ちょっと一息

キャリアの探し方・作り方 vol.3

人事担当者が求める「本当の」人材像

[2006/12/22]

 「キャリア」という言葉を聞くと、つい「ベテラン」という言葉を思い浮かべてしまうかもしれません。でも、漫然と仕事を続けるだけでは、自分が思い描く理想的な将来像に近づくことはできませんよね。「キャリア」とは、自分自身で創り上げていく軌跡なのですから。
 そこで今回は、みなさんのキャリア形成に少しでもお役に立とうと、日本マンパワーで企業研修を担当しているスタッフの話を紹介いたします。企業の人事担当者がみなさんにどのような期待とジレンマを抱いているのか? ちょっと気になるところですね。きっと、新しい気づきを見つけられると思います。

◎今回話を聞いたのは・・・
 株式会社日本マンパワー
 人材開発営業本部 東京営業第1部 第3課  黒田 留以 さん



−将来のキャリアが見えなくなる理由−
 「先日キャリア開発研修を行った、ある販売会社の例を紹介します。販売会社ですので、社員の多くは営業職です。当然、毎月のノルマが決まっていますので、新しく入社してきた社員は一生懸命営業します。そして、入社後1〜2年経つと、おおよその仕事を覚え、そこそこの営業成績を上げられるようになります。
 しかし、3〜4年目になると、『自分は果たして、こんな仕事をしたかったのだろうか?』と疑問を持ち始める人が多いとか。その結果、仕事へのモチベーションが下がり、将来に向けてのキャリア形成も見えなくなってしまう……。
 こうした残念な結果を生み出してしまう理由は、社員に『やらされ感』が強いからだと思います。ノルマを与えられ、上から仕事を押し付けられている感じ。しかも、社員自身は『私は仕事ができる』という自信を持っているので、『この会社では自分は成長できない』と考えてしまう。
 しかし、同社の人事担当者によると、『それは受身の自信』でしかないようです。つまり、お客様が望むことには対処できても、根本的な業務改善や会社改善には至らない。自ら能動的に何かを成し遂げたわけではなく、受動的に顧客対応しただけだと言うのです。『なるほど』と納得しました」


−求められるのは自律型人材−
 「この会社だけが特別な存在ではありません。同じような話は多くの会社で聞かれます。特に次の2点については、困っている会社がたくさんあります。
 ・社員のモチベーションが低い
 ・能動的に動ける人が少ない
 逆に言えば、モチベーションが高く、能動的に動ける人は、企業の人事担当者から望まれている人材だと言えます。『能動的に動ける』とは、自分のことも会社のことも、自分で問題点を見つけて改善できる人を指します。いわば『自律型人材』です。もちろん、業種・業態によって人材ニーズは異なりますが、こうした根本的な問題は、全般的に共通する傾向です」


−大切なのは自ら仕事を変えていくこと−
 「もう1社、具体的な事例を挙げましょう。住宅管理を行っている会社の例です。この会社は大手不動産会社の関連会社ですので、苦労して営業しなくても仕事を受託することができます。業態自体が受動的なんですね。ですから必然的に、社員の仕事ぶりも受動的になっているようです。
 しかし、現在は経営状態が良くても、今後ずっと継続できるとは限りません。実際、他社との競合も生まれつつあると聞きます。同社の人事担当者はそうした点に問題意識を抱き、『根本的かつ主体的に業務を見直せる人が欲しい』と話していました。従来通りの方法論では通用しなくなりつつあるのです。
 このように、どのような会社でもビジネスモデルは変わってきています。顧客ニーズも商品・サービスもどんどん変わっているからです。もちろん、社員一人ひとりにも同じことが言えます。以前は、与えられた仕事をこなしているだけでよかった時代もありました。でも現在は、『自ら仕事を変えていく』ことが大切なのです。その点では、会社に対する企画提案力も必要とされます。『企画提案力』とは、プレゼンテーションが上手な人のことではありません。新しい情報を自ら探し、自分で考えて、形にして、伝えられる人のことです」



−働きながらの受講は能動的そのもの−
 「私たちがキャリア開発研修を行う際は、社員の方が自ら気づき、能動的にがんばって仕事に取り組めるようなプログラムを用意します。具体的には、自己分析から環境認識、目標設定、課題抽出、キャリアプランの作成などをお手伝いいたします。こうした研修を通じて、仕事へのスタンスがいい方向へ向かっていく人も少なくありません。
 もっとも、会社から用意された研修を受ける人よりも、たとえば日本マンパワーの講座で自ら勉強している人の方が能動的だと思います。働きながら勉強に取り組んでいる受講生の方を見ると、本当に『すごい』と思います。頭が下がります。勉強しようとする姿勢自体が能動的なのですね。そうした姿勢を行動に移し、最後までやり遂げられる人はきっと、企業の人事担当者も喉から手が出るくらい欲しい人材ではないでしょうか
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