」
週に1日、大学の就職担当部署で就職アドバイザーとして面談や講師をするお仕事のお誘いです。週1日であれば、子どもの幼稚園のお迎えを母親に頼むなどして調整できそうです。講師経験はなかったので不安はありましたが、もしここでやらなければ次のチャンスはないかもしれません。そう考えて、チャレンジすることにしました。
さらに、今度は別の人から、仕事の紹介がありました。「知り合いの人が、女子大の1年生を対象に大学生活全般の相談対応をしてくれる人を探している」とのことです。こちらも週1日でしたので、引き受けることにしました。
仲間とのつながりに感謝するとともに、自ら動くことの大切さを痛感しました。
実績を積むことを優先してきた結果
こうして周囲のみなさんに助けられつつ実績を積んできた結果、現在はフリーランスとして活動できています。
具体的には、地方自治体の男女共同参画センターでの女性対象キャリアカウンセリングと、大学3校での就職アドバイザーおよび学生生活相談対応が中心です。また、職業訓練校で50歳代後半以上の方を対象とした履歴書や職務経歴書の書き方の講師、在宅で新卒学生を対象にエントリーシートの添削講師もしています。
いくつかの仕事を掛け持ちするようになったのは、子どもの成長とともに少しずつ仕事を増やしてきた結果です。一つの拠点に腰を据えて働くスタイルもいいと思いますが、現在の私には今の働き方が合っています。
また、資格を取った当初は、対人支援のキャリアが何もない状態でしたから、仕事を選ぶ立場にありませんでした。ですから、実績を積むことを優先し、「何でもいいからやらせてください」という姿勢で歩んできたように思います。
おかげさまで一度いただいた仕事は、今でも続いています。
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★フリーランスとして仕事を受注するためには、やはりある程度の実績がある方が有利かと思われます。しかし、実績がなくても突破口があることを、田中美樹子さんは教えてくれました。来月の当コーナーはいよいよ最終話です。ご期待ください。
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